eぶらあぼ 2014.9月号
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46スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ(指揮) 読売日本交響楽団91歳の巨匠が魅せる“気迫の神化”文:柴田克彦硬派弦楽アンサンブル 「石田組」アグレッシヴな熱いサウンドにノックアウト!文:笹田和人第11回 読響メトロポリタン・シリーズ10/8(水)19:00 東京芸術劇場コンサートホール第541回 定期演奏会10/9(木)19:00 サントリーホール問 読響チケットセンター0570-00-4390 http://yomikyo.or.jp10/10(金)19:00 横浜みなとみらいホール問 横浜みなとみらいホールチケットセンター  045-682-2000 http://www.yaf.or.jp/mmh この人は、枯れることを知らない。むろん円熟の味はある。しかし音楽はいつも生気に充ちていて推進力抜群。響きやフレーズは絶妙なバランスで構築され、聴き慣れた楽曲にも新たな発見をもたらす。かくも覇気漲る老匠は前代未聞かもしれない…。それがスタニスラフ・スクロヴァチェフスキだ。昨年10月、ショスタコーヴィチの5番を立ったまま指揮し、日本で90歳の誕生日を祝ったこの巨匠が、今年10月再び、桂冠名誉指揮者を務める読響に登場する。 演目は、ブルックナーの交響曲第0番とベートーヴェンの交響曲第7番。共に前記の特質が生きる、スクロヴァでこそ聴きたい2作品だ。ブルックナーの0番は、第1番の後に完成されながら、「ヌルテ(0番、無効等の意)」と記された謎の交響曲。だが昨秋マエストロにインタビューした際、「作曲者が破棄せずに“0番”と番号を付けた。私はその意味の重大性を深く考えている」と語っていた。これは、後の名作と違った颯爽たる趣と後年を予感させる 14人の男たちが奏でる、熱いサウンドに酔いしれろ! 神奈川フィルのソロ・コンサートマスターで、クラシックにとどまらないボーダーレスな演奏活動、ヴァイオリニストらしからぬルックスでも大人気の石田泰尚。そんな石田書法が同居した面白い作品であり、第2楽章などすこぶる美しい。生演奏が稀な同曲を、スクロヴァ&読響で体験できるとなれば、聴き逃せないのは明白だ。そしてベートーヴェン。昨年リリースされた当コンビによる3~5番のCDでの、細部が息づく引き締まった名演から、7番への期待も大きい。第2楽章“不滅のアレグレット”や第4楽章の狂喜乱舞がいかに表現されるのか? ワーグナーの言う「舞踏の神化」をまさがプロデュースするスーパー・ストリングス・ユニットが硬派弦楽アンサンブル「石田組」だ。 「2011年にヴィヴァルディの『四季』を演奏した際、偶然にメンバーが男性ばかりだった。とてもアグレッシヴに仕上がって、『男だけもなかなか良いな!』と…」と、石田は結成のきっかけを説明。「13人の組員(メンバー)は、今まで自分と共演したことがあり、多方面で活躍している、信頼できる人たちばかりです」と語る。 “旗揚げ公演”となる今回は、まず、結成のきっかけとなった「四季」全曲を披露。そして、石田が特にこだわしく具現化した、稀有の7番出現の予感に充ちている。 彼がいくら元気でも、今後の公演が一期一会であるのは言わずもがな。全ての音楽ファン必聴だ。りを見せるピアソラから「ブエノスアイレスの四季」、そして「石田組」のためのオリジナル編曲で「ビジュージャ」「リベル・タンゴ」を。さらに、映画音楽から「ニュー・シネマ・パラダイス」、ロック・ナンバーからUKの名曲「シーザーズ・パレス・ブルース」を配した。 「とにかく、一緒に盛り上がって下さい!」と石田。「ここで終わりにしたくないし、早くも周囲では『自分も入りたい』という声も出ています。今後はステージの企画内容や曲目によって、奏者を決めるという形になりそう。ここをスタートに、石田組の活動が広がって、色々な機会に演奏できれば」。スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ ©読売日本交響楽団 撮影:青柳聡石田泰尚 ©井村重人

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