eぶらあぼ 2015.12月号
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32藤原歌劇団オペラ《仮面舞踏会》12/5(土)、12/6(日)各日14:00Bunkamuraオーチャードホール問 日本オペラ振興会チケットセンター044-959-5067  http://www.jof.or.jp 今年のオペラ界を締め括る話題の一作が、12月に藤原歌劇団が上演するヴェルディ《仮面舞踏会》。密かに惹かれ合う権力者リッカルドと部下レナートの妻アメーリア、そしてリッカルドの暗殺という結末の、三角関係の悲劇である。ヒロインのアメーリア役をダブルで務めるのはソプラノの小川里美(12/5 出演)と山口安紀子(12/6 出演)。ミス・ユニバースの日本代表になった小川、大学でバイオ・サイエンスを専攻した山口と異色の経歴を持つ2人のプリマが、《仮面舞踏会》の魅力を語り合う。 「アメーリアは最初から主君リッカルドに恋心を抱いていて、『自分は人妻なのに』と悩み続ける女性です。ただ、そこにどんな背景があるかはオペラ内では明らかにされないので、音楽と台本から想像するしかなくて、『なぜ彼女はこんなことを言うのだろう? こんなキツい言葉にヴェルディはどうして優しい音楽をつけたのかしら?』といった私なりの疑問点から、彼女のキャラクターを追求している最中です。演出の粟國淳さんともお話ししながら、より具体的に膨らませられればと思っています」(小川) 「私は起承転結のはっきりした物語が好きなんです。ヴェルディは台本に凄くドラマティックに音を乗せているので、歌う側の私も、アメーリアは何故こんなことを? と思う一方で『ああ、そうなんだわ』とそのまま納得してしまうのです。真夜中に処刑場に赴く第2幕のアリアと、死ぬ前に子供に一目会わせてと夫に願う第3幕のアリアでは方向性が随分違いますが、でも、彼女の心情は音楽にすべて書かれてあり、私も自然にその気持ちになって歌えるのです。声の響きや音色が変わってくるようで稽古も楽しいですね」(山口) イタリア留学中から親友同士の2人。《仮面舞踏アメーリアの愛と苦悩を演じる会》の世界をさらに熱く語って。 「第2幕ではアリア、大二重唱、三重唱と続いて舞台に立ちっぱなしで、物陰で水を飲む瞬間すらないので大変です!(笑)」(山口) 「本当に長時間の山場になるんですが、でも、あの二重唱でアメーリアは自分の思いをとうとう口に出来るので、歌っていると確かな『解放感』をも覚えるんです」(小川) 「アメーリアは結婚して子供もいるのに、そこまで抑えられない恋をしているという点はやはり特徴的ですね。音楽も人間の煩悩を深く描いていると思います。ただ、私も既婚者なので『彼女の気持ちが良く分かります!』とまでは言えません(笑)」(山口) 「山口さんのご主人もテノールで、3人でよく歌の話をしました。お二人は恋人時代も長かったし。これはフォローの言葉よ(笑)。《仮面舞踏会》で一番幸せなのは、実は殺されるリッカルドかもしれません。残った者たちの悲劇はずっと続くわけですし…。でも、彼を救おうとするアメーリアの強い決意はしっかりと演じたいと思います。また、フィナーレの舞踏会シーンの豪華さもこのオペラの見どころですね」(小川) 「そうですね。お客様のご期待に添えるよう、小川さんと共に、それぞれの舞台を全力でやり遂げます!」(山口) 「二人で刺激し合い、頑張ります!」(小川)interview 小川里美&山口安紀子藤原歌劇団オペラ《仮面舞踏会》取材・文:岸 純信(オペラ研究家)小川里美 ©Kei Uesugi山口安紀子

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