eぶらあぼ 2016.3月号
167/217

176な建築であるとともに、最大の目玉は長野出身の音楽家、久石譲さんを芸術監督として迎えられたこと。長野のランドマークとなり、さらに北信一帯に芸術文化の輪が広がることを期待したい」と述べると、久石は「“日常に音楽を”を基本に、長野から日本全国、さらに世界に向けて新しい文化を発信したい」と意気込みを語った。 5月18日のグランドオープニング・コンサートで久石は、自身の新作「祝典序曲」とペルトの交響曲第3番、チャイコフスキーの交響曲第5番を指揮する(管弦楽:読売日本交響楽団)。選曲について久石は「同じような古典ばかりの選曲だと、クラシックは“古典芸能化”してしまい、もっと“今日の音楽”を取り込む必要がある。現代音楽といっても不協和音ばかりの難解なものでなく、新鮮な響きを持ちながら現代人に馴染む作品が望まれている」と述べた。また、久石は同館のレジデントオーケストラ「ナガノ・チェンバー・オーケストラ(NCO)」の設立についても言及した。同団体は在京オーケストラの首席級の奏者と長野ゆかりの演奏家たちにより構成され、ベートーヴェンの交響曲のほか、バロック以前の作品や、久石の新作を含むミニマルミュージックなど現代の音楽を軸に据え、年に2回ほどの定期演奏会を行う。2018年までにベートーヴェンの交響曲全曲演奏を目指す。長野市芸術館http://www.nagano-arts.or.jp■ロームシアター京都が開館記念式典 を開催 ロームシアター京都(旧京都会館)が1月10日リニューアルオープンした。メインホールで行われた記念式典には市民のほか、京都の政財界や文化人ら約1800人が参加、舞台上で、こも樽の鏡開きをして祝った。式典で、同館命名権を持つローム株式会社の澤村諭社長は「日本を代表する文化の殿堂として広く長く愛されることを願う」と話した。 式典に先立ち、井上八千代(京舞井上流五世家元、人間国宝)が祝舞を、片山九郎右衛門 金剛永謹による能楽が披露され、広上淳一指揮、京都市交響楽団が記念演奏を行った。ロームシアター京都http://rohmtheatrekyoto.jp■「一柳 慧 コンテンポラリー賞」 第1回受賞者が決定 一柳慧が2015年に創設した「一柳 慧 コンテンポラリー賞」の第1回受賞者が決定し、1月12日、都内で受賞式が行われた。 同賞は、芸術音楽の充実と活性化、また音楽を通した豊かな社会の創造を目的とし、芸術音楽を基軸に優れた活動を行っている音楽家を対象に一柳が審査を行い決定する。年齢制限はなく、外国人も日本在住であれば応募できる。受賞者には表彰状と賞金100万円が授与される。 今回は、60件(作曲:35件、パフォーマンス:19件、執筆:6件)の応募のうち、パフォーマンス部門に応募した大井浩明(ピアノ)、工藤あかね(ソプラノ)の2名が受賞した。 大井浩明は、ベルン芸術大学、同大学院ピアノ科ソリストディプロマ課程修了。ブルーノ・カニーノにピアノと室内楽を師事。アリオン賞、出光音楽賞、文化庁芸術祭賞等を受賞。「彼ほど徹底して一人ひとりの作加藤久雄・長野市長(左)、久石 譲・長野市芸術館芸術監督(右)Photo:T.Shiroma/Tokyo MDE左より)大井浩明、工藤あかね、一柳 慧 写真提供:カメラータ・トウキョウ開館記念演奏をする広上淳一と京都市交響楽団Photo:M.Terashi/Tokyo MDE

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

page 167

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です