eぶらあぼ 2014.9月号
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246NBAバレエ団『ドラキュラ』アメリカで大ヒット!日本初上陸取材・文:渡辺真弓 吸血鬼ドラキュラをテーマにした映画やテレビ、演劇、小説は数々あるが、バレエの『ドラキュラ』をご覧になったことはあるだろうか。6月に上演したアメリカン・バレエ特集で好調の波に乗っているNBAバレエ団がこの秋上演するのが、アメリカで大旋風を巻き起こした、『ドラキュラ』である。1996年にブラム・ストーカー原作『吸血鬼ドラキュラ』の出版100周年を記念して、ミルウォーキー・バレエ団の芸術監督マイケル・ピンクがバレエ化したもので、音楽はフィリップ・フィーニー、舞台装置はレズ・ブラザーストーンという第一線のクリエイターたちが結集して作り上げた超大作だ。英国のノーザン・バレエ団で世界初演された後、アメリカの各地と、ニュージーランド、ノルウェーなど世界各地で上演が続けられている。 なぜ今ドラキュラなのか、久保綋一芸術監督は上演の経緯と作品の魅力についてこう語る。 「この作品に初めて触れた時の衝撃は今でも忘れられません。バレエであってバレエでない。いや、それ以上のものに出合えたような感覚がありました。物語は原作に忠実で、弁護士のジョナサン・ハーカーが、トランシルヴァニアのドラキュラ伯爵を訪問するところから始まります。まずフィーニーのオリジナル音楽が素晴らしい。演出と音楽が完全にシンクロしている"鳥肌もの”です。演出も、ブロードウェイ・ミュージカル的というか、舞台装置の転換や特殊効果が凄い。今回が本邦初演なので、今の時点では想像を膨らませてもらうしかないのですが、絶対に期待を裏切らないことをお約束いたします」 演出・振付のピンクも「この作品は、アメリカでは“歩くホラーショー”と呼10/25(土)18:30、10/26(日)15:00 ゆうぽうとホール問 SOGO TOKYO03-3405-9999 http://www.nbaballet.orgCatch Upばれていて、観客も仮装して来場するので、東京でも吸血鬼たちを呼び起こしたい」と意欲満々に語る。 注目のタイトルロール、ドラキュラを演じるのは、昨年マシュー・ボーンの『ドリアン・グレイ』に主演し、活躍が目覚ましい大貫勇輔。バレエからコンテンポラリー、ストリートダンス、さらにミュージカルまで様々なジャンルのダンスをこなす多才なダンサー・アクターである。チラシにイメージ写真が掲載されているように、何ともセクシーで魅力的なドラキュラが誕生しそうだ。 ドラキュラを取り巻く登場人物たちに、ドラキュラに狙われるミナ、ミナの親友ルーシー、弁護士ジョナサン、学者のヘルシング‥。NBAバレエ団のソリスト総出演の舞台に期待したい。ピンクの指導は、とりわけ演劇性が重視される作品だけに細部へのこだわりが厳しいというが、「ステップをただこなすだけでなく、そのステップの意味を理解した上で踊ることが大切」と説く。『ドラキュラ』の日本初上陸は、10月31日のハロウィンの直前。秋の一大イベントにぜひ足を運んでみたい。大貫勇輔

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