eぶらあぼ 2015.2月号
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242『バラーレ』坂東玉三郎 × DAZZLE玉三郎演出の舞台に期待大文:乗越たかお 歌舞伎の坂東玉三郎が、ダンスの、それも若手ダンスカンパニーDAZZLEの演出を手がける…という報は、驚きの反面、納得でもあった。DAZZLEはストリート系をベースとしながらも物語性のある独自のスタイルを確立し、コンテンポラリー・ダンスとしても世界的に高い評価を得ているカンパニー。玉三郎は不世出の歌舞伎役者であると同時に、昔からモーリス・ベジャールなど偉大な振付家の作品に多数出演してきたからだ。 DAZZLEはほとんどオリジナル曲を使ってきたが、今回の玉三郎のセレクションではあえてマーラーやストラヴィンスキーのクラシック曲などを使う予定だという。 タイトルの『バラーレ』はイタリア語でズバリ「踊る」の意味。真のダンスの前に、ジャンル分けなどは意味を持たない。玉三郎はDAZZLEに対して「歌舞伎も、もともとはストリートだったんですよ」と、なんともシビれるエールを贈ったという。この出会いの奇跡を目撃したい。3/7(土)~3/15(日) 赤坂ACTシアター 問 チケットスペース03-3234-9999 http://www.tbs.co.jp/act/event/ballare©岡本隆史黒沢美香『薔薇の人 deep 』生き様そのものをみせるダンス文:乗越たかおがこの建物自体が昭和7年に建てられたギリシャ神殿風の歴史的建造物なので、「会議室」といってもその雰囲気はどえらいものなのである。 安住せず、つねに身体を精神の先端に置き続ける姿勢は真摯で、感動的ですらある。決まったフレーズを美しく踊ることばかりがダンスではない。生き様そのものが迫ってくるダンスの凄みを味わおう。 黒沢美香は、黒沢美香である、としか言いようのない独自の道を行く存在である。コンテンポラリー・ダンス黎明期に高いダンステクニックで一躍注目を集めたが、絶えず自分のスタイルからはスルリと脱け出してダンスとは何か、身体とは何かということを探り続けてきた。 『薔薇の人』は黒沢が1999年から続けているソロシリーズ。今回のテーマは「deep」。会場も普通の劇場ではなく横浜市大倉山記念館である。昼夜2公演で「昼間は密やかに会議室で、夜は開け放ったホールにて踊る」という。だ3/20(金)、3/21(土・祝) 横浜市大蔵山記念会館 各日14:00 集会室/19:30 ホール 問 ダンスインディード090-4429-5747/ 03-3227-0279(FAX) http://mikakurosawa.official.jpミュージカル『タイタニック』ロンドンで話題の新演出版文:長谷川あや 豪華客船タイタニック号沈没事故を題材にした作品といえば、レオナルド・ディカプリオ主演の映画を真っ先に思い浮かべる人が多いだろう。舞台版ではモーリー・イェストンの楽曲によるミュージカルも評価が高い。これまでも東京で2度(2007年と09年)公演が行われているが、今回上演されるのはロンドンで大きな話題を読んだ新演出版だ。新演出版を手がけたトム・サザーランドは、「船の悲劇ではなく、実際にそこに生きた人々の物語である」と、登場人物の心理描写を掘り下げた。 キャストはオーディションで決定。タイタニックの設計士・アンドリュース役には成長著しい加藤和樹が抜擢された。目の肥えたロンドンのシアターファンをも虜にした、イェストンの流麗な音楽にのせて綴られる、壮大かつ繊細、そして人間くさい群衆劇はぜひ見届けたいところ。初演、再演を観ている人は、新演出によって作品が新たな命を得る醍醐味を体感できるはずだ。3/14(土)~3/29(日) Bunkamura シアターコクーン 問 梅田芸術劇場(東京)0570-077-039 4/1(水)~4/5(日) 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ 問 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ06-6377-3888 http://titanic-musical.com『薔薇の人 メリー・ジェーン』より

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