eぶらあぼ 2014.10月号
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227コンサートギャラリーチケット発売情報News & TopicsNew Release Selection新譜情報TV&FMBooks海外公演情報ぶらPAL今月の注目公演公演情報12月の見もの・聴きもの2014年12月の曽そし雌裕ひろかず一 編〔Ⅰ〕オーストリアウィーン国立歌劇場(子供のためのオペラは除く)12月2日 D.ダムラウS 共/X.ドゥ・メストレhp12月5、8(16:00)、12、16日 ヴェルディ:椿姫 指/F.ウェルザー=メスト、演出/J.F.シヴァディエ、出/E.ヤオ、S.ピルギュ、F.カピタヌッチ12月6、10、14日 ロッシーニ:チェネレントラ指/J.ロペス・コボス、演出/S.E.ベヒトルフ、出/シャホウ・ジンシュー、ヤン・テジョン、A.コルベッリ、I.ダルカンジェロ12月9、13、18、21日 R.シュトラウス:アラベラ指/U.シルマー、演出/S.E.ベヒトルフ、出/A.シュヴァネヴィルムス、I.トンカ、T.コニエチュニ、H.リッパート★◎12月20、23、27、30日 ヴェルディ:リゴレット[プレミエ] 指/F.ウェルザー=メスト、演出/P.オーディ、出/P.ベチャワ、S.キーンリサイド、E.マキシモワ12月25、28日 モーツァルト:魔笛 指/A.フィッシャー、演出/M.レーゼ、P.コリエ、出/F.J.ゼリッヒ、B.ブルンス、K.レヴェク12月31日 ヨハン・シュトラウス:こうもり 指/B.ドゥ・ビリー、演出/O.シェンク、出/A.エレート、J.バンゼ、E.クルマン、C.ウンターライナー、D.ファリー、P.シモニシェクウィーン・フォルクスオーパー12月3(19:00)日 ヴェルディ:椿姫 演出/H.グラツァー★12月4(19:00)、6(19:00)、7(16:30)、14(18:00)、15(18:00)、18(18:00)、23(18:30)、25(18:00)、29(18:00)日 オズの魔法使い(ミュージカル)[プレミエ(6日)] 演出/H.メイソン12月5(19:00)、13(19:00)、17(19:00)日モーツァルト:魔笛 演出/H.ローナー12月8(17:00)、12(19:00)、16(19:00)、19(18:00)、22(18:00)、26(18:00)日 フンパーディンク:ヘンゼルとグレーテル 演出/K.デンヒ12月9(19:00)日 P.リンケ:ルナ夫人 演出/P.ルント12月27(19:00)、30(19:00)日 F.レーヴェ:マイ・フェア・レディ(ミュージカル)演出/R.ヘルツル12月31(13:30+19:00)日 ヨハン・シュトラウス:こうもり 演出/R.ヘルツル、新校訂演出/H.ツェドニクアン・デア・ウィーン劇場(オペラ公演のみ)★◎12月7(19:30)、9(19:30)、11(19:30)日〔ベルリン・コーミッシェ・オーパー客演公演〕 O.ノイヴィルト:アメリカン・ルル[プレミエ] 指/J.カリツケ、演出/K.セレブレンニコフ、出/M.モンタルヴォ、D.ミルズ、J.G.ベロボ、演奏/コーミッシェ・オーパー管ウィーン・フィル[会場:無印=ムジークフェライン(ウィーン)、(KH)=コンツェルトハウス(ウィーン)、(BP)=芸術宮殿(ブダペスト)、(BB)=祝祭劇場(バーデン・バーデン)、(L)=ブルックナーハウス(リンツ)]◎12月4(15:00)(KH)日 M.ティルソン・トーマス指揮(passwort:symphonie 1) ヴァンハル:コントラバス協奏曲 独/O.ラーチcb◎12月6(19:30)(KH)、7(19:00)(BP)、8(19:30)日 M.ティルソン・トーマス指揮 ヴァンハル:コントラバス協奏曲、マーラー:交響曲第5番(4日は除く) 独/O.ラーチcb12月10(15:00)(KH)日 A.ネルソンス指揮(passwort:symphonie 2) R・シュトラウス:アルプス交響曲12月12(18:00)(BB)日 A.ネルソンス指揮(2014年ヘルベルト・フォン・カラヤン音楽賞受賞演奏会) ハイドン:交響曲第94番「驚愕」、受賞者への賞賛演説、R.シュトラウス:アルプス交響曲 12月13(15:30)、14(11:00)、15(19:30)、16(19:30)、19(18:00)(L)日 A.ネルソンス指揮 ハイドン:交響曲第94番「驚愕」、エルガー:ロマンス(ファゴットと管弦楽のための)、R.シュトラウス:アルプス交響曲 独/M.ウェルバfg12月30(11:00)、31(19:30)日 Z.メータ指揮(プレ・ニューイヤー・コンサート(30日)/ジルヴェスター・コンサート(31日)) ヨハン・シュトラウス・ファミリー他の作品ウィーン響[会場:(MV)=ムジークフェライン(ウィーン)、(KH)=コンツェルトハウス(ウィーン)]◎12月3(19:30)(MV)、4(19:30)(MV)、5(19:30)(MV)日 P.ジョルダン指揮 ウェーベルン:管弦楽のための6つの小品、シューベルト:交響曲第4番「悲劇的」、R.シュトラウス:英雄の生涯12月9(19:30)(KH)、10(19:30)(KH)日F.X.ロト指揮 ベルリオーズ:リア王(序曲)、R.シュトラウス:4つの最後の歌、サン=サーンス:交響曲第3番「オルガン付」 独/A.ハルテロスS、D.ロトog12月13(19:30)(MV)、14(19:30)(MV)日K.H.シュテフェンス指揮 ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番「皇帝」、フランク:交響曲ニ短調 独/R.ブッフビンダーp12月20(19:30)(KH)、21(15:30)(KH)日V.ペトレンコ指揮 ブラームス:ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲、ベルリオーズ:幻想交響曲 独/R.カプソンvn、G.カプソンvc【本文中の記号】★=プレミエ[新演出]公演、◎=注目公演 今年はバイロイト音楽祭で「リング」を観る機会があったが、賛否分かれる演出とは違って、聴衆誰をも魅了し尽くしたのが指揮者のキリル・ペトレンコ。この人のバランス感覚は文句なく素晴らしい。音楽が繊細にやさしく歌い上げる場面でも、大音量でエネルギーを爆発させる場面でも、全ての声部の音楽が見事に聴衆の耳に届いてくる。その情報量たるや尋常ではない。ペトレンコを聴いた後では、ティーレマンやネルソンスといえども、音楽が粗く厚ぼったく聞こえてしまうのが不思議なところだ。そのペトレンコ、12月はついにベルリン・フィルの指揮台に登場する。取り上げるのはマーラーの交響曲第6番。歌手の登場しない純粋な器楽曲で、ペトレンコがどんなマーラーを表現するのか、ベルリン・フィルはこの指揮者に果たして共感を抱くのか、興味の尽きることはない。また、彼は、本来の音楽監督の立場にあるバイエルン州立歌劇場で、12月後半に得意のR・シュトラウス「影のない女」を振る。年末にヨーロッパでオペラを聴こうというのであれば、この上演は注目すべき有力な選択肢の一つだ。 ところで、8月13日、18世紀オーケストラの創設者でもありピリオド系音楽の旗頭でもあったフランス・ブリュッヘンが亡くなった。今年は、何と大切な指揮者が我々の目の前から消えてしまう鬼門の年なのであろうか。同じ古楽系の雄であるアーノンクールがまだまだ元気なのは大いなる救いだが、そのアーノンクールは、手兵ウィーン・コンツェントゥス・ムジクスと共に、年の瀬に相応しい大曲、ハイドンの「天地創造」を演奏する。これは聴きものだ。もっとも、クリスマス・シーズンの12月だけあって、同じく古楽系(といっても今や現代オケも振るクロスオーバー指揮者群というべきかもしれないが)のミンコフスキは、パリのオペラ・コミークで、フランス語版によるヨハン・シュトラウスの「こうもり」を上演、トーマス・ヘンゲルブロックは、バルタザール・ノイマン・アンサンブルを率いて、バッハの「ロ短調ミサ」でドイツを中心としたツアーと、いずれもまず「ハズレ」のない演奏会で楽しませてくれる。ついでながら、ベルリン・フィル恒例のジルヴェスター・コンサートでは、今年はラトルがラモー(「優雅なインドの国々」組曲)を演奏する。かつてはピリオド系指揮者として名を馳せたこともあるラトルの思い出がちょっぴり浮かんでくる。そのラトルは、最近、オペラを振る機会がずいぶんと増えてきたが、12月もベルリン州立歌劇場(シラー劇場)で、ヤナーチェクの「死者の家から」を振る。亡きシェローが2011年のプレミエとしてこの劇場で出した演出によるもので、これも12月の重要公演。ヤナーチェクでは、ネトピルの振る「利口な牝狐の物語」(ドレスデン・ゼンパーオーパー)もある。ネトピルは、エッセン歌劇場で上演するモーツァルトの「イドメネオ」やコンサートも面白そう。 他に、オペラでは、ペーター・ザイフェルトが出演するワーグナー2本、ベルリン州立歌劇場(シラー劇場)の「トリスタンとイゾルデ」、ベルリン・ドイツ・オペラの「タンホイザー」にも要注目。スカラ座の今年の開幕公演は、ベートーヴェンの「フィデリオ」。人気歌手カンペやフォークトと並んでベテランのシュトルックマンを配するなど、バレンボイムならではの豪華な幕開けとなる。ティーレマンもドレスデンでの「ばらの騎士」やジルヴェスター・コンサートでの「チャルダッシュの女王」など相変わらず大活躍。 オーケストラでは、バーデン・バーデン&フライブルクSWR響にギーレンが登場してストラヴィンスキーを振ることになっているが、昨シーズン後半、体調不良でキャンセルが続いただけに無事再登場してくれるかどうかやや心配。ウィーン・フィルでは珍しくヴァンハルの曲が取り上げられるのが興味深い。ハイドンとほぼ同世代の作曲家だが、作品の水準も高く、もっと演奏されるべき作曲家だ。コンチェルト・ケルンでコンミスを務める平崎真弓さんの活躍も見逃せない(12月18日、ケルンのフィルハーモニー)。(曽雌裕一・そしひろかず)(コメントできなかった注目公演も多いので本文の◎印をご参照下さい)

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