eぶらあぼ 2016.2月号
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53ドミトリー・マスレエフ(ピアノ)チャイコフスキー・コンクールの覇者、見参!文:高坂はる香6/13(月)19:00 浜離宮朝日ホール問 ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040 http://www.japanarts.co.jp 1/31(日)発売 実力ある若手ピアニストが数多く出場した、2015年のチャイコフスキー国際音楽コンクール。激戦の末、頂点に輝いたドミトリー・マスレエフは、ロシア東部に生まれ、モスクワ音楽院で学んだ27歳。優勝の翌月となる8月には副賞演奏会のため早速来日し、PMF音楽祭のフィナーレを飾る公演で、ゲルギエフ指揮のもと協奏曲を披露した。この時は、特に2曲のアンコールで繊細な感性と美しい音を持つピアニストだということを印象付け、得意のプログラムによるソロをじっくり聴いてみたいと思わせた。 その機会が、この6月に行われるリサイタルでようやく訪れる。用意されているのは、彼が今弾きたい作品を丁寧に選んで組み合わせたということが感じられるプログラムだ。 冒頭は、スカルラッティのソナタ。マスレエフの繊細なタッチとみずみずしい音がよく合うだろう。そしてベートーヴェンの告別ソナタ、プロコフィエフのソナタ第2番を続け、音楽の構成力と豊かな感情表現も見せる。 後半はピアニストとして敬愛しているというラフマニノフの作品。幻想的小品集や「断片」「V.R.のポルカ」、絵画的練習曲集から小品を組み合わせて、物語を編む。ラストには、やはり彼が好きな作曲家だというリストの「死の舞踏」と、ドラマティックで技巧的な作品も忘れない。 ゲルギエフが高く評価するというこの新星の音楽性を、あらゆる側面から確かめる公演となりそう。会場が、ピアノを聴くのにぴったりの浜離宮朝日ホールだというのも嬉しい。小松亮太 タンゴの歌 featuring バルタール&グラナドススペシャリストたちの待望の再共演が実現!文:東端哲也3/12(土)15:00 東京オペラシティ コンサートホール問 東京オペラシティチケットセンター03-5353-9999 http://www.operacity.jp 1998年のCDデビュー以来、バンドネオンの第一人者として国内外で活躍し、タンゴの本場アルゼンチンの音楽シーンからも高く評価されている小松亮太。ジャンルの垣根を越えたコラボレーションにも積極的で、昨年リリースした大貫妙子との共同名義アルバム『Tint』が第57回日本レコード大賞「優秀アルバム賞」を受賞したのも記憶に新しい。また、2013年に東京オペラシティで行われた、ピアソラ《ブエノスアイレスのマリア》公演の歴史的ともいえる成功は未だ語り草になっている。そんな同公演に出演したアメリータ・バルタールとレオナルド・グラナドスが、今年3月に再び同ホールに集結し小松亮太と共演を果たす。 第1部は、ブエノスアイレスが生んだ世界的文豪ボルヘスの詩にピアソラが作曲した組曲「エル・タンゴ」。元々LPでの発表を想定した作品でライヴ演奏は難しいとされてきたが、今回はレコード音源から復元したオリジナル編成をそのままステージに乗せる形で上演を企画。南米を代表する名手グラナドスが歌と語りを担当する。第2部にはピアソラの元妻でもある歌姫バルタールが登場。彼女とピアソラ、そして2014年に急逝した詩人オラシオ・フェレール(《ブエノスアイレスのマリア》の作詞者でもある)、3つの才能のケミストリーから生まれた「ロコへのバラード」や「チキリン・デ・バチン」「受胎告知のミロンガ」などを中心に、ピアソラ以外の古典タンゴ曲なども披露する。レオナルド・グラナドスアメリータ・バルタール小松亮太

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