eぶらあぼ 2015.2月号
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47秋山和慶(指揮) 東京交響楽団節目の年は名手たちとの共演で文:江藤光紀がんばろう! 日本 スーパーオーケストラ入魂の演奏で若手演奏家を支援文:笹田和人第627回 定期演奏会 2/26(木)19:00 サントリーホール問 TOKYO SYMPHONYチケットセンター044-520-1511 http://tokyosymphony.jp3/2(月)19:00 サントリーホール問 毎日新聞社事業本部03-3212-0804/テンポプリモ03-5810-7772http://www.tempoprimo.co.jp 現在、東京交響楽団桂冠指揮者の秋山和慶は、1964年に同団を指揮してデビューしたが、その後も両者は長年にわたり上質のアンサンブルを聴かせてきた。秋山は小澤征爾と並び齋藤秀雄のメソッドを最もよく体現した音楽家。スダーンからノットへとバトンタッチし、ますます充実している東響だが、正確なタクト捌きとスコアの的確な読みで幅広いレパートリーをもたらした秋山の安定した貢献なくしては、今の繁栄はあり得なかっただろう。何せその関係は音楽監督や常任指揮者など役付きで40年以上、初顔合わせから数えると半世紀に及ぶのだ。 2月に秋山は川崎で東響と共に指揮者生活50周年記念演奏会を行うが、それに続き月末の同団サントリー定期にも登場する。こちらは秋山らしい少々凝った趣向のイギリス・プログラムとなっている。まずヴォーン・ウィリアムズの「グリーンスリーヴスの主題による幻想曲」と東響コンサートマスター 「がんばろう! 日本 スーパーオーケストラ」は、読売日本交響楽団コンサートマスターを務める小森谷巧を中心に、日本全国から一流プロ・オーケストラのコンサートマスターや首席奏者級が集結して組織されている。東日本大震災が発生した約2ヵ月後の2011年5月に初コンサートを開き、以降は毎年春に公演を開催。公演の収益やホールに設置された募金箱への寄付金は、震災遺児を対象とした「毎日希望奨学金」制度へと託されているのも特徴だ。 今年は、13年に旭日中綬章を受章した小林研一郎が指揮台に立つ。メインに置いたチャイコフスキーの交響曲第5番は、小林のレパートリー中でも“得意中の得意”とする佳品。今回も魂のこもった音楽創りで、私たちを魅了するはず。そして、高校在学中の12年に日本音楽コンクール第1位を受賞したピアノの反田恭平が共演。桐朋学園大学を経て、昨年にはロシア国立モスクワ音大谷康子がソリストとして登場するサラサーテの「スコットランドの歌」。英国らしい品の良さを漂わせた2曲だが、サラサーテでは大谷がさりげない技巧で秋山の偉業を讃えることだろう。続いてブリテンの珍しい「ピアノ協奏曲」。独奏のキット・アームストロングは幼少期から音楽だけでなく多方楽院へ最高得点で入学、精力的な演奏活動に加え、デビューCDの発売も控える俊英だ。名匠の胸を借り、“名曲中の面に才能を発揮し、神童の名をほしいままにしてきた。ブレンデルを驚嘆させたというその技は、20代に入りますます磨きがかかっている。コンサートの最後には、骨太の構成で名作の評判が高いエルガーの交響曲第1番が用意されている。格調高く、正攻法で貫禄たっぷりの演奏が聴けるはずだ。名曲”であるチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番を、どう料理してくれるのか。聴きどころが満載のステージだ。キット・アームストロング ©Jason Alden大谷康子 ©尾形正茂秋山和慶反田恭平小森谷 巧小林研一郎 Photo:満田 聡

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