eぶらあぼ 2015.3月号
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643/2(月)19:00 sonorium問 sonorium 03-6768-3000 http://www.sonorium.jp青木十良先生 追悼コンサート名演で偲ぶ巨匠の思い出文:笹田和人 人は幾つになろうとも、さらなる頂を目指すことができる。90歳を超えてなお、“現役最高齢のチェリスト”として精力的な演奏活動を続け、このことを自ら体現した青木十良。昨年9月に99歳で世を去った後も、彼がチェロの音色を通じて伝えたメッセージは、人々の心になお、灯をともし続けている。青木に師事した東京フィル首席チェロ奏者の金木博幸、最後の弟子といえるピアノの佐々木秋子、同フィルのソロ・コンサートマスターを務める荒井英治など、青木を慕う有志たち総勢9名が出演し、追悼コンサートが開催される。会場は故人が92歳でリサイタルを開いた、ゆかりの場所であるsonorium。青木も弾いたハイドンの協奏曲第2番を金木のソロで披露するほか、一線オーケストラで首席級を務める名手たちが、カサド「親愛の言葉」やフィッツェンハーゲン「アヴェ・マリア」など、故人が愛した名旋律を、心を込めて奏でる。そして終演後には、青木が愛し3/13(金)19:00 津田ホール問 津田ホールチケットセンター03-5355-1299 http://tsudahall.com津田ホール 春の宴“音の記憶”をしっかりと刻みたい文:宮本 明中川俊郎福原 徹 ©大窪道治 閉館の知らせを惜しむ声も相次ぐなか、運営する大学の経営判断により今年3月いっぱいで27年の歴史に幕を閉じる津田ホール。良質な音響を生かした多彩な企画を取り上げてきたホール主催公演のラストとなるのが、横笛の福原徹を中心とする異色のコンサートだ(貸しホール営業は3月末まで)。2001年に津田ホールで開いた初リサイタルでいきなり芸術祭大賞を受賞するなど、彼もまたこのホールとゆかりの深い奏者の一人。10年以上にわたって彼とコラボレーションを重ねている盟友の作曲家・中川俊郎や、善養寺惠介(尺八)、七代目福原百之助(囃子方)、福原百貴、福原邑佳(さとか)(笛)らの邦楽奏者たちが集い、邦楽の古典曲から現代音楽まで、その両者のクロスオーバーや、さらに客席からお題を募っての即興演奏もあるボーダーレスな春の宴。邦楽ファンはもちろん、現代音楽ファンやジャズ・ファンまで広く楽しめそうだ。消えゆく響きをしっかりと耳に焼き付けたい。3/19(木)19:00、3/20(金)15:00 19:00 Hakuju Hall問 Hakuju Hallチケットセンター03-5478-8700 http://www.hakujuhall.jp古澤巌 TタイフーンYPHOONの復活祭2015古澤巌率いる伝説のバンドがよみがえる!文:笹田和人 「美しいピアノ四重奏曲を、最高のメンバーで演りたい。それも、限りなくポップに」。クラシックの枠を超越した、鮮烈な演奏活動を続けるヴァイオリニストの古澤巌が、熱い思いで1991年に立ち上げた伝説のバンド「TYPHOON」。イタリア系スコットランド人のポール・コレッティ(ヴィオラ)、アメリカ人のフィリップ・ブッシュ(ピアノ)、フランス系ドイツ人のフランシス・グトン(チェロ)と共に、クラシックにジプシー音楽を散りばめ、50回もの大ホール公演や数々のアルバムを通じて、唯一無二のサウンドを生み出し続けた。99年に解散してしまったものの、古澤が3年前に米ロサンゼルスでコレッティに再会したのを機に、翌年のクリスマスに再結成。『復活祭2015』と銘打った今回のステージは、古澤曰く「間近で手に取るように演奏したいため、あえて小さなホールで」の開催。シューマン、フォーレ、ブラームスとピアノ四重奏曲の名品を全曲披露するほか、ジプシーの名旋律で、古澤の“十八番”であるディニク「ひばり」も、「もちろん、欠かせない!」とのこと。金木博幸荒井英治青木十良 たワインとチーズ、生ハムを用意しての懇親会も。聴衆と出演者の別なく、「永遠の巨匠」の思い出を語り合いたい。

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