eぶらあぼ 2015.2月号
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44コンスタンチン・リフシッツ(ピアノ) J.S.バッハの宇宙リフシッツと旅するバッハの音楽宇宙文:高坂はる香エリアフ・インバル(指揮) 東京都交響楽団名曲で聴く名匠のさらなる深化文:オヤマダアツシ平均律クラヴィーア曲集 第1巻2/7(土)14:00 所沢市民文化センターミューズ マーキーホール問 ミューズチケットカウンター  04-2998-7777「インベンションとシンフォニア」「音楽の捧げ物」2/14(土)14:00 東京文化会館(小)問 ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040平均律クラヴィーア曲集 第2巻 2/15(日)14:00 フィリアホール 問 フィリアホールチケットセンター  045-982-9999東京都交響楽団 創立50周年記念 名古屋特別公演3/14(土)14:00 愛知県芸術劇場コンサートホール東京都交響楽団 創立50周年記念 福岡特別公演3/15(日)15:00 福岡シンフォニーホール第784回定期演奏会 Aシリーズ3/18(水)19:00 東京文化会館問 都響ガイド03-3822-0727 http://www.tmso.or.jp 来日の度、演奏家の内面を映し出すような深いプログラムで強い印象を残すリフシッツ。昨年のベートーヴェン後期三大ソナタによる演奏会でも、高い集中力で奏される一つひとつの音に満員の聴衆が耳をそばだてる、特別な空気がホールを満たした。知性と理性、作品への没頭を見事なバランスで 人は本物に触れるとさらなる向こうには何があるのかを思い、希求してしまうものだ。エリアフ・インバル&都響は、曲が何であれ堂々とした威容の音楽を聴かせ続けてくれている安定のコンビ。その彼らが3月の定期演奏会で取り上げるのはワーグナーとブルックナー。それなら(CDでもコンサートでも)何度も聴きました、という方が多いのかもしれない。このコンビであればある程度、高いクオリティの演奏が予想できるという熱心なファンもいるだろう。しかし高峰の向こうには新しい風景が広がっているものであり、それが聴き慣れた名曲であるほど感銘も深まるのだ。 ワーグナーは混沌とした和声の中にドイツ・ロマン派の新時代が見える《トリスタンとイゾルデ》から「前奏曲と愛の死」、ブルックナーは抒情的なメロディと古典的な造形美が絶妙なバランスで昇華している交響曲第4番「ロマ共存させ、至高の音楽を紡ぎ出すピアニストだ。 そんな彼が今回取り組むのは、長きにわたり探究を続けてきたバッハ作品。もともとリフシッツが一躍注目を集めたのは、17歳の頃、モスクワ・グネーシン特別音楽学校の卒業記念公演で演奏した「ゴルトベルク変奏曲」の録音が評価されたことがきっかけだった。以来約20年の時を経て、彼のバッハ解釈における評価は不動のものとなった。 今回は全3回公演で、バッハの天才的な音楽に立ち向かう。演奏するのは「平均律クラヴィーア曲集」第1巻(2/7)、第2巻(2/15)、そして「インベンションとシンフォニア」と晩年の傑作「音楽の捧げ物」(2/14)という、壮大なプログラム。 「平均律」はこれまでさまざまな形で取り上げてきたが、第ンティック」。2人の作曲家を知るリスナーであればあまりに定番の2作品であり、しかもブルックナーは「ノヴァーク校訂版、1878/80年稿」という最もスタンダードなスコアをチョイス。だからこそ! の揺るぎなさを聴き、突っ込みどころが見つからないほど深い感動が用意されているコンサートになると言えるだろう。なお今回は都響の創立50周年を祝い、東京での定期に先立って名古屋および福岡でも同じプログラムが演奏される。CDでしかこのコンビを聴いたことがないという方、崇高なオーラを浴びるチャンスだ。1巻、第2巻全曲をひとつのシリーズで演奏するのは初めて。演奏機会の少ない「インベンションとシンフォニア」がリフシッツの手でどう構築されるのかも興味深い。精巧かつ多彩な音で紡がれるポリフォニックな音楽は、新しい発見をもたらしてくれそうだ。 貴重なプログラミングによる3公演。リフシッツの音楽に身を任せ、果てしなく広がるバッハの宇宙を旅してみたい。©Sona Andreasyanエリアフ・インバル ©堀田力丸

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