eぶらあぼ 2015.9月号
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42紀尾井ホール開館20周年記念バロック・オペラペルゴレージ:歌劇《オリンピーアデ》(日本初演/セミ・ステージ形式)豪華キャストで蘇る幻のオペラ文:寺西 肇プロムナードコンサート No.365クリスティアン・マチェラル(指揮) 東京都交響楽団ルーマニアの新星、いよいよ日本デビュー!文:飯尾洋一10/6(火)18:30、10/8(木)18:30 紀尾井ホール問 紀尾井ホールチケットセンター03-3237-0061 http://www.kioi-hall.or.jp9/19(土)14:00 サントリーホール問 都響ガイド03-3822-0727 http://www.tmso.or.jp 《オリンピーアデ》は、イタリア・バロックで眩い輝きを放った夭折の天才作曲家ペルゴレージが25歳の時に作曲した、知られざる傑作オペラ。古代ギリシャで開かれたオリンピックを背景に、愛や友情、打算が生む後悔、そして救済を描く。20周年を迎えた紀尾井ホールが、幸田浩子や林美智子ら人気歌手陣を迎えて、この作品をセミ・ステージ形式で日本初演。5年後のオリンピック開催に向けて機運が高まる中、大注目の上演となる。 同作は1735年、ローマで初演。物語は、都市国家の僭主クリステーネが、オリンピックの祭典競技の優勝者に、 週末の午後に開催される名曲シリーズとして好評の都響「プロムナードコンサート」。9月の第365回公演では、新鋭クリスティアン・マチェラルを指揮台に迎え、ロシア音楽とフランス音楽の傑作からなる多彩なプログラムが組まれた。 曲はリムスキー=コルサコフの歌劇《見えざる都市キーテジと聖女フェヴローニャの物語》より「ケルジェネツの戦い」、ショーソンの「詩曲」、サン=サーンスの「序奏とロンド・カプリチオーソ」、チャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」。ショーソンとサン=サーンスでは名手、川久保賜紀のヴァイオリン独奏が聴きものとなる。 指揮のクリスティアン・マチェラルはこれが日本デビュー。1980年ルーマニア生まれの若手ながら、北米で着々とキャリアを築いている新星だ。2011年にフィラデルフィア管弦楽団でアシスタント・コンダクターを務めると、その貢献ぶりが評価されて翌年に自身の娘アリステアをめとらせる、と決めたことに始まる。人知れずアリステアと愛し合うアテネの青年メガークレは、これを知らず、親友リーチダの身代わりとして、競技へ参加することに。ここへリーチダの恋人アルジェーネの存在も作用し、やがて真実の愛が導き出される。ピエトロ・メタスタージオによるこの台本は、大きな評判を呼び、ヴィヴァルディをはじめ、60人以上の作曲家が競作した人気作品だった。はアソシエイト・コンダクターに就任、さらに定期演奏会デビューを成功させると、14年にはコンダクター・イン・レジデンスの地位を獲得している。また、ピエール・ブーレーズの代役をきっかけにシカゴ交響楽団の定期演奏会でも好評を博した。 今回は、幸田(アリステア)と林(アルジェーネ)、吉田浩之(クリステーネ)、澤畑恵美(リーチダ)、向野由美子(メガークレ)をはじめ、望月哲也や彌勒忠史ら、人気・実力ともに申し分のない豪華キャスト。チェンバロで通奏低音も担当する河原忠之が指揮し、ヴァイオリンの石田泰尚がリーダーを務める特別編成の紀尾井オペラ・アンサンブルと共にバックアップ。洗練された舞台創りで知られる、粟國淳が演出する。 ヴァイオリニストとして出発し、かつてはマイアミ交響楽団の最年少コンサートマスターを務めたというマチェラルだけに、オーケストラとのパートナーシップには秀でたものがあるにちがいない。都響との初顔合わせで、どんな「悲愴」を聴かせてくれるのだろうか。粟國 淳幸田浩子林 美智子 ©Toru Hiraiwa澤畑恵美向野由美子河原忠之 ©K.Miura川久保賜紀 ©Yuji Horiクリスティアン・マチェラル ©Sorin Popa

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