eぶらあぼ 2014.11月号
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284ファンタスティック・ガラコンサート2014祝宴 オペラ&バレエ 40th Anniversary新国立劇場バレエ団 新制作『眠れる森の美女』オペラとバレエをもっと身近にロイヤル・バレエ スタッフによる新シーズン開幕文:石村紀子取材・文:上野房子 神奈川県民ホールが毎年年末に行っているガラ・コンサート。一流のオペラ・オーケストラ・バレエが一度に堪能できるスペシャル企画である。作品や作曲家についての解説や聴きどころ、観どころの紹介が合間になされるため、初心者でもわかりやすく、毎年大人気の公演となっている。クラシック音楽ファンはもちろん、オペラやバレエは初めてという人にもぜひ足を運んでもらいたい公演だ。9回目となる今回は、神奈川県民ホールが開館40周年を迎えることにちなんで、作曲家40歳のときの作品をピックアップして上演する趣向となっている。バレエは東京バレエ団プリンシパルの上野水香と高岸直樹による『くるみ割り人形』のグラン・パ・ド・ドゥと、高岸直樹振付の新作が上演される 今秋、大原永子が第4代舞踊芸術監督に就任した新国立劇場バレエ団が『眠れる森の美女』全幕を新制作し、装いも新たに2014/2015シーズンのオープニングを飾る。英国ロイヤル・バレエの元プリンシパル、ウエイン・イーグリングが新国立劇場のために振り付ける、プロローグ付き全3幕。同劇場のオリジナル・バージョンである。 新版の見どころのひとつ、魔女カラ(共演:サクソフォンの上野耕平)。通常バレエの公演ではオーケストラはピットに入るが、この公演では舞台上でオーケストラが演奏し、その目前でバレエを踊る。音楽と踊りが溶け合うのがいつも以上に感じられ、バレエとは音楽を表現する芸術なのだということがよくわかる。オペラでは《カルメン》《トスカ》《椿姫》などから名曲の数々を。ほか《ザンパ》《展覧会の絵~古城》《イタリア奇想曲》なども演奏する。指揮はおなじみ松尾葉子。オーケストラは神奈川フィルハーモニー管弦楽団。出演歌手は小林沙羅(ソプラノ)、岡田昌子(ソプラノ)、山本耕平(テノール)。バリトンの宮本益光が司会を務める。ボスについて、イーグリングは熱を込めて語った。 「女装した男性ではなく、トゥシューズを履いた女性を配役して、踊りの場面を増やしました。カラボスはリラの精と対等な存在なのです。リラの精が世界に愛と平穏をもたらすのか、それともカラボスが善を打ち負かすのか。善と悪が対立する、スリリングなドラマを繰り広げます」12/28(日)15:00 神奈川県民ホール問 チケットかながわ0570-015-415 http://www.kanagawa-kenminhall.com11/8(土)~11/16(日) 新国立劇場オペラパレス 問 新国立劇場ボックスオフィス03-5352-9999 http://www.nntt.jac.go.jp 第2幕終盤、百年の眠りから覚めたオーロラ姫が王子と出会う場面では、流麗なリフトを駆使したデュエットが踊られ、2人の愛を謳い上げる。名パートナーとして鳴らしたイーグリングらしい改訂演出だ。 「プティパの原典を尊重しつつ、 個々のキャラクターがよりリアルになるようにひと工夫し、新たなデュエットや王子のソロを振り付けました。 既存の演出とは一線を画するプロダクションを目指しています」 主演は、米沢唯と同劇場シーズン・ゲストダンサーで英国ロイヤル・バレエ プリンシパルのワディム・ムンタギロフ、小野絢子と福岡雄大、長田佳世と菅野英男、瀬島五月(貞松・浜田バレエ団)と奥村康祐のペア。さらに舞台に華を添えるのが、イーグリングと幾多のバレエを共作してきたトゥール・ヴァン・シャイクの舞台装置と衣裳。古典の格調と、英国バレエに育まれたイーグリングの感覚が融合した、21世紀仕様の『眠れる森の美女』が誕生しようとしている。『くるみ割り人形』より ©Kiyonori Hasegawa大原永子(左から4番目)、ウエイン・イーグリング(左から5番目)

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