eぶらあぼ 2015.11月号
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69上原理生柴田智子ガブリエル・リプキン(チェロ) with 大和田祝祭管弦楽団渋谷で愉しむ才人と若きオーケストラの共演文:飯尾洋一柴田智子プロデュース アメリカンシアターシリーズ Vol.1DECEMBER SONGSブロードウェイ版“冬の旅”文:宮本 明11/21(土)18:00 渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール問 渋谷区文化総合センター大和田03-3464-3252 http://www.shibu-cul.jp12/10(木)18:45 Hakuju Hall問 T.S.P.I.INC. 03-3723-1723 http://www.tspi.co.jp この11月21日、渋谷区文化総合センター大和田さくらホールがオープンから5周年を迎える。これを記念して、イスラエル生まれのチェリスト、ガブリエル・リプキンと若い音楽家たちによる大和田祝祭管弦楽団が共演を果たす。 渋谷駅からのアクセスが良好な中規模ホールとして知られる同ホールでは、2014年より『大和田ランチタイムコンサート』として、若手演奏家を育成すべく学生たちに演奏場所を提供し、近隣の住民やビジネスマンらに憩いの場を提供してきた。また、ガブリエル・リプキンは今年3月にリプキン・カルテットとして同ホールで公演を開いたほか、2月には弦楽器経験者を対象としたマスタークラスを行なっている。 今回の公演はこれらの活動が一期一会の共演として結実したもので、『大和田ランチタイムコンサート』のこれまでの出演者やリプキンのマスタークラス受講生をはじめとした若い音楽家たち アメリカの“声の音楽”の第一人者だ。ニューヨークで学び、クラシックからミュージカル、民謡まで、「アメリカ」を幅広く歌うソプラノの柴田智子が、新たに『アメリカンシアターシリーズ』をスタートする。 その初回は、『ナイン』『タイタニック』などで知られるミュージカル作曲家モーリー・イーストン(1945~)の「ディセンバー・ソングズ DECEMBER SONGS」を紹介。カーネギーホール開館100周年(1991)記念の委嘱作品で、シューベルトの「冬の旅」にインスパイアされたという全10曲の歌曲集だ。雪のセントラル・パークをさまようアラフォー女性の失恋、喪失、そして再生…。 作曲者自身によるテキストは、「冬の旅」同様、歌曲集全体でひとつのストーリーを形作っている。シューベルトを想起させる旋律も散りばめられているが、もちろんブロードウェイの一流作曲家らしい、洗練されたエンタテインメンが、大和田祝祭管弦楽団として一堂に会する。指揮は、ドイツの名指揮者カール・シューリヒトの夫人から直接名をもらったという松本宗利音(しゅーりひと)、コンサートマスターは岸本萌乃加(ほのか)。ともに東京芸大音楽学部に在学し、将来を嘱望されている。 曲はチャイコフスキーの弦楽セレナードと、リプキンがソリストを務めるドヴォルザークのチェロ協奏曲。才人リプキンのもと、若いエネルギーがひトに仕上がっている。今回柴田は、この歌曲集をコンサートの形ではなく演出付きで上演する。 さらに、プログラム前半にはこの物語の序章に見立てたミュージカル・ナンバーを置き、「DECEMBER SONGS」を主体としてプログラム全体がひとつの流れを持つショーとして構成されるのだ。まさに“アメリカン・シアター!”理屈抜きで楽しめそう。 共演に『レ・ミゼラブル』などで大人気の東京芸大出身イケメン・ミュージカとつになって、どんな音楽を生み出すのか。忘れがたい印象をもたらしてくれることだろう。ル俳優、上原理生(りお)。ピアノは内門卓也。日本語字幕付き英語上演。ガブリエル・リプキン

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