eぶらあぼ 2015.6月号
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64©藤本史昭Ensembleφによるピアノトリオの世界7/31(金)19:00 ヤマハホール問 ヤマハ銀座ビルインフォメーション  03-3572-3171http://www.yamaha.co.jp/yamahaginzaEアンサンブル・ファイnsembleφ(室内楽ユニット)涼しげだけれど奥の深い3曲に挑みます取材・文:東端哲也Interview 室内楽の世界を深く追究する才色兼備な3人によって結成されたEnsembleφ。ピアノの宮谷理香、ヴァイオリンの礒絵里子、チェロの水谷川優子によるユニットだ。自然界や美術作品における完璧なる美のかたち「黄金比」を意味するユニット名にも彼女たちの志の高さが表れている。 「いかにも“女子3人組”なネーミングにはしたくなかったのと、ピアノ三重奏を土台に様々な編成も視野に入れ、敢えて“トリオ”という言葉も避けました。それぞれに独自の理想はあるけれど、3人一緒なら今まで登ったことのないような山の頂上を目指すこともできる…見たこともない風景に出会える気がするんです」(宮谷) 「とても仲はいいけれど、異質な者同士がぶつかり合って素敵な化学反応が起きる。ふだんから結構かしましい3人ですが、その分、リハーサルなどでは作品についてお互いによく掘り下げた話ができていると思う」(水谷川) 7月31日には、3年前に記念すべきデビュー・コンサートを行ったヤマハホールに再登場する。 「前回がベートーヴェンのピアノ三重奏曲第7番『大公』にチャイコフスキーの『ある偉大な芸術家の思い出のために』と、かなり重量級のプログラムだったので、今回は爽やかに…真夏の夜ということもありますし」(礒) 当日の1曲目はベートーヴェンのピアノ三重奏曲第5番「幽霊」。 「あまり演奏されない作品ですが、名前の持つおどろおどろしいイメージとは全然違うところを聴いていただきたくて。前回はベートーヴェンの語法の表現の仕方もまだ模索中でしたので、その後の成長を感じてもらえたらと」(宮谷) 2曲目にマルタンのアイルランド民謡による三重奏曲を挟み、ブラームスのピアノ三重奏曲第2番と続く流れ。 「スイス人のマルタンが想い描く憧れの異国、アイルランドの風景が、むしろ私たち日本人だからこそ理解できるような気がします。ブラームスの2番も、改作される前の1番より削ぎ落とされている感じが好きですね」(礒) 「どれも涼しげな3曲だけれど、ちゃんと奥も深い。ベートーヴェンとブラームスの間に、エルガーの『愛の挨拶』などを持ってこないところが、私たち“らしさ”かも(笑)」(水谷川) ラグジュアリーな街を見下ろす、333席のホールの親密な空間で味わう、プレミアムな一夜になりそうだ。 「ピアノは言うまでもありませんが、ホール自体に使われているマテリアルが素晴らしい」(水谷川) 「ホールもオープンから5年が経ち、木のエイジングが室内楽にぴったりの響きを作り出していますね。弾くのが楽しみです」(礒)6/15(月)19:00 紀尾井ホール問 ミュージックプラント03-3466-2258 http://www.mplant.co.jpエルサレム弦楽四重奏団“弦の国”が誇る驚異のアンサンブル文:笹田和人©Felix Broede 音楽への情熱と緻密さ、そして人間としての暖かみが三位一体となったサウンドで、世界中の聴衆の耳を捉えているエルサレム弦楽四重奏団。アレクサンダー・パヴロフスキー(第1ヴァイオリン)ら、イスラエル気鋭の弦楽器奏者によって1993年に結成され、3年後にデビューを果たすや、完璧なアンサンブルがたちまち注目の的に。ニューヨークやロンドンなど欧米の主要都市でのステージを重ねる一方、オーストリア・グラーツでの「シューベルトならびに20世紀音楽コンクール」を制するなど登竜門での実績も上げ、ハイドンやベートーヴェンのシリーズや録音でも高い評価を得ている。 今回の来日公演では、「死と乙女」ことシューベルトの第14番に、スメタナの第1番「わが生涯より」、そしてモーツァルトの第14番(ハイドン・セット第1番)と、珠玉の弦楽四重奏曲を披露。20年以上の活動歴の中から紡ぎ出される驚異のアンサンブルを体感したい。

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