eぶらあぼ 2015.5月号
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266山海塾 新作『海の賑わい 陸オカの静寂―めぐり』夢幻的な様式美を心ゆくまで味わう文:渡辺真弓 今年で結成40年、ヨーロッパに出て35年。活動の節目を迎えた天児牛大(あまがつうしお)率いる山海塾が、3月に新作『海の賑わい 陸の静寂―めぐり』を北九州芸術劇場で世界初演した。「遠くからの呼び声」から「回帰」に至るまで全7景。山海塾の新作が国内で初演されたのは36年ぶりとのことで意気込みもひとしお。共同制作に携わった、コンテンポラリー・ダンスのメッカ、パリ市立劇場など海外へも発信される。反響が楽しみだ。国内ではまず5月に東京の世田谷で、この新作と並んで『歴史以前の記憶―うむすな』が再演される。『うむすな』の表題は日本の古語「うぶすな(産土)」に由来。6月には大津で『うむすな』が、松本で『とばり』が上演される。北九州芸術劇場と大津のびわ湖ホールは、共同制作に積極的に携わるなど長年にわたり山海塾の活動をサポートしてきた。世界の第一線で活躍する異色の舞踏カンパニーが確立した夢幻的な様式美を心ゆくまで味わってみたい。『海の賑わい 陸の静寂―めぐり』5/20(水)~5/24(日) 『歴史いぜんの記憶―うむすな』5/29(金)~5/31(日) 世田谷パブリックシアター 問 山海塾03-3498-9622/世田谷パブリックシアター03-5432-1515 『歴史いぜんの記憶―うむすな』6/7(日)14:00 びわ湖ホール(中) 問 びわ湖ホールチケットセンター077-523-7136  『降りくるもののなかで―とばり』6/13(土)14:00 まつもと市民芸術館問 まつもと市民芸術館チケットセンター0263-33-2200『MEGURI』 ©Sankai Juku柳家花緑の落語バレエ『おさよ』~バレエ・ジゼルより~落語とバレエのコラボレーション文:新藤弘子 江戸のはずれの小さな農村。村一番の小町娘おさよは、町から越してきた姿のいい若者と恋仲になる。だがこの新三郎、じつは身分を隠した若殿様で… 古典バレエ『ジゼル』をもとにした柳家花緑の創作落語『おさよ』。身分違いの悲恋物語は江戸時代の日本にもぴったりはまり、たくみな話術がおさよたちの姿を笑いと涙の中にいきいきと描き出す。 この『おさよ』と本家『ジゼル』の夢の共演が、世界で初めて実現する。花緑の噺と交互に登場するのは、「ジゼ5/24(日)15:00 ティアラこうとう 問 ティアラこうとう03-3635-5500 http://www.kcf.or.jp/tiaraル三昧」と題して6月、7月にも全幕上演を行う東京シティ・バレエ団のダンサーたち。ジゼル役の志賀育恵、アルブレヒト役の黄凱、ミルタ役の清水愛恵ら、実力あるキャストが舞台を彩る予定だ。本編終了後には、バレエ団芸術監督の安達悦子とのトークも用意されている。落語ファンもバレエ・ファンも未体験の世界。いったいどんな舞台になるのか、ぜひ見届けたい。柳家花緑『ジゼル』よりコンドルズ埼玉公演2015新作『ストロベリーフィールズ』いちご畑で何かが起きる!?文:乗越たかお 「ストロベリーフィールズ」と言われれば、「フォーエバー」と答える。それがビートルズを聴いて育ったオッサン達のあかしだが、そんな世代を含みつつも元気に暴れ回っているのがコンドルズである。トレードマークの学ラン姿、ダンスから歌からコントから、「何でもアリ」のパワーを炸裂させてきた。今年は南アフリカ共和国でのツアーも成功させるなど、海外での評価も高い。 上演される彩の国さいたま芸術劇場での新作発表は9作目になる。前回公演『ひまわり』では舞台奥から迫り出してくるひまわり畑のなかで踊る近藤のソロダンスのシーンに、感動で胸を熱くする人が続出した。この劇場を知り尽くしたコンドルズが今回挑むのは「劇場の奥行きと高さを活かした舞台」なのだという。ストロベリーは背の低い草なので、「高さ」をどう活かすのか興味深いところだ。あるいは「フォーエバー」こそ5/30(土)14:00 19:00、5/31(日)15:00 彩の国さいたま芸術劇場問 彩の国さいたま芸術劇場0570-064-939 http://www.saf.or.jp/『ひまわり』(2014年) ©HARUが裏テーマなのか!? と、期待に胸を膨らませながら待ちたい。

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