eぶらあぼ 2015.2月号
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31小澤征爾音楽塾オペラ・プロジェクトⅩⅢ ラヴェル 歌劇《子どもと魔法》小澤が繰り広げるファンタジックな世界文:江藤光紀クリスティアン・ティーレマン(指揮) ドレスデン国立歌劇場管弦楽団新たな黄金期に艶めく“いぶし銀”の響き文:柴田克彦3/15(日)15:00 よこすか芸術劇場 3/21(土・祝)15:00 びわ湖ホール3/24(火)19:00 東京文化会館 3/28(土)15:00 愛知県芸術劇場大ホール 1/17(土)発売 ※チケット発売情報含む詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。http://www.ongaku-juku.com2/22(日)14:00 横浜みなとみらいホール2/23(月)19:00、2/24(火)19:00 サントリーホール問 ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040 http://www.japanarts.co.jp 若手音楽家を一流演奏家がコーチして、熟練のスタッフたちと大舞台を作り上げる小澤征爾音楽塾。2000年から始動したオペラ・プロジェクトも13回目となる。今年はファンタジックで色彩感満点の《子どもと魔法》(ラヴェル)だ。 音楽塾は前回からオペラ・ドラマティコという形式を採用している。演奏会形式とは違い、歌手は演技し、簡潔な舞台装置も付く。オペラの形を残したまま、オーケストラと客席を近くしてより臨場感を生もうという趣向だ。このところ指揮回数が増えてきた小澤は、以前にも増してカリスマ的なパワーで凄演を聴かせている。一昨年には《子どもと魔法》を振ってサイトウ・キネン・フェスティバルでも好評を博しているだけに、可能性を秘めた若者たちが小澤のオーラにどんな反応を見せるかが見所になりそうだ。独特な上演形式と相まって、彼らの生々しい息遣いがダイレクトに伝わってくるのではないか。 ドイツ人シェフ&ドイツ伝統のオーケストラの組み合わせは今や数少ない。トップ楽団の中では随一の存在ともいえるティーレマン&ドレスデン国立歌劇場管が3年ぶりに来日公演を行う。これは現在の伝統の在り処を知る絶好機だ。 ティーレマンは、ウィーン・フィルがベートーヴェン・ツィクルスを託し、バイロイト音楽祭が中心的役割を委ねている独襖王道の継承者。ドレスデン国立歌劇場管も、ワーグナー、R.シュトラウス等と緊密な関係を築いてきた超名門楽団であり、極上の肌触りで渋い光沢を放つサウンドへの支持は厚い。2012年に首席指揮者に就任したティーレマンとのコンビは欧米を席巻。2013年以降ベルリン・フィルから引き継いだザルツブルク・イースター音楽祭でも大成功を収めているだけに、今回への期待はいやが応にも増す。 プログラムも意欲的だ。まず、ツアー演目として演奏されるのが稀なR.シュトラウス「メタモルフォーゼン」とブルック 演出は音楽塾の舞台を数多く手掛けてきたデイヴィッド・ニースが今年も担当する。歌唱陣はアメリカで急速に人気を集めているメゾ、エミリー・フォンズ(子ども役)をはじめ若手実力派を中心に、ジャン=ポール・フーシェクール(小さな老人他役)らヴェテラン勢をバランスよく配置している。ナーの交響曲第9番の“至高の最晩年プログラム”(2/22,2/24)。弦楽器23人のソロが融合する「メタモルフォーゼン」を、あの柔らかな弦楽群で聴くのは、忘れられない体験となるだろう。ブルックナーはティーレマンの十八番。重厚かつピュアな第9番では、真打ち的名演が待つ。もう1つのプログラムは、これも生演奏が貴重なリスト「オルフェウ 今回、もう一つ大きな話題を呼びそうなのがナタリー・シュトゥッツマン指揮によるベートーヴェンの交響曲第2番だ。コントラルト歌手として世界的な名声を博すシュトゥッツマンは、すでに「復活」(マーラー)で音楽塾とも共演しているが、今回はタクトを持っての参加となる。ス」、ワーグナー「ジークフリート牧歌」にR.シュトラウス「英雄の生涯」(2/23)。抒情的で精緻な前半2曲では名楽団の個の妙技、指揮者&楽団双方の極め付け「英雄の生涯」ではドイツ管弦楽の究極を堪能できること間違いない。 就任直後の前回公演から3年、両者が築いてきた新時代の真価が、ここで聴ける!小澤征爾 ©Shintaro Shiratoriナタリー・シュトゥッツマンドレスデン国立歌劇場管弦楽団 ©Matthias Creutzigerクリスティアン・ティーレマン

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