eぶらあぼ 2015.12月号
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文:渡辺謙太郎 写真:中村風詩人銀座の秘密の隠れ家へ、ようこそ 私見だが、いいバーには2種類ある。ひとつは気心の知れた友人や知人たちと杯を交わす大人のサロン。もうひとつは誰にも教えたくない秘密の隠れ家。どちらも人生の宝物であることに変わりはないが、銀座6丁目の地下にひっそりと佇む「Bar Dice」を「後者」と考える飲み手は多いはずだ。 オーナーの藤田大介さんは、リーガロイヤルホテル東京のバーなどを経て、2011年に銀座で独立。石と木が調和した温かく重厚な内装は、映像美術制作会社の名門「ヌーヴェル・ヴァーグ」が手がけたものだ。 「好きで通っていたバーの内装が、この会社によるデザインが多かったのです。20代の頃に買いつけで滞在した北イタリアの農村のイメージでと、お願いしました」 そこで買いつけたのが、今や幻のグラッパ(ブドウの搾りかすを発酵させたアルコールの蒸留酒)として名高い「ロマーノ・レヴィ」。バックバーには数十本ものボトルが並ぶ。 「初めて出会ったのは、北イタリアのレストランで食後酒として供された時。あまりに豊潤で洗練された美味に衝撃を受け、すぐに直接造り手に会いに行きました。2008年に造り手が亡くなったため、価格は高騰していますが、リーズナブルなボトルもご用意しておりますので、気軽にご相談ください」 藤田さんはカクテルの名手としても有名。最も好きな1杯に挙げるのがブランデー・ベースの「サイドカー」だ。今回は味や色合いとの相性を考えて、金彩で縁取られた1900年代のドームのグラスに注いでくれた。 「ブランデーは、エレガントな味わいの『フラパン』。オレンジキュラソーは、『グランマニエ』と『コアントロー』を混ぜ、前者が若干多めですね。私のカクテルで最も大切にしているのは、素材の香りを立たせること。だから温度を高めに設定して作る場合も多いです」 こうしたカクテルに対する考えには、「Dice」の客層も影響しているという。 「食後にいらっしゃるお客様が多いので、ソリッドでシャープな味わいよりも、香り高くてほんのり丸みのあるものを提供したいのです」 藤田さんはクラシックにも造詣が深く、店内のBGMにはバロック音楽を使用。重厚で広がりのある空間に合った厳粛さを巧みに演出している。銀座のホールで素晴らしい演奏に酔いしれた後、その余韻を静かに冷ましたり、逆にその興奮を再び温めてみたりするひととき。「Dice」には、それぞれの聴き手と飲み手にふさわしいお酒が揃っている。Bar Dice(バー・ダイス) 東京都中央区銀座6-9-13 第1ポールスタービル B1F 月~金 18:00~26:00 土 15:00~24:00 日曜日・祝日  ¥1000  03-6228-5228 ヤマハホール、王子ホールInformationコンサートの余韻を美味しいお酒とともに味わえるホール近くの素敵なバーをご紹介しますBar DiceVol.3銀座オーナーの藤田大介さん「ロマーノ・レヴィ」のボトル183

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