eぶらあぼ 2015.1月号
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241BALLET NEXT『ロミオとジュリエット』樋笠バレエ団文化芸術国際交流バレエ公演『Color of Dance』人間の心理に深く迫ったドラマトルコ・オランダ・日本が魅せる“カラフル”な舞台文:石村紀子文:渡辺真弓 四国の高松市を本拠に30年以上にわたって「国際バレエ交流公演」を行ってきた樋笠バレエ団が1月に新国立劇場で公演を行う。平成26年度新国立劇場地域招聘公演として実施されるもので、題して<カラー・オブ・ダンス>。同団は、1955年に樋笠よ志江が設立した樋笠バレエ研究所を母体に発展し、すでに60年の歴史をもつ。この間、長女の樋笠淳子が海外で研鑽を積んだことから、海外のバレエ団やダンサーとの交流が深まり、バレエによる国際2015.2/15(日)17:00 日本特殊陶業市民会館フォレストホール 問 BALLET NEXT事務局052-779-0756 http://www.studio-move.net/bn『バッハ・ア・ラ・トゥルカ』『ビトゥィーン・トゥー』『イレク・ムハメドフ特別主演新作品』『黒と白』『彩の彼方』2015.1/11(日)15:00 新国立劇場(中) 問 新国立劇場ボックスオフィス03-5352-9999 http://www.nntt.jac.go.jp『黒と白』2010年の公演より©テス大阪 2005年に発足したBALLET NEXTは、公演ごとのオーディションで選出されたダンサーたちによる登録制カンパニーである。名古屋を拠点に活動を続け、『ジゼル』や『ドン・キホーテ』など古典作品以外にも、意欲的なオリジナル作品を多数上演。特に、三島由紀夫原作の『春の雪』や映画エレファント・マンを題材にした『イノセント・グレー』は、幕物の物語バレエとして高い評価を得ている。次回の公演は『ロミオとジュリエット』。同団の芸術監督を務める市川透の演出・振付による新作である。 キーロフ・バレエ団(現マリインスキー・バレエ団)に日本人として初めて入団を果たした市川は、音楽を活かしたスピーディな展開を特徴とする創作で知られている。今回はまさに彼にうってつけの作品といえるのではないだろうか。市川版はバルコニーシーンなどバレエの醍醐味を味わえる場面は残しつつも、従来の『ロミオとジュリエット』とは異なる時代背景や登場人物を設定。2人を取り巻く人たちの価値感や心の変化、葛藤をより深く掘り下げ、現代に即した内容に再構成した。ロミオを演じるのは元Kバレエカンパニーの清水健太。英国ロイヤル・バレエ・スクールに留学経験もあり、物語バレエのドラマティックな役どころは十八番。奥行きのある人物像を創り上げてくれるに違いない。ジュリエットは同団のファーストメンバーとして活躍中の青木里英子。濃い人間ドラマに酔いしれてみては?青木里英子清水健太交流に積極的に取り組んできた。 長年の交友関係を基盤に、今回は、ボリショイ・バレエや英国ロイヤル・バレエで活躍した伝説のスター、イレク・ムハメドフをはじめ、オランダ国立バレエのプリンシパル、ジョゼフ・ヴァルガをゲストに招くほか、トルコ国立バレエ劇場や牧阿佐美バレヱ団のソリストたちが参加し、公演に華を添える。振付、演出総合芸術監督はトルコ出身で、ポルトガル国立バレエ団の芸術監督などを務めたメメット・バルカン。まずムハメドフのために振付けられた新作が披露されるのが話題。ほかに、トルコ国立バレエ団と牧阿佐美バレヱ団メンバーによる『バッハ・ア・ラ・トゥルカ』、ヴァルガと海外ゲストたちが世界初演する『ビトゥィーン・トゥー』、トルコのダンサーたちが踊るエリン・アルダル作曲『黒と白』、全員による『彩の彼方』など様々な色彩が散りばめられたプログラムが目を楽しませてくれそうだ。

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