eぶらあぼ 2015.1月号
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602015.1/24(土)13:30 東京オペラシティ コンサートホール問 ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040 http://www.japanarts.co.jp他公演 2015.1/17(土) 伊丹アイフォニックホール(072-780-2110)、2015.3/14(土) 鎌倉芸術館(0120-1192-40)CD『上原彩子のくるみ割り人形』キングレコード KICC-1164¥3000+税12/24(水)発売上原彩子(ピアノ)ピアニスティックで華麗な「くるみ割り人形」の誕生取材・文:飯田有抄Interview クリスマス・イヴの12月24日、上原彩子からの贈り物のようなCDがリリースされる。チャイコフスキーのバレエ音楽「くるみ割り人形」ピアノ独奏版だ。注目したいのは、上原自身によるピアノ用アレンジである。バレエ前半の〈くるみ割り人形とネズミの王様の戦い〉を含む7曲を選曲してアレンジし、ピアノ版の名作として知られるプレトニョフ版の7曲と組み合わせ、計14曲の組曲として構成した。 「〈クララとくるみ割り人形〉や〈スペインの踊り〉などはプレトニョフ版にも管弦楽の組曲版にも含まれていないため、バレエを観ない方にはあまり知られていません。しかし非常にシンフォニックで前衛的な音の使い方も見られ、ピアノで弾いても鮮やかです。多くの方に聴いてもらいたいと思いアレンジしました。有名な〈花のワルツ〉はバレエ中もっとも華やかな曲ではありますが、繰り返しが多いので、ピアノ版では音域を広く使い変化に富んだアレンジにしました。ピアニスティックな曲想に仕上がったと思います」 まさにゴージャスで華麗な彩りに満ちたピアノ版の誕生だ。プレトニョフ版は音の数が多くテクニカルな編曲だが、「組み合わせても違和感なく統一感が出るように」工夫を凝らした。 「チャイコフスキーがもともとピアノのために書いた作品は、割とシンプルな書法で書かれています。しかし彼の管弦楽のスコアに向き合ってみると、あのドラマティックな響きは非常に精密に作り上げられていることがわかりました。ピアノ曲だけに向き合っていたのでは知り得なかったチャイコフスキーと出会えたように思います」 上原は原曲のバレエ音楽を隅々まで愛し、熟知している。8歳になる長女が幼い頃からバレエを習い、彼女のお気に入りの「くるみ割り人形」のDVDを何度も一緒に鑑賞してきた。 「子どもたちの心も強く惹き付ける作品ですね。来年は子ども向けにピアノ、絵、そして語りを組み合わせたコンサートも企画しています」 CDではさらに、同じ年代にチャイコフスキーが作曲した「18の小品 op.72」から〈子守歌〉を含む4曲も収録。 「華やかなバレエ音楽とは対照的に、しっとりとした大人の雰囲気の作品です。シンプルな作風ですが、この年齢になって理解が深まったと感じます。こちらもあまり知られていない作品なので、ぜひ広く聴いていただきたいです」 1月24日には、この「くるみ割り人形」と「最近はまっている」というモーツァルトのソナタを組み合わせたリサイタルを行うのでこちらも楽しみだ。 チャイコフスキー国際コンクール優勝から12年。上原とチャイコフスキーの対話はさらに深みを増していく。2015.1/8(木)16:00 フェスティバルホール問 大阪アーティスト協会06-6135-0503http://www.oaa1985.comNEW YEAR CONCERT おおさか 2015 永遠に新しき「第九」!ドイツ語よりドイツ語らしい日本語訳詩とは?文:笹田和人泉 庄右衛門 ベートーヴェンの「第九」を世界で最も多く上演している場所は、今や日本だという。その上演史に、新たな1ページが書き加えられるかもしれない。新たな年の訪れを慶ぶステージで初演されるのは、作家で音楽評論家の響敏也が書き下ろした“新日本語詩”によるベートーヴェンの交響曲第9番の第4楽章「歓喜の歌」。指揮の泉庄右衛門(いずみ・しょうえもん)は「自分たちの言葉である日本語で、ベートーヴェンの発音に近い言葉で第九を演奏できないものかと考えた」とその意図を語る。大阪フィルハーモニー交響楽団に、福田祥子(ソプラノ)、泉規子(アルト)、谷浩一郎(テノール)、田中勉(バリトン)という実力派ソリスト陣、泉が主宰する「唱歌の学校」参加者などで組織された合唱とで披露される、チラシにある「ドイツ語よりドイツ語らしい」という日本語詩は、果たしていかに。もちろん、新春に相応しいレハールのオペレッタやプッチーニのオペラからの名アリア、貴志康一らの歌曲、さらに管弦楽の名曲もたっぷりと楽しめる。

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