eぶらあぼ 2014.11月号
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6611/29(土)17:00 八ヶ岳高原音楽堂問 八ヶ岳高原ロッジ0267-98-2131 http://www.yatsugatake.co.jp八ヶ岳高原サロンコンサート ダン・タイ・ソン(ピアノ)現代のピアノの詩人を、高原と木の温もりの中で聴く文:柴田克彦 ©佐藤寛敏 大自然に囲まれた木のホールで、あのダン・タイ・ソンを聴く…。これはまさに夢のひとときだ。彼は、1980年ショパン・コンクールで東洋人初の優勝を果たして以来、真摯な活動を続ける、現代最高のピアニストの一人。「ピアノにハンマーがあることを忘れさせる」と賞された清冽なタッチ、的確で隙のないテクニック、そして何より虚飾なしに楽曲の真髄を伝える演奏は、世界中で絶大な信頼を得ており、近年日本でのパリ管との共演や、ベートーヴェンの協奏曲全曲演奏でも満場を沸かせた。 その彼が、標高1500mの地に建てられた、耳に心地よい柔らかく自然な響きを有する、最大250席の贅沢空間である八ヶ岳高原音楽堂へ、何と22年ぶりに出演する。演目は、この会場でこそ粒が輝くスカルラッティのソナタ集に、彼の代名詞ショパンのノクターン&ポロネーズ、さらに持ち前の美音が生きるもう一方の十八番フランスもののラヴェル、しかも硬軟揃えた有名曲集だから文句なし。ここはひとつ足をのばして、都会では味わえない至福の異空間に浸ろう。CD『12のラヴ・ストーリー~ウェディング・ソングス・オン・ヴァイオリン』日本コロムビア COCQ-85090¥2800+税前列右から2番目:原田 梢 後列左から2番目:石崎諒子いまの私たちの等身大のラヴ・ソングです取材・文:宮本 明Interview12人のヴァイオリニスト 12人のヴァイオリニストの新譜『12のラヴ・ストーリー』は、J-POPのラヴ・ソング・カヴァー。3人のメンバーに話を聞いた。 サブ・タイトルは「wedding songs on violin」。この秋、実際に自分の結婚式でこのアルバムを活用しようと考えているのが原田梢。ご結婚おめでとうございます! 「入場から退場まで、どの曲をどこで使おうか、今考えているところです。でも、男女の愛だけではなくて、友情とか家族とか、いろんなラヴ・ストーリーが詰まったアルバムです」(原田:以下 H) 収録曲はメンバーの持ち寄った膨大な候補から選ばれた。福山雅治の大ファンだという石崎諒子は言う。 「〈家族になろうよ〉はどうしても弾きたくて、入ったとわかった瞬間、よっしゃ!と思いました(笑)」(石崎:以下 I) 5月の録音の時点では「研究生として見学してました」というのが小泉奈美。7月に正式に参加したばかりの彼女の場合、先輩たちとは曲の体験にギャップがあるようだ。 「知らない曲も結構あって、動画サイトで確認したりしてます」(小泉:以下 K) 「わずかな年の差でも、結構ギャップがあるんです」(H) 今回のアルバムの特徴のひとつが、高度なアンサンブル能力を必要とする伊賀拓郎による編曲だ。 「基本は原曲に忠実なのですが、新しい中間部が加えられている曲もあって、それがすごくかっこ良くて、しかも原曲のイメージにぴったり」(I) 「だから聴き慣れた曲でも、新しい感じに聴こえると思います。でも弾くのは難しくて、最初はばらばらでした。まずメロディが頻繁に入れ替わるので、どのパートが何を弾いているか、構造をきちんと把握しないと。いつもは自分のパート譜だけでなんとかなるんですけど、今回はみんな総譜を読み込んでいました。今までで一番大変だったかも」(H) 「でも楽しかった。みんな曲に思い入れがあるから入りやすいんですね」(I) お気に入りは? 「大橋卓弥の〈ありがとう〉。短いフレーズ単位でソロを交代するのですが、それぞれの音の個性がとてもよく出ています」(I) 「ドリカムの〈未来予想図II〉。アレンジで絶妙な切なさが加わって、物語が見えるような、新しい曲として聴けます」(H) 「私はSuperyの〈愛を込めて花束を〉が大好きで、毎日聴いているぐらいなんですが、それがさらにすごくかっこ良い曲になっています」(K) 「今の12人の等身大です」というラヴ・ソング集。同世代の女性たちからもきっと大きな共感が寄せられるにちがいない。

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