eぶらあぼ 2015.12月号
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62国連難民援助活動支援チャリティーコンサート 5人の指揮者 × 5人のピアニスト × 4人の声楽家 × ベートーヴェンベートーヴェンの「平和のメッセージ」を壮大に謳う文:渡辺謙太郎トミー・レオ(ピアノ) 驚異的な才能、また一人出現文:笹田和人12/28(月)15:00 ティアラこうとう (21:00終演予定)問 ブロッサムフィルハーモニックオーケストラ03-5621-2636 http://www.blossom-phil.or.jp12/27(日)14:00 sonorium問 e-mail:konzue.red.forest.2186@docomo.ne.jp http://www.sonorium.jp 内容、規模、そして理念。どれも実に壮大な公演だ。世界各地の難民活動を支援すべく、指揮者5名、ピアニスト5名、声楽家4名、そして1つのオーケストラが年の瀬に集う。プログラムはオール・ベートーヴェン。平和や人類愛を歌うのに、これ以上ふさわしい作曲家はいないだろう。しかも今回は、ピアノ協奏曲全5曲、ヴァイオリンのためのロマンス全2曲、交響曲第9番「合唱付」(全曲)を1日で演奏するというから凄い。 指揮者は、曽我大介や西谷亮ら、実力派が交替で登場。管弦楽のブロッサム・フィル(2008年結成の新生楽団)で音楽 瑞々しい才能に、いち早く触れられるチャンスだ。弱冠14歳ながら、数々の国際コンクールで実績を重ね、各国監督を務める西谷は、司会も担当する。 ピアノ協奏曲のソリストも実力派揃いで、個性豊かな面々が並ぶ。中でも、ドイツで巨匠ペーター・レーゼルに学んだ髙橋望がソロを弾く第5番「皇帝」は、作品への深い共感と歌心に満ちた名演が期待される。また、「2つのロマンス」では、同フィルの客演コンサートマスター・中村太地がソロを担当。今年のブラームス国際コンクール第3位の若き名手が真価を示す。の第一線オーケストラと次々に共演を果たすなど、国際的な活躍を続けているピアニスト、トミー・レオ。素晴らしい音響と、小規模ホールならではの聴衆との距離の近さが魅力のsonoriumを舞台に選んで、鮮烈な音色をほとばしらせる。 レオはシンガポール生まれ。幼少期を東京や香港で過ごし、3歳からピアノを始め、紅林こずえらに師事。4歳にしてリサイタルを開き、ラニー・シュル・マルヌ国際コンクール(フランス)を制するなど、多くの登竜門で入賞。フランスやドイツ、韓国など世界中の音楽祭に出演する一方、アメリカのロチェスター・フィルなどオーケストラとも共演。「14歳とは思えぬ、成熟した表現と、 そして「第九」の指揮台には、この作品を幾度となく指揮している曽我が登場。俳優・辰巳琢郎を父に持つ注目のソプラノ・辰巳真理恵らとともに、シラーの理念をベートーヴェンが昇華させたモットー「抱き合え、全世界の人々よ」を高らかに歌い上げる。 なお、公演の収益の一部と当日行われる募金は、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)を通じて、世界各地の難民援助活動に役立てられる。辰巳真理恵中村太地髙橋 望西谷 亮曽我大介感受性に富んだ音楽性」と絶賛されている。2013年からはロンドンで、王立音楽院教授のクリストファー・エルトンの薫陶を受けている。 今回のリサイタルは、スクリャービンの「幻想ソナタ」を軸に。ここへ、バッハ「トッカータト長調」やベートーヴェンのソナタ第21番「ワルトシュタイン」から第1楽章、リスト「超絶技巧練習曲」から第10番、アルベニス「イベリア」第1巻から第3曲「セビーリャの聖体祭」、チャイコフスキー「6つの小品」より第6番、さらにはリゲティ「リセルカータ音楽集」からの4曲など、きら星のごとき作品を添えて。ラインナップの多彩さだけでも、その才能と音楽性の非凡さがうかがえよう。

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