eぶらあぼ 2015.9月号
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52©Mats Baekerアンネ・ソフィー・フォン・オッター and カミラ・ティリング in リサイタル9/25(金)19:00 東京オペラシティ コンサートホール問 アスペン03-5467-0081 http://www.aspen.jpアンネ・ソフィー・フォン・オッター(メゾソプラノ)音楽と言葉がもたらす、大切な“何か”を体験してほしい取材・文:寺西 肇Interview 様々なジャンルに応じた多彩なテクニックで美声を操り、世界中の聴衆を魅了し続ける人気メゾソプラノのアンネ・ソフィー・フォン・オッター。今秋、9年ぶりとなる来日で、同じスウェーデン出身の名ソプラノ、カミラ・ティリングと共に、ジョイント・リサイタルを開く。「歌曲では、私たち歌い手がとても多くのことを表現することが可能です」とフォン・オッター。「お届けする音楽と歌、そして、旋律と共にある歌詞こそ、私たちのメッセージの全て」と語る。 「今回の選曲に関しての私とカミラのコンセプトは、私たちの母国の歌姫ジェニー・リンド(1820~87)が歌ったであろうプログラムを組むことです。リンドは『スウェーデンのナイチンゲール』と称賛され、マイアベーアも崇拝したソプラノでした。彼女は、メンデルスゾーンやスウェーデンの作曲家リンドブラードが歌曲を献呈し、グリーグ作品も愛唱していました。そして、母国のもう1人の名ソプラノ、ビルギット・ニルソン(1918~2005)にも想いを馳せ、彼女に縁のある、R.シュトラウスで締め括る構成にしたのです」 共演のティリングについては「美しい声を持ち、人間的にも素晴らしい」と語る。 「ずっと一緒にツアーをしたいと思っていましたし、きっと皆さんも共演を喜んで下さるに違いない、と考えました。私たちの声は、美しいハーモニーを生むはずです」 また、ステージを共にするピアノのジュリアス・ドレイクを「彼ほど巧みに歌い手とその声に寄り添い、その要求に応えてくれるピアニストを見つけるのは、容易ではありません」と評する。 古楽から現代音楽、そしてポップスまでの幅広いジャンルで、“言葉を伝える”ための最上の手段を常に模索する。 「私は『言葉は歌にとって、重要な要素である』こと、そして『歌うという行為を通じて、必ず“何か”を伝えなければならない』ということも学びました。そして、単に綺麗な声で歌うだけでは全く不十分で、情感を伝えることこそが重要なのです。そのために、地道な努力と想像力が求められるのです」 「“音楽をすること”は、とても大きな喜びと知的な刺激を、私に与えてくれます。様々な音楽家との出逢いや、彼らと共に情熱をもって高みを目指すこと、そして、最良のものを表現することを、これまで愛してきましたし、これからも愛し続けるでしょう。そして、私の究極の目標は、音楽と言葉がもたらす、情熱や感情の大切な“何か”を、聴いて下さる人々へ伝えること。私の歌を通じて、そんな“何か”を体験してもらえれば、と常に願っています」9/26(土)16:00 洗足学園音楽大学シルバーマウンテン1F問 メリー・ミューズ03-3422-8477歌 もの語り 恋する日本語 Part 2“歌”で伝える日本語の美しさ文:宮本 明堀江眞知子 「終夜(よもすがら)」「相生(あいおい)」「偶さか(たまさか)」「転た(うたた)」…。それらの言葉ひとつひとつに、どこか甘酸っぱい、恋人たちの風景が添えられる。放送作家・小山薫堂の『恋する日本語』は、現代の日常の中で忘れられつつある35の言葉を拾い、そこからイメージされる物語を各100~200字程度で描いた超ショート・ストーリー集だ。 その掌編に、内容が関連する既存の日本歌曲を組み合わせて朗読とともに上演するのが「歌 もの語り~恋する日本語」。2013年に最初のコンサートが開かれた。今回は昨年11月に行なわれたシリーズ第2弾の好評を受けてのアンコール上演。「團伊玖磨の音楽・レクチャー&コンサート実行委員会」の主催だが、團の作品だけでなく、中田喜直から武満徹、寺嶋陸也、さらにはザ・フォーク・クルセダーズの「悲しくてやりきれない」など、さまざまな日本の歌が歌われる。出演は堀江眞知子(ソプラノ)、山田武彦(ピアノ)、堀江一眞(朗読)ほか。

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