eぶらあぼ 2015.3月号
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172CDCDSACDCDコントラプント/生しょうず水敬一朗ショスタコーヴィチ:交響曲第4番/井上道義&大阪フィルメタモルフォーゼン~磯部周平作品集/磯部周平ブルックナー:交響曲第6番/ヤルヴィ&フランクフルト放送響ヘンデル:ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ第4番/リベーロ:序奏と踊り第1番・第2番/バルレッタ:ヴェネツィアのタンゴ,バンドネオンのために,ヴェヌス第4番~第6番/J.S.バッハ:ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ第4番 他生水敬一朗(バンドネオン)加藤惠理(ヴァイオリン)ショスタコーヴィチ:交響曲第4番井上道義(指揮)大阪フィルハーモニー交響楽団磯部周平:エレジー、メタモルフォーゼンⅡ、Maskerade Ⅱ, きらきら星変装曲Ⅱ/シューマン(磯部編):ペダルフリューゲルのためのカノン形式の練習曲op.56より第2~4番/ブラームス(同):間奏曲op.118-2 他磯部周平(クラリネット)大島史子、岡崎悦子(ピアノ)ザ・クラリネット・アンサンブル 他ブルックナー:交響曲第6番(ノーヴァク版)パーヴォ・ヤルヴィ(指揮)フランクフルト放送交響楽団ディスク クラシカDCJA-21029 ¥2500+税収録:2014年4月、大阪(ライヴ)オクタヴィア・レコードOVCL-00550 ¥3000+税マイスター・ミュージックMM-3042 ¥2816+税収録:2010年5月、フランクフルト(ライヴ)ソニーミュージックSICC-10215 ¥2800+税日本初のクラシカル・バンドネオン奏者、生水敬一朗の新譜。この楽器のソロと伴奏の両面で新たな可能性を示した画期的な内容だ。卓越したバンドネオン奏者でもあったラテン・アメリカの巨匠、バルレッタとリベーロのソロ作品は、楽器の音色や機能性を活かした佳曲。バロックとタンゴの融合を目指した前者と、ピアソラの影響が色濃い後者の作風の違いも面白い。そして、ヴァイオリンの加藤惠理と共演したJ.S.バッハとヘンデルのソナタでは、通奏低音パートを清冽かつ柔軟に務め上げている。この楽器が「携帯可能なオルガン」として生まれたことがよくわかる演奏だ。(渡辺謙太郎)井上道義の大阪フィル首席指揮者就任披露公演のライヴ録音。これは凄まじい演奏だ。日本屈指の“ショスタコーヴィチ指揮者”として名高い井上が、傑作にして難物の第4番をこの機に選んだ気概と相まって、張りつめたテンションが終始保たれている。第1楽章の冒頭から物凄い緊迫感とエネルギーを湛えた音楽が展開。同楽章15分過ぎの快速フーガと続くクライマックスの壮絶さには言葉もない。静まった後のデリケートな綾も見事。第2楽章も遅めのテンポで軽くならず、第3楽章は鮮やかな場面変化の後、戦慄と温かみが同居した絶妙なラストに至る。CD化が実に喜ばしい。(柴田克彦)クラリネット奏者の磯部周平による作編曲作品を一枚にまとめたCD。ロマン派のスタイルに洒脱な和声感を加えて雅びな歌に仕立てたり(エレジー)、よく知られた主題を歴史上の大家たちのスタイルで“変装”させてみたり(きらきら星変装曲Ⅱ)と、その筆さばきはウィットとユーモアに富んでいる。楽器の特性を最大限に引き出したクラリネット3、4、5重奏(トップ奏者を集めた演奏が秀逸!)、シューマン(ペダルフリューゲルのためのカノン形式の練習曲)やブラームス(間奏曲 op.118-2)の編曲は、クラリネットのレパートリーを拡張している点でも貴重。(江藤光紀)今秋からのNHK交響楽団首席指揮者としての活躍も楽しみな、パーヴォ・ヤルヴィによるブルックナーの交響曲シリーズ第5弾。録音する作品との相性でオーケストラを変えるヤルヴィ。ブルックナーは昨シーズンまで首席指揮者を務めていたフランクフルト放送響を起用している。いかにもドイツの団体らしい、がっしりと重厚な響きを活かしながら、スコアの深い読み込みにより、立体的で遠近感のある力強く筋肉質な響きを実現。鮮度の高い音楽を聴かせてくれる。特にこの6番では曲独特の高い運動性を、一音一音に強烈なエネルギーを込めることでリズミックに表現している。(山崎浩太郎)

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