eぶらあぼ 2015.11月号
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Danza News278■シルヴィ・ギエムが世界文化賞の演劇・ 映像部門を受賞 芸術文化の発展に寄与した世界の優れた芸術家を顕彰する「高松宮殿下記念世界文化賞」(主催:公益財団法人 日本美術協会)の第27回受賞者が9月10日に発表され、演劇・映像部門でシルヴィ・ギエムが選ばれた。 シルヴィ・ギエムは、1965年フランス・パリ生まれ。81年にパリ・オペラ座バレエ団に入団後、84年、19歳の若さでエトワールに昇進。「100年に一人のダンサー」と称され、柔軟かつ強靱な肉体と豊かな表現力で、従来のダンサーのイメージを一新。83年ヴァルナ国際バレエコンクール金賞、特別賞、優秀賞の3冠をはじめ数多くの賞や勲章を獲得。来日回数も多く、2011年の東日本大震災時には、被災者のためにチャリティー公演を実施するなど、親日家として知られる。今年いっぱいでの引退を表明しており、最後の公演は『大好き』という日本で12月に行われる。 同賞は、日本美術協会の創立100周年を記念し、1988年に創設。前総裁高松宮殿下の「世界の文化芸術の普及・向上に広く寄与したい」との遺志にもとづき、絵画、彫刻、建築、音楽、演劇・映像の各分野で、世界的に顕著な業績をあげた芸術家に毎年授与される。 授賞式は10月21日に明治記念館で行われ、受賞者には顕彰メダルと賞金1500万円が贈られる。高松宮殿下記念世界文化賞http://www.praemiumimperiale.org■新国立劇場バレエ団が新シーズン 『ホフマン物語』で開幕 新国立劇場バレエ団2015/16シーズン開幕を前に9月10日、大原永子舞踊芸術監督、コレオロジストのジュリー・ヘイドン、主要キャスト出席のもと、新制作『ホフマン物語』の制作発表が行われた。 大原舞踊芸術監督の2シーズン目は、英国バレエを語る上で欠かすことのできない振付家、ピーター・ダレルの代表作『ホフマン物語』で幕を開ける。 本作はダレルが創設し、大原がプリンシパル・ダンサーとして活躍したスコティッシュ・バレエで初演された。今回の上演にあたり、衣裳と装置は日本人デザイナーが担当し、一新される。 “ピーター・ダレルのミューズ”として、本作に登場する女性3役全てを踊った大原は、「『ホフマン物語』は各々の幕が悲劇で終わるが、そこにはファンタジーやビジュアルの要素もあり、バラエティーに富んでいる。 私が現役時代にバレエで行き詰まったときにピーターと彼のバレエに出会い、『こういうバレエがしたかったんだ!』と、新たな気持ちでバレエに取り組むことができた。かつての私にように、本作を通してダンサーたちにも何かを見つけてほしい」との期待を述べた。 ダレルの振付を世界のバレエ団に指導し、今回スタッフとして参加する、コレオロジストのジュリー・ヘイドンは、「ピーターは意味のない人を絶対にステージに出したりしない。出ているからには意味があり、一人ひとりに演技力が求められた。この作品を踊るダンサーに、心から作品を楽しんでもらいたい」と語った。 練習が始まったキャスト陣からは、本番に向けての役作りや抱負について語られた。ホフマンを演じる福岡雄大は、「一幕ごとに違う女性と恋をし振られるが、場面場面で異なった表現、葛藤などを掘り下げていきたい」と意気込む。アントニア役の小野絢子は、「今この時期に、このバレエ団に『ホフマン物語』を選んでくださったことに感謝したい。大きな期待をもって作品に取り組んでいる。この様なチャンスをいただくことでさらにダンサーも成長し、次に進める。わくわくしています」と期待を述べた。 また、2016/17シーズンのオープニング公演も決定した。バレエ公演は、ケネス・マクミラン振付『ロメオとジュリエット』。同団では5年ぶりの上演となる。ダンス公演は、「ジャポン・ダンス・プロジェクト」が再び実現。14年8月に『CLOUD/CROWD』で初演、好評を博した。今回も同団ダンサーとコラボレーションし、新作を披露する。2015/16シーズン 新制作『ホフマン物語』10/30(金)〜11/3(火・祝) 新国立劇場オペラパレス問 新国立劇場ボックスオフィス03-5352-99992016/17シーズンオープニング公演●バレエ ケネス・マクミラン振付『ロメオとジュリエット』2016.10/29(土)~11/5(土) 新国立劇場オペラパレス●ダンス 『ジャポン・ダンス・プロジェクト公演』2016.8/27(土)、8/28(日) 新国立劇場(中)新国立劇場バレエ団http://www.nntt.jac.go.jp/ballet制作発表会より Photo:J.Otsuka/Tokyo MDE

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