eぶらあぼ 2016.2月号
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64フレッシュ名曲コンサート 日本フィルハーモニー交響楽団ベートーヴェン “ふたつの5番”感動必至の“5番”勝負!文:柴田克彦明日を担う音楽家による特別演奏会オペラの未来を担う逸材たちが集結!文:宮本 明3/3(木)19:15 大田区民ホール・アプリコ問 大田区文化振興協会03-3750-1555 http://www.ota-bunka.or.jp2/3(水)19:00 東京オペラシティ コンサートホール問 チケットスペース03-3234-9999 http://www.ints.co.jp ベートーヴェンの“ふたつの5番”、ピアノ協奏曲「皇帝」と交響曲「運命」は、聴くたびに感銘を受ける作品であり、クラシックのコンサートが初めての人、いやクラシック自体を初めて聴く人でも感動し得る作品だ。その2曲を広上淳一指揮、日本フィルの演奏で体験できるのが、3月の太田区民ホール・アプリコの公演。これなら文句なしに万人が楽しめる。 まずは「皇帝」と「運命」。中期“傑作の森”の真っ只中に書かれた両曲は、旋律や迫真の展開において、最も“ベートーヴェンらしい”音楽であり、特に生で聴けば確実に引き込まれる。演奏に熱がこもっていればさらにいい。その点で広上&日本フィルはうってつけだ。内外のポストを歴任し、近年京都市響の水準向上で評価も高い彼は、かねてより熱気と躍動感に富んだ演奏で、聴く者を魅了してきた。しかも最近はスケールの大きさや懐の深さを増してい 音楽家の経歴の留学に関する記述に、「文化庁」という文字を目にすることが多いだろう。その多くは同庁が1967年から実施する「新進芸術家海外研修制度」(2001年までは「芸術家在外研修」)によって派遣されたことを示すものだ。音楽だけでなく、あらゆる芸術ジャンルからこれまで3,000人を超える若き才能がこの制度を活用し、海外で吸収した経験を生かして国内外で活躍している。 2月に開催される「明日を担う音楽家による特別演奏会」は、この制度によって海外で研鑽を積んだ歌手たちによるる。かたや日本フィルは、常に全力投球の姿勢で長年ファンの支持を集め、こちらも近年は名匠ラザレフのもとで緻密さやパワーをアップさせている。加えて広上にとっては、1991年から2000年まで正指揮者を務めた旧知の間柄。しからば吸引力抜群の熱演は必至だ。 ピアノ独奏の梅田智也も要注目。1991年生まれの彼は、2014年の東京音楽コンサート。つまり近未来の日本のオペラ界を担うフレッシュな面々が顔を揃える公演だ。今回の出演者は12~14年度に留学を経験した以下の10人。 坂井田真実子(ソプラノ/研修先:ウィーン 以下同)、柴田紗貴子(ソプラノ/ロンドン)、竹多倫子(ソプラノ/ミラノ)、古瀬まきを(ソプラノ/ドレスデン)、吉田和夏(ソプラノ/カーディフ)、新海康仁(テノール/カターニャ)、曽我雄一(テノール/ボローニャ)、又吉秀樹(テノーコンクールで第1位及び聴衆賞を受賞し、日本フィルとも数回共演している。特に「皇帝」は、同コンクールの本選でも弾いた演目であり、その時の生気漲る雄弁な演奏から、今回も大いに期待できる。 本公演は、ビギナーにはぜひ、そして長年のクラシック・ファンにも改めてお勧めしたい。ル/ウィーン)、後藤春馬(バス・バリトン/ロンドン)、三戸大久(バス・バリトン/ウィーン)。 すでに二期会のオペラ出演経験もある歌手から、これが実質的なデビューとなる新人まで、多彩な顔触れが歌声を競う。共演は園田隆一郎指揮の東京フィルハーモニー交響楽団。アリアを中心に、重唱なども交えたオペラ名曲の一夜。明日のスターを探しに行こう。梅田智也 ©宮森庸輔柴田紗貴子広上淳一竹多倫子又吉秀樹三戸大久園田隆一郎

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