eぶらあぼ 2015.6月号
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67日本モーツァルト協会 モーツァルト ピアノ・ソナタ全曲演奏会夏の軽井沢でモーツァルト尽くし文:長井進之介リスト音楽院の仲間たち ~ハンガリーに魅せられた六人のピアニスト~ハンガリー流ピアニズムの継承者たち文:飯田有抄モーツァルト ピアノ・ソナタ全曲演奏会7/4(土)11:00 16:00、7/5(日)11:00 16:00 軽井沢大賀ホール問 日本モーツァルト協会03-5467-0626 http://www.mozart.or.jp7/4(土)19:00 モーツァルトを語る夜学(食事付) 軽井沢万平ホテル問 メイ・コーポレーション03-3584-19516/13(土)19:00 トッパンホール問 カワイ音楽振興会03-5485-8511 http://kawai-kmf.com 間もなく570回を迎える定期演奏会を通して、モーツァルトの膨大な作品に取り組んできた日本モーツァルト協会。発足60周年の特別演奏会となる今回は、同協会理事長・三枝成彰のプロデュースにより、日本を代表するピアニストである横山幸雄と仲道郁代を招き、ピアノ・ソナタの全曲演奏会を2日間(4部制)にわたり軽井沢大賀ホールで行う。 古典から近現代作品まで幅広いレパートリーを持つ横山幸雄は、様々な形式でショパンやベートーヴェンの全曲演奏会を開催し、聴衆に多くの驚きをもたらしてきた。モーツァルトの作品には折に触れて取り組んできたものの、まとまった形でソナタを取り上げるのは意外にも今回が初めてであり、新たな領域における横山の挑戦に期待せずにはいられない。 近年「ベートーヴェン弾き」としての地位を確立している仲道郁代も、多彩な趣向を凝らした演奏会を企画するな 多くの優れた世界的音楽家を輩出しているハンガリーのリスト音楽院。日本からも多くの有能な学生たちが留学先としてこの音楽院を選び、熱心に学んでいる。留学生活から戻った同窓生たちは、今では目覚ましい活躍ぶりを見せている。 6月に、同院で学んだ確固たる実績と人気を誇る6名のピアニストが集い、『リスト音楽院の仲間たち~ハンガリーに魅せられた六人のピアニスト~』と題したジョイントコンサートが開かれる。メンバーは干野宜大、志茂征彦、金子恵、揚原祥子、津嶋啓一、高ど、国際的に活動を続けている。モーツァルトの作品に長きにわたって取り組んできた彼女は、既にピアノソナタを全曲録音しており、熟成したモーツァルトが期待される。 演奏会は担当する作品を振り分けて進行するが、K310については横山、仲道の両方の演奏を楽しむことができる。違う角度からのアプローチに触れ、作品の新たな魅力に気づけるはず。また、初日の夜には横山、仲道、三枝による食事付きの『モーツァルトを語る夜学』も軽井沢万平ホテルで開催。それぞれのモーツァルト観など、貴重な話も聞けることであろう。夏の田匡隆。いずれも活発な演奏活動と音楽大学での指導に当たり、今後ますます日本のピアノ音楽界を牽引していく豪華な顔ぶれだ。発起人は干野と津嶋で、この公演を旗揚げとして今後のシリーズ化も視野に入れているという。 披露される曲目は「ハンガリー狂詩曲」(干野・金子)、「巡礼の年」(揚原・津嶋)、「死の舞踏」(高田)などリスト中心で、リゲティの歌曲(志茂、ソプラノ軽井沢という最高のロケーションで、モーツァルト尽くしの時間を堪能してほしい。の内藤稚子と共演)や、シューベルト歌曲のリストによるトランスクリプション(干野)も登場する。ハンガリーの伝統が誇る音楽的構築力や華麗なるピアニズムの諸相が、この一夜を通してたっぷりと伝えられることになるだろう。ブダペストにあるリスト音楽院の長年の改装工事が昨年終了したタイミングとも一致し、同地での学びを希望する若者たちを触発することにもなりそうだ。横山幸雄 ©Masafumi Nakayama仲道郁代 ©Kiyotaka Saito干野宜大志茂征彦金子 恵揚原祥子津嶋啓一 ©武藤 章高田匡隆

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