eぶらあぼ 2015.5月号
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6363ミヒャエル・ザンデルリンク(指揮) ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団伝統を尊重しつつ未来を見据える文:山崎浩太郎ヴィオラスペース 2015 vol.24ヴィオラの魅力と可能性を追求文:笹田和人7/6(月)19:00 サントリーホール問 ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040 http://www.japanarts.co.jp他公演6/29(月)札幌コンサートホールKitara、7/2(木)武蔵野市民文化会館、7/3(金)愛知県芸術劇場コンサートホール、7/4(土)ザ・シンフォニーホール、7/5(日)所沢市民文化センターミューズ、7/8(水)東京文化会館問 ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040第3回 東京国際ヴィオラコンクール 5/30(土)~6/7(日)ガラ・コンサート Ⅰ「天国からの音楽」6/4(木) Ⅱ「ロマンス」 6/5(金)入賞記念コンサート 6/7(日) 上野学園 石橋メモリアルホールヴィオラスペース2015 第3回 東京国際ヴィオラコンクール 入賞記念ガラ・コンサート【大阪】 6/9(火) あいおいニッセイ同和損保ザ・フェニックスホール【名古屋】 6/11(木) 電気文化会館ザ・コンサートホール問 東京国際ヴィオラコンクール運営事務局03-6418-8617 http://tivc.jp 『父子鷹(おやこだか)』は、勝海舟とその父、勝小吉を主人公にした、子母澤寛の名作小説のタイトルだ。現在の指揮者界には、この作品を思い出さずにはいられない父と子が何人かいる。故アルヴィドとマリスのヤンソンス父子はその筆頭だろう。ネーメとパーヴォ、クリスチャンのヤルヴィ一家もいる。東欧、ロシアなど、旧共産圏にその例が多いのは面白いところだ。 名指揮者、クルト・ザンデルリンク(1912~2011)の3人の息子も、いま指揮者として活躍中である。トーマス(1942年生)、シュテファン(1964年生)、そしてミヒャエル(1967年生)。このなかで、いま最も期待されているのが、三男のミヒャエルだ。名門ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の首席を務めたほどのチェロの名手だが、21世紀に入ると父と兄の後を追って指揮者に転向、2011年にドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者に迎えられた。 そして、旧東独時代にマズア、ケーゲ 「ヴィオラの礼賛」「優れた作品の紹介と新作発表」「若手の育成」をコンセプトに、どこか“縁の下の力持ち”的な印象のあるヴィオラにスポットを当て、その魅力を徹底的に掘り下げてきた『ヴィオラスペース』も、東京での開催は今年で24回目に。今回は、第3回東京国際ヴィオラコンクールを核に、第一線の名奏者らによる2つのガラ・コンサート、コンクール入賞者によるコンサート、ワークショップなどが開かれる。 アジア唯一のヴィオラ単独の国際的な登竜門として3年ごとに開催、優秀な人材を輩出している東京国際ヴィオラコンクール。審査委員長を務める今井信子は「質の面では、前回よりもさらに充実。この作品を弾きたい、日本に来たい、と思って応募してきた人たちです」と予備審査を終えての感想を語る。5月30日に第1次審査が始まり、第2次審査を経て、6月5日と6日にブラームスのソナタなどを課題とする本選へ。入ル、ヤノフスキなど職人肌のシェフに鍛えられてきたこのオーケストラに、いま新風を吹き込みつつある。伝統を尊重しつつ、ピリオド・スタイルもとりいれ、キリリと引きしまったそのベートーヴェン演奏は、13年の来日公演でも高く評価された。 今回は《フィデリオ》序曲、ピアノ協奏曲第5番「皇帝」、そして交響曲第7番という、オール・ベートーヴェン・プログラムだけに、その清賞者は、記念コンサート(6/7)にも臨む。 また、「天国からの音楽」と題したガラでは、2004年に難関ミュンヘン国際コンクールを制したアントワン・タメスティや、今井ら6人の名手が集結し、バッハ「ブランデンブルク協奏曲第3番」などを披露(6/4)。そして、もうひとつのガラ新なスタイルはさらに徹底されるだろう。「皇帝」での清水和音との共演も楽しみだ。「ロマンス」では、タメスティと今井をソリストにテレマンの協奏曲、佐々木亮のソロで林光の協奏曲など、バロックから現代まで多彩に(6/5)。11回目の大阪と、10回目の名古屋では、東京でのガラのエッセンスとを届けると共に、入賞者のお披露目を行う。ミヒャエル・ザンデルリンク ©Marco Borggreve左より:今井信子 ©Marco Borggreve/アントワン・タメスティ ©Eric Larrayadieu/佐々木 亮 ©尾崎 誠

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