eぶらあぼ 2015.2月号
196/205

241牧阿佐美バレヱ団『眠れる森の美女』ノーブルな魅力を満喫文:石村紀子 絢爛豪華、クラシックバレエの粋を集めたような煌びやかな舞台である。牧阿佐美バレヱ団の『眠れる森の美女』はウエストモーランド版。プティパの原版をベースとしながらもマイムを多用し、物語を丁寧に紡いでいるのが特徴だ。特に印象的なのはオーロラが目を覚ました後の「目覚めのパ・ド・ドゥ」。ヴァイオリン・ソロによる間奏曲の音色に導かれるように愛を育んでいく様が甘美に描かれている。 王子を踊るのはマリインスキー・バレエのプリンシパル、デニス・マトヴィエンコ。長身で凛とした佇まいはノーブルさに溢れ、王子そのもの。ベテランならではの奥深い表現に優れた演技で作品に深みを与えてくれるだろう。相手役は伊藤友季子。可憐な魅力はオーロラにぴったりだ。別日には同団のプリンシパル、青山季可と菊地研が主役を踊る。 同団のこの作品はセンスよく豪華な衣裳や装置も見どころのひとつ。総合芸術としてのバレエの魅力をあますところなく堪能できるはずだ。2/28(土)17:00、3/1(日)15:00 ゆうぽうとホール 問 牧阿佐美バレヱ団事務局0570-03-2222 http://www.ambt.jpデニス・マトヴィエンコKバレエ カンパニー『シンデレラ』童話を超えた至高のファンタジー文:新藤弘子 いつの時代にも女性の心をつかむ『シンデレラ』の物語。粗末な服をまとい、継母や義理の姉たちにこき使われる彼女が、魔法で美しく変身し、豪華な城で王子に出会うという展開は、視覚に訴えかけるバレエにぴったりだ。Kバレエ カンパニーの熊川哲也版は、ヨランダ・ソナベンドの繊細な衣裳とレズリー・トラヴァースによる優美な装置が、開幕と同時に観客を魅了する。ティーカップやトンボの精の踊り、舞踏会での華麗な群舞など見どころは多いが、特筆すべきはシンデレラの心と完璧にシンクロする名場面の数々。 1幕の最後、馬車を降りたシンデレラがケープをなびかせて城に向かう場面はため息ものの美しさで、熊川の卓越した演出のセンスに唸らされること必至だ。ヒロイン役に神戸里奈、白石あゆ美、佐々部佳代の他、2014年度ジャクソン国際バレエ・コンクール シニア部門金賞の加瀬栞が参加するのも話題。新たな魅力に期待したい。3/18(水)~3/22(日) Bunkamuraオーチャードホール問 チケットスペース03-3234-9999 http://www.k-ballet.co.jp/companyダンス・アーカイヴ in JAPAN 2015日本洋舞界100年の歴史を振り返る文:小野寺悦子 日本の洋舞が歩んできた100年の歴史を振り返る『ダンス・アーカイヴ in JAPAN』。2014年6月に開催された第1弾公演はチケット即日ソールド・アウト、急遽追加公演が決定するなど大きな反響を呼んだ。 第2弾となる今回は、大正から昭和初期に初演されたソロ4作品と戦後の群舞2作品、計6作品を上演。石井漠や執行正俊、檜健次ら、日本の創作舞踊を切り開いたパイオニアたちの振付作を復元し、過去から現代、未来へと貴重なアーカイヴを繋ぐ。 伝説の作を再現する、豪華キャスト陣にも注目したい。1923年初演作『マスク』には石井漠の愛弟子・石井かほるが、1948年初演の『機械は生きている』には石井漠の孫・石井登が出演。また1961年初演の『体(たい)』には酒井はなと佐々木大が、1935年初演の『スカラ座のまり使い』には堀登らが参加するなど、現代舞踊界の重鎮からクラ3/7(土)、3/8(日)各15:00 新国立劇場(中) 問 新国立劇場ボックスオフィス03-5352-9999 http://www.nntt.jac.go.jpシック・バレエ界のスターまで実力派ダンサーが集結。日本洋舞史の原点を改めて見つめ、先人たちの想いを受け継ぐ、意義あるステージとなりそうだ。石井みどり振付『体』加瀬 栞©Shoji Morozumi

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です