eぶらあぼ 2015.11月号
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204ソプラノの長島剛子とピアノの梅本実、共にドイツに学んだリートデュオが、2001年から息長く続けているリサイタル・シリーズ『世紀末から20世紀へ』。その第14弾は、ヴィクトール・ウルマン「沈む太陽」「春」「夕べの幻想」やヘルマン・ロイター「3つの歌曲」、コマ「5つの断章」、ヴォルフガング・リームの歌曲集から「人生の半ば」など、フリードリヒ・ヘルダリーンの詩に基づく佳品を特集する。1917年竣工という歴史的空間で、名曲と珍しい作品を併せて愉しむステージ。コンマスに渋谷由美子を迎え、『モーツァルト時代のマエストロたち』と題して。「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」、交響曲第17番とモーツァルトで始めて、バッハの末息子ヨハン・クリスティアンのシンフォニアト短調、シュターミッツの「オーケストラ・カルテット」やクラリネット協奏曲第3番(独奏:田中香織)を聴く。創設15年ながら、その人気・実力ともに大きな高まりを見せている中部フィルハーモニー交響楽団。音楽にあふれる愛情と情熱こそ、彼らにとって何よりの武器だ。プロダクションアドヴァイザーとレジデンスコンダクターを務める堀俊輔のタクトで臨む定期は、オール・チャイコフスキー。交響曲第6番「悲愴」をメインに、ヴァイオリン協奏曲(独奏:漆原啓子)、幻想的序曲「ロメオとジュリエット」を披露する。東京芸大・同大学院を経て、ベルリン芸術大学を最優秀で終えた、ピアノの中野孝紀。ドイツでの活動の後に帰国、ステージで活躍の一方、東京学芸大学教授として後進の指導にも力を注ぐ。リサイタルは『2つの世界』と題して。フランスのフォーレ「主題と変奏」とラヴェル「クープランの墓」、ロシアのスクリャービン「ソナタ第5番」とラフマニノフ「コレルリの主題による変奏曲」、色彩の異なる佳品が交錯する。フランスで研鑽を積んだピアノの安倍葉子が、生誕150年の2012年から没後100年の18年へ向け、リサイタルで展開する『ドビュッシー・シリーズ』。その第4回は、2人の作曲家仲間との親交に焦点を当てて。2つの「アラベスク」や「前奏曲集第2巻」からの4曲などドビュッシーの名曲を、「ジムノペティ第1番」などサティ、「火の鳥のヴァリアシオン」などストラヴィンスキーの作品を交えつつ披露する。読響の打楽器奏者として活躍する一方、ソリストやアンサンブル奏者として精力的に活動の場を広げている西久保友広。マリンバを駆ってのリサイタルは、その名曲として知られるジョセフ・シュワントナー「ヴェロシティーズ」や、木下牧子への委嘱新作「SPARKS」の世界初演をソロで披露。ゲストに迎える、読響ソロ首席ヴィオラ奏者の鈴木康浩やN響打楽器奏者の竹島悟史との共演も楽しみだ。月の11長島剛たけ子こ(ソプラノ)・梅本 実(ピアノ) リートデュオアンサンブル de ヨコハマ“モーツァルト時代のマエストロたち”西久保友広(マリンバ)安倍葉子(ピアノ) ドビュッシー・シリーズ 第4回 音楽と人生~二人の友との出会い~中部フィルハーモニー交響楽団中野孝紀(ピアノ)フランスとロシア~2つの世界10/26(月)19:00 ふきのとうホール11/2(月)19:00 東京文化会館(小)11/14(土)19:00横浜市開港記念会館・講堂11/10(火)19:15トッパンホール11/6(金)19:00浜離宮朝日ホール11/14(土)15:00 犬山市民文化会館11/15(日)15:00 クラギ文化ホール11/12(木)19:00浜離宮朝日ホール文:笹田和人梅本 実長島剛子田中香織渋谷由美子漆原啓子 ©篠原栄治堀 俊輔©原 慎治

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