eぶらあぼ 2015.4月号
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1946月の見もの・聴きもの2015年6月の曽そし雌裕ひろかず一 編〔Ⅰ〕オーストリアウィーン芸術週間[会場:無印=コンツェルトハウス大ホール(ウィーン)、(AW)=アン・デア・ウィーン劇場(ウィーン)](6月分/主要公演のみ(小ホール分は省略))6月1(19:30)日 A.パッパーノ指揮ローマ・サンタ・チェチーリア国立管 ブルックナー:交響曲第8番◎6月2(19:30)日 E.P.サロネン指揮フィルハーモニア管 ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ、左手のためのピアノ協奏曲、ストラヴィンスキー:火の鳥 独/P.L.エマールp◎6月3(19:30)日 M.ポリーニp シューマン:アラベスク、クライスレリアーナ、ショパンの作品6月7(19:30)日 E.クリヴィヌ指揮ルクセンブルク・フィル ウェーベルン:パッサカリア、マーラー:亡き子をしのぶ歌、R.シュトラウス:ツァラトゥストラはかく語りき 独/M.ゲルネBr6月8(19:30)、9(19:30)日 L.ラングレ指揮カメラータ・ザルツブルク モーツァルト:フィガロの結婚〜序曲、ウェーバー:クラリネット協奏曲第1番、ロッシーニ:セビリャの理髪師〜序曲、序奏・主題と変奏、モーツァルト:交響曲第36番「リンツ」 独/M.フレストcl◎6月10(19:30)日 A.シフp ハイドン:ピアノ・ソナタ第50番、ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第30番、モーツァルト:ピアノ・ソナタ第15番、シューベルト:ピアノ・ソナタ第19番6月17(19:30)、18(19:30)日 O.ヴァンスカ指揮ウィーン響 ペルト:ベンジャミン・ブリテンへの追悼歌、K.アホ:打楽器協奏曲「聖山」、シベリウス:交響曲第1番 独/M.グルービンガーpc★◎6月19(19:30)(AW)、21(19:30)(TW)、23(19:30)(TW)、25(19:30)(TW)日 バルトーク:青ひげ公の城[プレミエ]/シューマン:幻覚の変奏曲(主題と変奏)[プレミエ]指/K.ナガノ、演出/A.ブレート、出/〔青ひげ公の城〕G.ブレッツ、N.グビッシュ、演奏/〔青ひげ公の城〕グスタフ・マーラー・ユーゲント管/〔幻覚の変奏曲〕E.レオンスカヤp/M.ヒンターホイザーp(25日)6月23(19:30)日 C.マイスター指揮ウィーン放送響 ブルックナー:ミサ曲第3番、メシアン:キリストの昇天 独/R.ジーザクS、J.ベヒレMs、B.ブルンスT、G.グロイスベックBsウィーン国立歌劇場6月2、5、8日 R.シュトラウス:サロメ 指/P.シュナイダー、演出/B.バルロク、出/A.コンラート、J.ベヒレ、G.B.バークミン6月3、6、9日 ベートーヴェン:フィデリオ 指/A.フィッシャー、演出/O.シェンク、出/J.シュメッケンベッヒャー、R.D.スミス、N.シュテンメ、L.ヴォルト◎6月4日 ワーグナー:ジークフリート 指/S.ラトル、演出/S.E.ベヒトルフ、出/S.グールド、E.ヘルリツィウス、M.フォッレ◎6月7日 ワーグナー:神々のたそがれ 指/S.ラトル、演出/S.E.ベヒトルフ、出/S.グールド、F.シュトルックマン、E.ヘルリツィウス、B.ダニエル、C.ウェンボーン6月11、13、16、19日 モーツァルト:ドン・ジョヴァンニ 指/C.マイスター、演出/J.L.マルティノーティ、出/A.プラチェトカ、H.ゲルツマヴァ、B.ブルンス、O.ベズスメルトナ、A.アルドゥイーニ★◎6月14、18、21、24、27日 T.アデス:テンペスト[プレミエ] 指/T.アデス、演出/R.ルパージュ、出/A.エレート、A.ルナ、S.ハウツィール、D.ダニエルズ6月17、20、23、26、30日 ヴェルディ:リゴレット指/チョン・ミョンフン、演出/P.オーディ、出/S.ピルギュ、S.キーンリサイド、H.ファヒマ◎6月22、25、29日 ヒンデミット:カルディヤック指/M・ボーダー、演出/S.E.ベヒトルフ、出/T.コニエチュニ、A.デノーケ、H.リッペルト、W.バンクル、M.クリンクウィーン・フォルクスオーパー6月1(19:00)、10(19:00)、26(19:00)、29(19:00)日 モーツァルト:コジ・ファン・トゥッテ[15年5月プレミエ] 演出/B.クリメク6月3(19:00)、5(19:00)、11(19:00)、21(19:00)、24(19:00)、28(19:00)日 カールマン:マリツァ伯爵夫人 演出/T.エンツィンガー6月4(19:00)日 ヴェルディ:椿姫 演出/H.グラツァー6月7(16:30)、13(19:00)、16(19:00)、18(19:00)、23(19:00)日 S.ソンドハイム:スウィーニー・トッド 演出/M.ダヴィッズ6月12(19:00)、14(19:00)、15(10:30)、20(19:00)、30(19:00)日 モーツァルト:魔笛演出/H.ローナー6月22(10:30)日 ヨハン・シュトラウス:こうもり演出/R.ヘルツル、新校訂演出/H.ツェドニクアン・デア・ウィーン劇場★◎6月19(19:30)、21(19:30)、23(19:30)、25(19:30)日 バルトーク:青ひげ公の城[プレミエ]/シューマン:主題と変奏(幻覚の変奏曲)[プレミエ] → 〔ウィーン芸術週間〕参照ウィーン・フィル[会場:無印=ムジークフェライン(ウィーン)、(KH)=コンツェルトハウス(ウィーン)、(AAL)=ミュージック・ハウス(オールボー/デンマーク)、(OD)=コンサートハウス(オーデンセ/デン【本文中の記号】★=プレミエ[新演出]公演、◎=注目公演 今年の6月は、例年盛り上がりを見せる「ウィーン芸術週間」に今ひとつインパクトが乏しい。サロネン=フィルハーモニア管や、ピアノのポリーニ、シフといった定番の人気公演の他には、アン・デア・ウィーン劇場でのオペラも、バルトークの「青ひげ公の城」とシューマンの最後のピアノ曲からの編曲もの…と意欲的ではあっても、大きな核となる公演が見当たらない。ウィーンであれば、むしろ、国立歌劇場の方で5月から続く、ラトル指揮のワーグナー「リング」ツィクルス(ジークフリート、神々のたそがれ)とか、トーマス・アデスの「テンペスト」プレミエ公演などの方に目が向く。いや、6月のウィーン・フィル公演の指揮台に立つのが、ウィーン国立歌劇場を辞任した前音楽監督のフランツ・ウェルザー=メストであることをもっと「要注目!」としなければいけないのかもしれない。彼は、歌劇場の制作方針と意見が合わなかっただけであって、ウィーン・フィルと仲違いしたわけではない。特に6月に彼の振るメイン・プログラムは、今年生誕150年を迎えるニールセンの交響曲第4番「不滅」なので、この曲をウィーン・フィルで聴けるのは大いに楽しみでもある。 音楽祭の中では、グラーツで毎年6-7月に行われる「シュティリアルテ音楽祭」でのアーノンクールの出し物がいつも注目公演だが、6月は、ヨーロッパ室内管を振るドヴォルザークの「解説付コンサート」が面白い。彼は、ここのところ、自身のコンサートの演奏前に5分から10分くらいの曲目解説を行うのが恒例行事となっているが、この演奏会では最初から「解説付コンサート」と謳っているのだからさあ大変。アーノンクールの生の声を聴きたい人にとっては絶好の演奏会! ベルリン州立歌劇場での6月のミニ音楽祭は「インフェクション!」と呼ばれる現代作品の競演だが、その前後に並ぶグルベローヴァ主演の「異国の女」と、メッツマッハー指揮ノイエンフェルス演出のR.シュトラウス「ナクソス島のアリアドネ」の両プレミエはどちらも見逃せない。特にノイエンフェルスが「アリアドネ」の舞台にどれほど斬新な世界を展開できるのか興味津々だ。 一方、2017年9月からロンドン響の音楽監督に就くことが発表されたばかりのサイモン・ラトルは、ベルリン・フィルでヴァイオリンのテツラフやピアノのツィメルマンと組んだ演奏会を行う。その他にも、ソプラノのバーバラ・ハンニガンと共に取り上げる20世紀作曲家グリゼーの「限界を超えるための4つの歌」や、恒例のベルリン郊外ヴァルトビューネでの野外コンサートで、なぜかラン・ランとグリーグのピアノ協奏曲を演奏した後、ジョン・ウィリアムズやバーナード・ハーマンのヒット映画音楽集でシーズンを締めるという、意欲満点の活動振り。また、ドミンゴ御大は、ハンブルク州立歌劇場でヴェルディの「仮面舞踏会」、英国ロイヤル・オペラで「椿姫」に出演するなど、もはやレジェンドとしての存在感を示す。 他には、大野和士氏がリヨン国立歌劇場で振る、シーズン最後のプレミエ公演、ドビュッシーの「ペレアスとメリザンド」、キリル・ペトレンコがバイエルン州立歌劇場、ルイジがオランダ国立オペラで振るベルクの「ルル」、ミンコフスキ=パリ・オペラ座のグルック「アルセスト」、奇才ミキエレットが演出を担当する「ウィリアム・テル」(英国ロイヤル・オペラ)、ケント・ナガノが演奏するバーンスタイン「静かな場所」(ドレスデン音楽祭)等々、それぞれ注目公演。それにしても、ロンドン響に登壇予定のプレヴィンの健康状態は大丈夫なのだろうか…。(曽雌裕一・そしひろかず)(コメントできなかった注目公演も多いので本文の◎印をご参照下さい)

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