eぶらあぼ 2014.10月号
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305東京バレエ団『くるみ割り人形』テトラヘドロン 第2回 アート×アート×アート〈音楽 × ダンス × 写真〉オブラスツォーワとラドメーカーが客演する豪華な舞台!4人のアーティストによるライヒ&ペルトの世界文:渡辺真弓文:高橋彩子 8月30日に「50歳の誕生日」を迎え、NHKホールで創立50周年を3日間に渡って盛大に祝った東京バレエ団。2013年12月の『ザ・カブキ』でスタートした記念シリーズも佳境に入っている。引き続き9月に第6弾の『ドン・キホーテ』、11月に第7弾のベジャール振付『第九交響曲』、そしてクリスマスは第8弾としてチャイコフスキーの名作『くるみ割り人形』が上演される。本公演は、2組の魅力的なキャストの競演が大きな話題だ。 東京バレエ団では、72年の初演以 音響の良さと共に優れた企画で知られるHakuju Hall。2013年には、知的好奇心を刺激するシリーズ『アート×アート×アート』第1弾として作曲家の藤倉大をフィーチャーした。その第2弾が、音楽=加藤訓子、ダンス=黒田育世/中村恩恵、写真=高木由利子という顔ぶれで行われる。 公演は2部構成。Part1では、加藤のマリンバと黒田のダンスでスティーヴ・ライヒの「ニューヨーク・カウンターポイント」「シックス・マリンバ・カウンターポイント」ほかを贈る。ライヒの「カウンターポイント」シリーズは加藤が、世界で初めて代表作3曲をパーカッションアレンジした、いわば彼女にとって自家薬籠中の作品。同種の楽器の音の反復から独特の響きを編み出すラ来、『くるみ割り人形』の決定版と言われるロシアのワイノーネン版を上演。『くるみ割り人形』には、少女クララは子供が、金平糖の精は大人が踊るという演出もあるが、ここでは最初から、ひとりのバレリーナが演じるのが特徴だ。初日のクララに扮するのは、ボリショイ・バレエのプリマ、エフゲーニャ・オブラスツォーワ。可憐な役柄には定評がある。王子役のマライン・ラドメーイヒの音楽が、強い個性と熱量で踊る黒田という“異物”を迎えてどう響くか、期待は高まる。Part2 では、アルヴォ・ペルトの「フラトレス」「鏡の中の鏡」「カントゥス」ほかを上演。加藤の演奏による抒情的な音楽の中、過去に自作でペルトを用いたこともある中村の、静謐さに情熱が滲む踊りをとくと味わいたい。 Part1・2ともに、高木由利子がリアカーはシュツットガルト・バレエの貴公子と言われ、ロマンティックな共演が実現しそうだ。一方、共に躍進著しい東京バレエ団の沖香菜子と梅澤紘貴ペアの初役デビューにも期待がかかる。 本公演の演出にはメディア・アートの最先端の「プロジェクション・マッピング」を採用、ファンタジー溢れた舞台を満喫できそうだ。12/19(金)19:00、12/20(土)14:00、12/21(日)14:00 東京文化会館問 NBSチケットセンター03-3791-8888 http://www.nbs.or.jp※12/23(火・祝)のよこすか芸術劇場の公演には沖と梅澤が出演12/19(金)19:00 Hakuju Hall問 Hakuju Hallチケットセンター03-5478-8700 http://www.hakujuhall.jpエフゲーニャ・オブラスツォーワ©Marc Haegeman加藤訓子©michiyuki ohbaマライン・ラドメーカー黒田育世©Daisuke Miura沖香菜子高木由利子©KOHEI TAKE梅澤紘貴中村恩恵©MITSUOルタイムに撮影した写真を、舞台背面のスクリーンに映し出す。高木が音楽とダンスの“瞬間”を切り取り、それを受けてまた音楽とダンスが変容する̶̶。観客にとっても唯一無ニの体験となるかもしれない。衣裳は三宅一生+Reality Lab.。4人の女性による3ジャンルのコラボーションは、どんな「テトラヘドロン」を創り出してくれるだろうか?

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