eぶらあぼ 2015.3月号
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66ジョン・健・ヌッツォ in 紀尾井ホール デビュー15周年リサイタル節目の年のベルカント文:東端哲也sonorium 共催シリーズ2015『映像と音楽』今までになかった“新しい演奏会”を体験文:笹田和人3/17(火)19:00 紀尾井ホール問 アスペン03-5467-0081 http://www.aspen.jp音絵本 Vol.22/28(土)14:00 18:30 sonorium問 Klangmalerei03-6314-5795(FAX) otoehon@gmail.comシリーズの詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。http://www.sonorium.jp/concert テノールのジョン・健・ヌッツォは、2000年にオペラの殿堂、ウィーン国立歌劇場とテノール歌手として専属契約を結んでデビューした。その後、ウィーン・フォルクスオーパーや夏のザルツブルク音楽祭にも出演し、ジェームズ・レヴァインの招きでメトロポリタン歌劇場にも出演を果たすなど海外での存在を確立。国内ではジョイント・コンサートなどの幅広い分野でその美声を披露。NHK紅白歌合戦への出場や大河ドラマ『新選組!』のオープニング・テーマも担当し、お茶の間での人気も集めた。近年は高齢者施設や社会福祉施設のためのチャリティ・コンサートや震災の復興支援などの活動にも熱心で、国内制作のオペラ公演への出演も増え、ファンの期待も高まっている。 そんな絶好のタイミングで自身の節目となる2015年最初のリサイタル 東京・永福町の閑静な住宅街の一角にあるsonoriumは、理想的な音響、モダンな建築美と温かな雰囲気を同時に兼ね備えた小ホール。その白壁に美しい映像を投影し、質の高い演奏と共に楽しむシリーズ『映像と音楽』は、今までになかった“新しい演奏会”として、大きな反響を呼んでいる。 6年目となる今回は、ヴァイオリニストの加藤惠理と小林玉紀によるデュオ・ロズヴィーの『音絵本 Vol.2』で幕開け。たちもとみちこ作「アニーのちいさな汽車」や寺田順三作「タビの雑貨屋」など子供たちに人気の4つの物語を、ピアニストとしても参加する新垣隆の作曲によるオリジナル曲と、飯原道代の語りを交えて愉しみ、絵本の“新しいカタチ”を目指す。 リサイタルなど自在な活動を続ける加藤と、NHK交響楽団員の小林は、ポーランド語で「発展」を意味するグループ名を冠し、4年前からデュオ活動。そして、一連の騒動のさなかにも、音楽への熱い愛情を隠すことなく吐露していた新垣。彼が本当に書きたかった音楽が、となるのが今回の紀尾井ホールでの公演だ。元々、モーツァルト・オペラの甘くて清らかなテノール役のようなリリックな声に定評のあった彼。現時点で判明しているプログラムにもデュパルクの〈フィディレ〉やマスネの〈エレジー〉らフランス歌曲からベートーヴェンの〈アデライーデ〉が並んでおり、その健在ぶりを示している。また過去にリリースしたアルバムにも収録されていた米国の現代音楽作家ジョン・デュークの連作歌曲〈スリー・チャイニーズ・ラブ・リリック〉がとりあげられているのも期待。加えて人気ヴァイオリニストの松本蘭がゲストとして参加予定なのでこの共演も楽しみにしたい。ここにある。紡ぎ上げられた優しい調べの数々は、飯原の言葉や、ステージで併せて演奏されるクライスラーやベリオら先人の旋律とも、豊かに共鳴してゆく。 シリーズではこのほか、『ソロプロジェクト10周年記念 キリロラ☆螺旋上昇の宴』(3/21)や『ブラジル VS 日本 熱き音の競演』(4/12)、『SARUME~天岩戸 AMA no IWATO~』(5/23)、『静寂の音 vol.5 音の季節』(6/6)、『カンテレ&パーカッションコンサート』(6/14)、『SNG Style Music~Beyond the Universe~』(7/18)、『Tokyo Play Opera オペラと歌曲で綴る愛』(7/25)と、邦楽、南米や北欧の現代音楽を含め、全8公演がシリーズ期間の7月末まで行われる。デュオ・ロズヴィー新垣 隆飯原道代

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