eぶらあぼ 2016.2月号
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50チョン・ミョンフン(指揮) 東京フィルハーモニー交響楽団愉悦と興奮、贅沢すぎる2本立て文:柴田克彦東京・春・音楽祭 ―東京のオペラの森2016― 東京春祭 合唱の芸術シリーズ vol.3デュリュフレ「レクイエム」20世紀が生んだ美しい祈りの歌を文:宮本 明第99回 東京オペラシティ定期シリーズ2/25(木)19:00 東京オペラシティ コンサートホール第874回 サントリー定期シリーズ2/26(金)19:00 サントリーホール第875回 オーチャード定期演奏会2/28(日)15:00 Bunkamuraオーチャードホール問 東京フィルチケットサービス03-5353-9522 http://www.tpo.or.jp4/17(日)15:00 東京文化会館問 東京・春・音楽祭チケットサービス03-3322-9966 http://www.tokyo-harusai.com 思えば2001年、チョン・ミョンフンが合併後初の東京フィル定期で第2番「復活」を指揮し、会場を熱い感動に包んで以来、当コンビのマーラーは毎回が一期一会の熱演だった。そしてシェフ格から桂冠指揮者に変わった10年以降、共演自体その貴重さを増した。東京フィルの2月定期は、その彼が登場し、マーラーの交響曲第5番と、弾き振りでモーツァルトのピアノ協奏曲第23番を披露する。むろん必聴だ。 まずはマーラー。チョン・ミョンフンは、昨年も第6番「悲劇的」で壮絶な名演を聴かせたが、今度はよりポピュラーな5番。葬送行進曲から光輝なフィナーレに至る「暗→明」の流れは6番とはまた異なっており、各楽章の描き方と同時に全体の構築が言うまでもなく注目点となる。シネマ・クラシックの定番である第4楽章「アダージェット」、トランペットやホルンのソロ、最後の畳み込みなどは、誰もが馴染める聴きどころ。またマエストロは、こうした曲では弦楽器の 早くも春の話題。東京の桜の季節の風物詩「東京・春・音楽祭」のフィナーレを飾るのは、今年も東京オペラシンガーズと東京都交響楽団による「合唱の芸術」シリーズだ。これで3年連続。 2005年に『東京のオペラの森』としてスタートした同音楽祭は、オペラや声楽にウェイトを置いているのも特徴のひとつだが、その中でレジデント合唱団的な存在で第1回から(08年までは「東京のオペラの森合唱団」として)連続出演しているのが東京オペラシンガーズ。名称の「オペラ」だけではなくコンサートでも大活躍なのはご存知のとおり。14年、10周年を迎えた音楽祭の新たな一歩を示す企画として、彼らをフィーチャーして始まったのが『合唱の芸術』シリーズだ。 初年のドイツの合唱名曲によるガラ・コンサートが好評を博し、昨年の大野和士指揮によるベルリオーズ「レクイエム」(写真右)は上演前から大きな人数を通常より増やして重量感を増幅することが多いので、そこも楽しみだ。 次いで弾き振り。チョン・ミョンフンのピアノの腕は日本でも広く知られているが、協奏曲の演奏に触れる機会は少ない。モーツァルトのピアノ協奏曲第23番は、明朗さと哀愁を相持つ名曲。リリカルな慈愛を湛えた彼のピアノで聴く今回は、至福の体験となるに違いない。ちなみにこの曲、昨年長岡で披露した際には、弦と管をピアノの左右に分けた配置だったとの由。今回はその点にも注目したい。 世界のマエストロがおくる豪華な2本立て。またとない機会をお見逃しなく!話題を呼んだ。ティンパニ8対が舞台に並ぶ風景だけでも圧巻の大音響スペクタクルだったベルリオーズから一転、今年はデュリュフレ「レクイエム」。1947年の作品だが先鋭的な手法は用いられず、グレゴリオ聖歌を多用した静かで美しい祈りの歌。声そのものやハーモニーの美しさが要求される作品が、東京オペラシンガーズの水準高い歌声で聴ける。バリトンは世界各地の一流歌劇場に何度も登場しているクリストファー・マルトマン。指揮は、78年生まれのレオ・フセイン。ゲルギエフやラトルが認めた才能を存分に羽ばたかせる英国出身の新鋭指揮者の登場も聴き逃せない。チョン・ミョンフン ©ヴィヴァーチェ写真提供:東京・春・音楽祭実行委員会/撮影:堀田力丸クリストファー・マルトマン ©Pia Clodi

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