eぶらあぼ 2015.8月号
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50西澤安澄第108回 9/18(金) 西澤安澄(ピアノ)&益田正洋(ギター) デュオ第109回 10/23(金) 小森邦彦(マリンバ)第110回 11/27(金) 松本 蘭(ヴァイオリン)各回15:00 19:30 Hakuju Hall問 Hakuju Hallチケットセンター03-5478-8700 http://www.hakujuhall.jp第108回~第110回 Hakuju Hallスーパー・リクライニング・コンサートくつろぎながら楽しむ極上の音楽文:飯尾洋一 Hakuju Hallには「リクライニング・シート」があることをご存知だろうか。コンサートホールとしては異例のことだが、客席にリクライニング・シートが採用されているのだ。ゆったりとした気分で音楽を楽しめる環境として、これ以上のものはないだろう。実際に体験してみるとわかるが、リクライニング・シートで生演奏を聴くというのはかなり新鮮な体験である。オーディオ装置の音を聴くのならともかく、目の前に舞台があるというのに、リクライニングの姿勢をとるのだから、とてつもなくぜいたくな体験をしている気分になれる。 Hakuju Hallの『スーパー・リクライニング・コンサート』は、そんなリクライニング・シートが全席に用意される各回約60分のコンサート・シリーズ。この秋に開催される3公演をご紹介しよう。 第108回は、西澤安澄と益田正洋によるピアノとギターのデュオ・リサイタル。マドリッドを拠点に活動しスペイン音楽を得意とするピアニスト西澤安澄が、気鋭のギタリスト益田正洋とともにスペイン音楽を聴かせる。有名な「火祭りの踊り」を含むファリャの組曲「恋は魔術師」より、ソルの「モーツァルトの《魔笛》の主題による変奏曲」、カステルヌオーヴォ=テデスコの「幻想曲」など、ピアノ・ソロありギター・ソロありデュオありの多彩なプログラムが用意されている。 第109回は、小森邦彦によるマリンバのステージ。バッハの「前奏曲とアレグロ BWV998」、ジェームス・ウッドの「シークレットダイアログ」(委嘱日本初演)、スティーブン・ストーウェンズの「アタマスコ」(日本初演)、ピーター・クラツォウの「Songs 4つの俳句、2つのヴォーカリーゼとインタールードより」9/9(水)19:00 東京文化会館(小)問 プロアルテムジケ03-3943-6677 http://www.proarte.co.jp白石光隆 ピアノリサイタル Vol.28ベートーヴェンの濃密な音世界文:飯田有抄©岩切 等 どんな人の心にも届くパフォーマンスが可能なピアニスト、白石光隆。ピアノ作品の大曲のみならず、小粋な小品から、知られざる名曲、そしてジャズまでを自在に弾き熟す白石が、今年9月のリサイタルではベートーヴェンの最後の3つのソナタ、第30番~第32番に真っ向から対峙する。10年振りの特別プログラムだ。白石は過去にリリースされた2枚のベートーヴェンのソナタ・アルバムを通じて、作曲家のエネルギー溢れるソナタをダイナミックに、かつ洗練された響きで提示した。ベートーヴェンにとってピアノ・ソナタは、当時日々改良が重ねられていたピアノという楽器に、自らの内面に広がる濃密な音世界を託すようにして書き綴った非常に重要なジャンル。聴覚を失った晩年、凝縮されたソナタ形式や変奏曲形式を通じて、ベートーヴェンは何を伝えようとしたのか。白石の淀みないテクニックと幅広い見識に裏付けられた解釈で、その答えに触れられるだろう。(世界初演)、ギャレス・ファーの「タンガロア」という意欲的なプログラムが組まれた。マリンバの超絶技巧と、表現の豊かな可能性を堪能できる公演となりそうだ。ゲストにはソプラノの森川栄子を迎える。 第110回には、ヴァイオリニストの松本蘭が登場。メディアへの出演や「ミス着物」を受賞するなど、既成の枠に留まらない活動をくりひろげる松本蘭だが、ここでは愛の悲しみと喜びを題材とした小品を披露する。エルガー「愛のあいさつ」やフォーレ「夢のあとに」など、名曲が並べられた。ピアノは内門卓也。 せっかくのリクライニング・シート、遠慮なく体を伸ばして、くつろぎながら楽しみたい。益田正洋小森邦彦松本 蘭 ©Yoshinori Kurosawa

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