eぶらあぼ 2015.6月号
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168■「木之下晃 お別れの会」が開催 今年1月12日に虚血性心不全のため亡くなった写真家の故・木之下晃氏(享年78)との思い出を語り合おうと、指揮者の小澤征爾らが発起人となって、4月24日、「木之下晃 お別れの会」がサントリーホール ブルーローズで行われた。 会には親交のあった音楽家や関係者が多数列席、黙祷に続きピアニストの小山実稚恵が献奏、発起人を代表し日本写真家協会会長の田沼武能、日本福祉大学理事長の丸山悟が弔辞を読んだ。弔辞で田沼は「カラヤンや小澤征爾の指揮するリズムからシャッターチャンスを学んだという木之下さんの写真は、“音が聞こえてくる写真”という評価を得た。40年間に内外の1700人にのぼるアーティストと300を超えるコンサートホールや劇場を撮影したその功績には大いなるものがあり、後世に伝わるもの。音楽写真家と名乗ってそれが通じるのは、彼の業績あってのこと。木之下さんは音楽写真家の地位を築いた第一人者」と讃えた。 また、会では木之下氏のこれまでを振り返るビデオが紹介され、2013年に中日新聞に連載した『音楽写真の夢』をまとめた冊子『音楽写真家 木之下晃-たいせつな出会い-』が配られた。 木之下氏は1936年長野県諏訪町(現・諏訪市)生まれ。中日新聞社、博報堂を経て、73年に独立。写真集『世界の音楽家』(全3巻、小学館)で86年第36回芸術選奨文部大臣賞を受賞。2005年日本写真協会賞、06年紫綬褒章、08年第18回新日鉄音楽賞・特別賞を受賞。木之下晃アーカイヴスhttp://kinoshita-akira.jp■ピエタリ・インキネンが 次期日本フィル首席指揮者に就任へ 2016年に創立60周年を迎える日本フィルハーモニー交響楽団の首席指揮者にピエタリ・インキネン(現・首席客演指揮者)が就任する。日本フィルが4月20日に都内で行った会見で発表した。16年9月から就任。任期は3年。年3回の来日を予定している。2015/ 16シーズンは首席客演指揮者としての契約を延長する。 インキネンは09年より日本フィルの首席客演指揮者に就任し、母国の作曲家シベリウスを中心に取り組んできたほか、13年9月の定期演奏会での《ワルキューレ》第1幕(演奏会形式)を大成功に導いた。その成功を踏まえ今後はワーグナーを中心にドイツ音楽の重厚な深みのある音を追求、また古典作品なども取り上げ、日本フィルの新たなレパートリーを展開していく予定。 また、日本フィルが掲げる3つの柱の一つであるエデュケーションプログラムの一環として、「インキネン・アカデミー」と称する企画を予定している。これについてインキネンは「自分自身が若い頃からとても恵まれた環境にあったので、同様な環境を作り、若手の奏者や指揮者の教育を積極的にしていきたい」とその思いを熱く語った。日本フィルの首席指揮者を受けた理由について、「最初の共演時からお互いの息が合い、音楽に対する情熱が共鳴するところを感じ、就任することは自然の流れだった」と述べた。続けて、昨今コンサートホールに足を運んで音楽に身を委ねるファンが少なくなっていることに思いをはせ「演奏会を続けていくことはとても大切です。人と人とを結ぶ生演奏の力強さを、演奏者が情熱を持ち、質の高いものを提供することで、どんな方にでも何かを感じてもらえると思います。二度とない実演の経験でその音楽の素晴らしさ、音楽の強さを聴衆に感じていただけたらと考えています」と締めくくった。 なお、日本フィル首席指揮者就任に先立ち、15年9月からプラハ交響楽団の首席指揮者に就任。16年1月にはインキネンと同楽団が日本公演を行う。日本フィルハーモニー交響楽団http://www.japanphil.or.jp木之下晃氏の遺影を前に献奏する小山実稚恵 Photo:M.Terashi/Tokyo MDEPhoto:M.Otsuka/Tokyo MDE

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