eぶらあぼ 2015.5月号
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735/19(火)19:00 サントリーホール ブルーローズ(小)問 ヒラサ・オフィス03-5429-23995/28(木)14:00 19:00 京都文化博物館 別館ホール問 otonowa075-252-8255通崎睦美リサイタル 『木琴デイズ』いまよみがえる“木琴”ワールド文:宮本 明©中川忠明 戦後日本の国民的音楽家だった木琴奏者・平岡養一(1907-1981)。1930年に渡米、NBCの専属として大恐慌時代から日米開戦まで10年以上の毎朝、ラジオの生演奏番組を続けたこの楽器の先駆者だ。その生涯と、背景となる時代の木琴受容までを丁寧に描いて、昨年の吉田秀和賞とサントリー学芸賞をダブル受賞した注目の書籍『木琴デイズ』(講談社)。その著者であり、自身もマリンバ・木琴奏者の通崎睦美が、東京と地元京都でコンサートを開く。東京は受賞記念リサイタル、京都は継続中の「木琴デイズ」シリーズ3回目と内容は異なるが、どちらも平岡にまつわる曲目が並ぶ。使用楽器は、2005年に通崎が遺族から譲り受けた平岡の愛器。評伝を書くきっかけとなり、マリンバが専門だった彼女を木琴にのめり込ませた楽器だ。さらに、1928年に平岡がデビュー演奏会で弾いたものと同型の貴重な楽器も登場する。東京公演は受賞記念のおみやげ付きというのもお楽しみ。5/5(火・祝)13:30 浜離宮朝日ホール問 全日本ピアノ指導者協会(ピティナ)  03-3944-1583http://www.piano.or.jpピティナ「十代の演奏家」Vol.18 特別編 阪田知樹(ピアノ)大器の音楽性を体感文:高坂はる香©Ellen Appel-Mike Moreland/The Cliburn 全日本ピアノ指導者協会(ピティナ)による人気シリーズ『十代の演奏家』。田村響や関本昌平、遡れば田部京子なども十代の時分に登場しているというから、有望な若手を抜擢するその眼力は確かだ。 2010年以降休止していたシリーズが再開されるにあたり、「特別編」として登場するのは阪田知樹。11年ピティナ・ピアノコンペティション特級グランプリ、13年にはヴァン・クライバーンコンクールで最年少ファイナリストとなって注目された21歳。昨年からハノーファーで研鑽を積むようになり、数年中のさらなる飛翔が期待される、このシリーズに相応しい出演者だ。 プログラムは、音楽への純粋な探究心と愛情を持つ阪田らしい内容。冒頭にメシアン追悼のために書かれたミュライユの「別離の鐘、そして微笑み…」を置き、ラヴェルの「夜のガスパール」、フォーレ最晩年の作であるノクターン第13番とつなぐ。どんなハーモニーの移ろいが見えるだろうか。さらに得意とするリスト「スペイン狂詩曲」や、ショパンのソナタ第3番など盛りだくさんの内容が用意されている。5/2(土)18:30東京オペラシティ コンサートホール5/16(土)18:30 八戸市公会堂問 Voce D'oro(ヴォーチェ・ドーロ)   050-3636-0200中嶋香(ソプラノ) & 大おおはし幸師(テノール)音楽ですすめる国際交流と社会貢献文:笹田和人左:中嶋 香 右:大槗幸師 イタリアのミラノ・ヴェルディ音楽院やミラノ音楽学校に学び、36年にわたって現地を拠点に定めて、夫婦での演奏活動を続けるソプラノの中嶋香とテノールの大槗幸師。共に師事した名門スカラ座の伝説のプリマ、故アデライーデ・サラチェーニからは「もう教えることがない。今や、私があなたたちから学んでいる」と、その実力を認められた。海外と日本を頻繁に往き来してのステージ活動を通じ、ベル・カントの伝統を今に伝える2人だが、力点を置くのは、音楽による国際交流と社会貢献。 今回のステージには、2人と長い親交のあるスカラ座元主任コーディネーターのマエストロ・ピザーニが駆け付け、東日本大震災などの天災や、戦禍で苦しむ世界中の人々への祈りを込める。今年は中嶋の母の故郷である八戸でも公演を開催。その美しい歌声を亡き母へも捧げる。また、このコンサートの後援には、まさに今、復興から発展へと力を傾けているボスニア・ヘルツェゴビナ、アルバニア、ジブチなど各国大使館が名を連ねている。 イタリアの名旋律はもちろん、格別のこだわりを持つ日本の調べまで。2人が紡ぐ歌声は、きっと聴く者の心を震わせるだろう。

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