eぶらあぼ 2014.11月号
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282東京アートミーティング 第5回新たな系譜学をもとめて‐ 跳躍/痕跡/身体身体表現のアミューズメントパーク取材・文:高橋彩子 現代アートと様々な分野の表現との出会いによって、新たな可能性を探求する「東京アートミーティング」の第5回が開催中だ。今年は、ダンス、伝統芸能、スポーツなど“身体パフォーマンス”の系譜を独自の視点でたどり、現代における身体表現の有り様を提示している。いくつかをご紹介しよう。森山未來も登場 まず、文化庁の「文化交流使」として1年間、イスラエルで活動し、9月に帰国した森山未來は、9月にダンスフェスティバル「Dance New Air」で新作『談ス』を共に上演した大植真太郎、平原慎太郎と《これがダンスに見える日》をキュレーション。鑑賞者が、バレエ、フォークダンス、レゲエ……など、27種類のダンスのカテゴリー毎に用意されたQRコードにアクセスすると、ウェブ上に溢れる既存の動画のひとつにつながる。それは、なんということもない日常的な情景ばかりで、「これがダンス!?」と驚くことうけあいだが、彼らはそこにダンスの要素を見いだした。私達はここで、ダンスとは何かを考えることになる。 森山のイスラエルでの拠点でもあったインバル・ピント&アブシャロム・ポラック・ダンスカンパニーは、ダンサーが身体を使って絵画を描く1993年発表のダンス作品『DIO-CAN』の映像や、これまでのクリエイションのスケッチを展示。そのダンスの秘密に迫ることができそう。関連イベントでは『DIO-CAN』の流れを汲むパフォーマンス『ウォールフラワー』を上演。森山も出演する。 アーティスト集団ダムタイプは、高精細・高輝度を誇るソニーPCLの幅16m×高さ2mの自発光型4Kビジョンに、過去の作品『OR』『memorandum』『Voyage』を編集・アレンジして投射する《MEMORANDUM OR VOYAGE》を展示(11月16日(日)まで)。強い発光と共に映像が映し出され、観る者の五感=身体に訴えかけてくる。アーティストたちの挑戦 チェルフィッチュ初の映像インスタレーション《4つの瑣さまつ末な駅のあるある》は、前方のスクリーンに俳優の映像が映し出され、鑑賞者の上方に吊られた超指向性スピーカーからセリフが語られるというユニークなもの。関連イベントでは岡田利規がラッパーと創作する『ポストラップ』も上演。 シンガポールのアーティスト、チョイ・カファイは、ダンサーの身体の動きを電気信号で他者に移植することを試みる、ジョーク的な実験プロジェクト《未来の身体への案内》の映像を展示。そのデモンストレーションである舞台作品『ノーション:ダンス・フィクション』は、「フェスティバル/トーキョー11」および「KYOTO EXPERIMENT2012」でも上演された。踊りの記憶をひとりのダンサーの身体に埋め込めないかという実現不可能な(はずの)夢に、共感する人も多いかも。 このほか、ダンスの記譜法を考案し、美しいテキスタイルも製作したノア・エシュコルの資料や、彼女の作品を記録開催中~2015/1/4(日)まで 東京都現代美術館 問 東京都現代美術館03-5245-4111 http://www.mot-art-museum.jpしたシャロン・ロックハートの映像、作品のタッチに作家の手の動きやエネルギーを感じるジャクソン・ポロックの絵画《黒と白の連続》、アクション・ペインティングで知られる白髪一雄の《弐(天巧星浪子)》《無題(赤蟻王)》など、アートと身体の考察にうってつけの展示が並ぶ。盛りだくさんなイベント 総合アドバイザーを務める野村萬斎の映像も流れ、萬斎自身も、関連イベントとして、現代美術作家・高谷史郎とのコラボレーションで『三番叟』『ボレロ』を舞う。 さらに、日本の舞台史を語る上で欠かせない武智鉄二、大野一雄、土方巽、観世寿夫、渡邊守章らの、舞台ファン垂涎の写真・映像資料も見ることができる。また、渡邊守章の講習会、中田英寿のトークイベントと野村萬斎のワークショップも開催予定。 それぞれ異なる場で発展した表現を、ひとつの美術館で一度に味わう̶̶。それは、劇場とは違うかたちで“身体”を体験し再考する、特別な機会となるはずだ。『狂言劇場その壱 三番叟』2004年 世田谷パブリックシアター Photo: 政川慎治インバル・ピント&アブシャロム・ポラック・ダンスカンパニー『ウォールフラワー』2014年7月 Photo: Rotem Mizrahi

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