eぶらあぼ 2015.6月号
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59ロシア国立交響楽団 with 及川浩治(ピアノ) & 辻本玲(チェロ)ロシアの名門と日本の人気アーティストとの競演文:東端哲也文京シビックホール15周年記念公演 テミルカーノフ & 読響ホールの15周年を祝う、巨匠渾身の大交響曲文:柴田克彦7/9(木)19:00 サントリーホール問 チケットスペース03-3234-9999/テンポプリモ03-5810-7772http://www.tempoprimo.co.jp6/7(日)15:00 文京シビックホール問 シビックチケット03-5803-1111 http://bunkyocivichall.jp同プログラムの他公演6/5(金)サントリーホール(読響チケットセンター0570-00-4390) 1957年設立の全ソヴィエト放送オペラ交響楽団を前身とし、ロジェストヴェンスキーの音楽監督時代にソヴィエト国立文化省交響楽団と改称。さらには91年にソヴィエト連邦国立室内合唱団と合併して生まれた、ロシア国立交響楽団。この時、ロジェストヴェンスキーの要請で合唱指揮の重鎮から音楽監督に就任し、オーケストラのレパートリーを飛躍的に拡充させたのが、ロシアきっての鬼才指揮者と評されるヴァレリー・ポリャンスキーだ。 この7月にサントリーホールで開催されるコンサートは、それぞれに日本を代表するソリストを迎えた、2つの協奏曲をメイン・ディッシュとするスペシャル・プログラムだ。最上級の難易度を誇るラフマニノフのピアノ協奏曲第3番には、情熱的な演奏で知られる及川浩治を起用。ダイナミックさと繊細さを併せ持ち、聴衆にダイレクトに訴える彼のピアノが、時に“最後の爆演 ロシアの巨匠ユーリ・テミルカーノフは、文京シビックホールを特別視している。2011年、手兵サンクトペテルブルク・フィルを率いて初登場した際、その音響と聴衆の反応に感銘を受けた彼は、「合唱が加わるマーラーの交響曲第2番『復活』を、ぜひこのホールで取り上げたい」と要望。14年の日本ツアーにおいて、同曲を唯一同ホールで披露し、壮絶な演奏を展開した。そのとき金管と打楽器のバンダを受け持ったのが、読響のメンバーたち。彼らの見事なアンサンブルは、聴く者全てを感嘆させた。そしてその成果を踏まえ、今度は読響を振って同ホールに登場する。 演目はマーラーの交響曲第3番。巨大編成のオーケストラと独唱&合唱を要する、全6楽章の超大作である。“自然への賛美”を表わす音楽は、精妙な響きや色彩感などサウンド的な妙味を満載。大河のようなフィナーレは感動必至だ。むろんこれは、「『復活』に続いてマーラーの声楽付き交響曲を文京シビック型指揮者”とも呼ばれるポリャンスキーが紡ぐ音色と、どれほどの熱い共演を聴かせてくれるのか期待は高まる。 一方、ドヴォルザークのチェロ協奏曲には、次世代を担う若き実力派チェリストの辻本玲を起用。朗々とスケールの大きな表現に定評のある彼が、雄大なオーケストレーションを得て、どれほどで披露する」というテミルカーノフ渾身の選曲。日本を代表するメゾソプラノ、小山由美に新国立劇場合唱団ほか声楽陣も万全の態勢で臨む。 名門サンクトペテルブルク・フィルの芸術監督を25年以上務めるテミルカーノフは、今年77歳。今回も当然、芳醇で奥深い円熟の表現が期待される。また読響は近年、重厚かつゴージャスなサウンドに精緻さを加え、3月には12年ぶりの欧州公演で成功を収めたばかり。00年以来再の相乗効果をあげるのか、こちらも期待を高めずにはいられない。この他、コンサートの冒頭には、グリンカの歌劇《ルスランとリュドミラ》の序曲も演奏予定。ロシア音楽の伝統を最も受け継ぐオーケストラが、日本で花開く特別な一夜を、真夏のサントリーホールで目の当たりにしてみてはいかが。三共演し、「読響の音を変えた」と賞される巨匠が、充実顕著な今の読響を指揮していかなる名演を聴かせてくれるのか?大いに楽しみだ。辻本 玲 ©竹原伸治及川浩治 ©Ayumu Gombiヴァレリー・ポリャンスキー ユーリ・テミルカーノフ ©読売日本交響楽団

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