eぶらあぼ 2014.10月号
61/257

58神尾真由子 with フランツ・リスト室内管弦楽団10/25(土)14:00 いたみホール10/26(日)16:00 東北大学百周年記念会館川内萩ホール10/29(水)18:30 岩手県民会館10/31(金)19:00 サントリーホール11/3(月・祝)14:00 千葉県文化会館問 アスペン03-5467-0081 http://www.aspen.jpCD『愛のあいさつ&夢のあとに 神尾真由子 ヴァイオリン・アンコール』ソニー・ミュージックSICC-1714~1715(CD+DVD限定盤) ¥3200+税SICC-1716(通常盤) ¥2800+税10/22(水)発売予定 ©Shion Isakaピアソラとニュー・アルバムで魅せる新境地取材・文:宮本 明Interview神尾真由子(ヴァイオリン) 現在ロシア在住の神尾真由子が、10月に全国5都市を巡る国内ツアーを行なう。プログラムの中心となるのは、サラサーテ2曲とピアソラ「ブエノスアイレスの四季」というラテン系の作品だ。 「サラサーテはみなさんご存知の、超絶技巧を上品に味付けした音楽。ヴァイオリニストの技巧的な面を聴いていただくにも楽しい曲だと思います。ピアソラは初めて弾くのですが、タンゴの原曲に、ヴィヴァルディの『四季』のモティーフが邪魔をするように不協和音で入ってくる、とても刺激的で魅力ある編曲です」 公演によっては、シューベルトやバッハなど、ヴァイオリンのスタンダードな性格のプログラムも用意されている。共演のフランツ・リスト室内管弦楽団とは5月にもブダペストで演奏した。 「とても気さくで仲が良くて、朝の9時からずっと練習するような勤勉な人たちです。雰囲気としては弦楽四重奏の人数が増えたような感じで、誰かが合図を出すわけでもないのに、解釈もテンポもぴったり合うんですね。あれは不思議でした」 ツアー直前には2年ぶり5枚目のCDをリリース。アンコール・ピースを集めた、彼女初の小品集だ。 「実際にコンサートのアンコールで弾いている曲ばかりではありません。あまり知られていなくてアンコールではウケないような曲や、サイズが長くてコンサートに組み込みにくい曲も含めて、私の好きな曲が入っています。いろんなカラーの曲を入れているので、『こういう曲もあるのか』と探検する感じで聴いてください」 実際、深く丁寧な歌が聴こえてくる、実に“大人な”アンコール・ピース集だ。共演ピアニストは昨年7月に結婚したミロスラフ・クルティシェフ。もし夫や恋人でなかったとしても共演したい魅力的な音楽家だという。 「良いところも悪いところも含めて、彼にしかない個性のあるピアニストなので、一緒に弾いてすごく面白いし、刺激になります」 今回のアルバムの中の曲で二人の共通のお気に入りがあるかを尋ねてみた。 「ミロはなんて言ってたかな。レンスキーのアリア(エフゲニー・オネーギン)かな。あまり弾かれないですけれども、強く訴えかけるような曲です。逆に二人して苦労したのが『剣の舞』。ハイフェッツの編曲はピアノがすごく弾きにくいんですね。ヴァイオリンのほうは、私は乱暴に弾くのが苦手なので苦労しました。ハチャトゥリアンは少し汚いぐらいの音のほうがいいので」 美しすぎても苦労はあるわけだ。初のピアソラに、初の小品集CD。神尾真由子がまた少し新しい顔を見せ始めた。10/9(木)19:00 ザ・シンフォニーホール問 ザ・シンフォニーチケットセンター  06-6453-2333 http://www.symphonyhall.jp清水和音(ピアノ)名手・楽器・ホールの幸せな出会い文:高坂はる香 ©K.Miura 10年ぶりの大々的なモデルチェンジを経て2010年に発表された、ヤマハのフルコンサートグランドピアノ「CFX」。演奏家からの評価も高く、愛奏するピアニストはますます増加している。 去る4月、大阪ザ・シンフォニーホールに「CFX」が納入された。同ホールの楽器の選定に携わった清水和音が、そのピアノでリサイタルを行う。プログラムは、前半にショパンとラヴェル、後半にスクリャービンとリストの作品を交互に置くという、趣向を凝らした内容。「作曲家ごとの音の響き」を聴き比べてもらおうというものだ。なかでもスクリャービンのソナタは清水にとって演奏会初披露の作品。自ら選んだ楽器の能力を活かして奏でる、複雑で豊かな響きに期待する。一台一台異なる個性を持つ「CFX」の中から、清水はザ・シンフォニーホールという大きな空間を配慮し、ボディの鳴りの豊かさを大切に選定したという。名ピアニストの腕で、ホールにやってきた新たな楽器の音と珠玉の名品を味わいたい。NOWPRINTING

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です