eぶらあぼ 2015.2月号
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170CDSACDCDCDブラームス:交響曲全集/飯森範親&日本センチュリー響J.S.バッハ:前奏曲、幻想曲とフーガ(弦楽五重奏版)/松原勝也ヴァイオリン協奏曲集/ジノ・フランチェスカッティシェイクスピアの音楽~リュートに託した恋の歌/浜松市楽器博物館コレクションシリーズ50ブラームス:交響曲第1番~第4番飯森範親(指揮)日本センチュリー交響楽団J.S.バッハ:前奏曲とフーガBWV541・543・546・548、幻想曲とフーガBWV542、前奏曲、ラルゴとフーガBWV545(以上、松原勝也編曲による弦楽五重奏版)松原勝也、山﨑貴子(ヴァイオリン)柳瀬省太(ヴィオラ)菊地知也(チェロ)吉田秀(コントラバス)メンデルスゾーン、チャイコフスキー、シベリウス:ヴァイオリン協奏曲/ブルッフ:同第1番/ラロ:スペイン交響曲ジノ・フランチェスカッティ(ヴァイオリン) ジョージ・セル、ディミトリ・ミトロプーロスレナード・バーンスタイン 他(指揮) クリーヴランド管弦楽団ニューヨーク・フィルハーモニック ダウランド:わが敵運命よ/コラード:パヴァーヌ、ウォルシンガム/ジョンソン:五尋の深みに、蜂が蜜吸うところで/モーリー:それは恋人たち/アリソン:ファンタジア/グリーンスリーヴス、柳の歌 他佐野健二(リュート)平井満美子(ソプラノ)奥田直美(リコーダー)収録:2014年4月、大阪(ライヴ)オクタヴィア・レコードOVCL-00554(3枚組) ¥5000+税ナミ・レコードWWCC-7777 ¥2700+税ソニーミュージックSICC-1767~8(2枚組) ¥1800+税コジマ録音LMCD-2011 ¥2900+税昨年4月の飯森の日本センチュリー響首席指揮者就任記念演奏会でのブラームス交響曲全集の記録。いわばここがスタート地点というわけだが、すでに統率のとれた高水準の演奏に仕上がっている。全体に飯森らしい淀みのないテンポでフレッシュに進め、特に木管楽器を中心にオーケストラも生き生きと反応している。どちらかといえば、渋いブラームスというよりは元気なブラームスで、こうした長所がよく出ているのは第2番だが、第3番・第4番の熱気も捨てがたい。また、第1番でもどっしりしたスケール感を出す工夫が随所に施されている。今後のこのコンビの発展に大いに期待したい。(江藤光紀)これを「作曲者が意図したか」と問えば、答えは「ノー」だろう。バッハにとって、この弦楽五重奏の響きは想定外だっただろう。だが、もしも体感したなら、きっと聴き入ったに違いない。松原による「前奏曲とフーガ」の編曲版は、作品を楽器からいったん切り離した上で再構築。さらに、あえて古楽的なセオリーを意識し過ぎない表現を取るが故に、時代を超越する力を得た。音場の豊かな響きも相まって、聴き進むうち、これこそが新時代の“オルガン音楽”ではないのか、と錯覚してしまうほどに。シンプルだが、先鋭的。試みの向こうには、果てしなき可能性が広がる。(寺西 肇)フランス往年の巨匠フランチェスカッティ。彼が1950〜60年代に録音した5つのヴァイオリン協奏曲を集めた2枚組だ。すべて再発売だが、改めてこれだけの量を一気に聴いてみると、彼のヴァイオリンにいかに無駄がなかったかよくわかる。セル、ミトロプーロス、バーンスタインらといった名匠との対話では、音色も表現もスマートな力強さを徹底。だが唯一、ブルッフだけはルバートを効果的に用いて濃密に歌い上げる。その的確な弾き分けも流石だ。「洗練を突き詰めると簡潔になる」というレオナルド・ダ・ヴィンチの言葉を体現した、珠玉の音楽遺産と言えるだろう。(渡辺謙太郎)自館所蔵の楽器を用いてその時代の響きを再現する、浜松市楽器博物館コレクションシリーズの50枚目。やはり楽器は音を聴いてこそ。今回の主役は16世紀のドイツ製作とされるリュート。シェイクスピアの生きた16世紀末〜17世紀初頭に、実際にシェイクスピア劇中で演奏された、あるいは演奏されたと考えられるリュート歌曲を収めている。つまりイギリス・ルネサンスの最盛期であるエリザベス朝の流行歌だ。リュートの独奏曲も織り交ぜながら、平井満美子の飾らない清潔なソプラノが、シンプルな旋律に込められた悲しみや喜びを巧みに描き分けている。(宮本 明)

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