eぶらあぼ 2016.4月号
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254NHKバレエの饗宴2016ルグリの指導を受けた若手も登場、一夜限りの華麗なる祝祭文:上野房子『グランドホテル』気鋭の演出家と豪華な配役で描くドラマティックな人間模様文:藤本真由4/10(日)15:00 NHKホール問 0570-063-050(ローソンチケット内) http://www.nhk-p.co.jp/event4/9(土)~4/24(日) 赤坂ACTシアター 問 梅田芸術劇場0570-077-039(東京)4/27(水)19:00、4/28(木)14:00 19:00 愛知県芸術劇場 問 中京テレビ事業部052-957-33335/5(木・祝)~5/8(日) 梅田芸術劇場 問 梅田芸術劇場06-6377-3800(大阪)※日時により出演者が異なります。詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。http://musical-grandhotel.com 日本を代表するバレエ団が一堂に会する公演として、2012年に始まった〈NHKバレエの響宴〉。5回目となる今回は装いも新たに、一夜限りの響宴が繰り広げられる。 まず注目したいのは、マニュエル・ルグリが参画すること。ブルノンヴィル振付『ゼンツァーノの花祭り』のパ・ド・ドゥと『ナポリ』のパ・ド・シスに出演する8人の若手ダンサーを、ルグリが自らオーディションで選抜・指導して舞台に臨ませるのだ。06~07年にNHKで放映された「スーパーバレエレッスン パリ・オペラ座 永遠のエレガンス」の続編のような試みである。 オペラ座の往年のエトワールとしてバレエファンを魅了、現在はウィーン国立バレエ団の芸術監督を務めるルグリの、指導者としての手腕に注目したい。今年2月に開催されたローザンヌ国際バレエコンクールの決勝出場者、木村 グレタ・ガルボ主演の名画の原作として名高い小説をミュージカル化した『グランドホテル』が、新たな演出で上演される。一つの場に人々が集まり人間模様を織り成すという“グランドホテル方式”の元祖となったこの物語では、1920年代のベルリンのホテルを舞台に、バレ楓音(かのん)と吉江絵璃奈が参加していることも興味深い。 もう一つの話題が、日本のバレエ団による新作の上演。谷桃子バレエ団のメンバーたちが総出演し、同団の若手振付家、日原永美子が振付を手がける『オセロー』を初演する。 スターダンサーズ・バレエ団と小林紀リーナや会計士、男爵などさまざまな人々が出会い、ドラマを紡いでゆく。美しい楽曲の数々も楽しめるこの作品の演出を今回手がけるのは、昨年、ブロードウェイ・ミュージカル『タイタニック』を日本人キャストで上演、好評を博したイギリスのトム・サザーランド。『タイタニック』も船に集う人々の人間模様を描く“グランドホテル方式”作品であり、巨大な船のセットを用いることなく豪華客船の世界を劇場空間に現出せしめる手腕が光った。 今回、主なキャストはダブルキャストとなっており、死期の近い会計士オットー・クリンゲライン役を演じるのは、子バレエ・シアターは、各々の十八番演目であるチューダー版『リラの園』とアシュトン版『レ・ランデヴー』を上演。さらにウィーン国立バレエ団でソリストを務める橋本清香と木本全優、英国のバーミンガム・ロイヤル・バレエ団の平田桃子とセザール・モラレスがデュエットを踊り、華を添える。谷桃子バレエ団『オセロー』 ©Hideaki Tanioka小林紀子バレエ・シアター『レ・ランデヴー』 ©Kenichi Tomohiroスターダンサーズ・バレエ団『リラの園』 ©Shinnosuke Hirai上段左より:中川晃教/宮原浩暢/安寿ミラ 下段左より:成河/伊礼彼方/草刈民代高い歌唱力をもつ中川晃教と、演技派として評価の高い成河(ソンハ)。映画ではグレタ・ガルボが扮した、引退興行中のバレリーナ、エリザヴェータ・グルシンスカヤには、宝塚歌劇団元トップスターの安寿ミラと、バレリーナを経て女優として活躍中の草刈民代という楽しみなキャスティング。宝塚歌劇団元トップスター湖月わたるが“愛と死の化身”を体現するスペシャルダンサーを務めるのも気になる趣向だ。気鋭の演出家の手によって名作がいかに甦るのか、注目したい。

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