eぶらあぼ 2014.9月号
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173コンサートギャラリーチケット発売情報News & TopicsNew Release Selection新譜情報TV&FMBooks海外公演情報今月の注目公演公演情報ぶらPALCDCDCDCDベートーヴェン:交響曲第1番&第7番/ケント・ナガノ&モントリオール響ブラームス:フルート・ソナタop.120/カール=ハインツ・シュッツピアノ・リサイタル2013ライヴ/安田英ひでかず主「思い出」Souvenir/内山優子ベートーヴェン:交響曲第1番・第7番ケント・ナガノ(指揮)モントリオール交響楽団ブラームス(編曲:カール=ハインツ・シュッツ):フルート・ソナタ第1番・第2番(原曲:クラリネット・ソナタ第1番op.120-1・第2番op.120-2)/ゴベール:2つのスケッチ/サン=サーンス:歌劇《アスカニオ》のバレエ音楽より3曲カール=ハインツ・シュッツ(フルート)赤堀絵里子(ピアノ)レクオーナ:スペイン組曲「アンダルシア」より第6曲「マラゲーニャ」/ショパン:ワルツ第1番「華麗なる大円舞曲」、幻想曲ヘ短調/ムソルグスキー:展覧会の絵/安田英主:瑠璃色の中で 他安田英主(ピアノ)ヴィエニャフスキ:モスクワの思い出/ラヴェル:ツィガーヌ/ロータ:即興詩「センチメンタルな悪魔」/クライスラー:美しきロスマリン/シューベルト:ヴァイオリン・ソナタ「二重奏曲」D.574 他内山優子(ヴァイオリン)鷲宮美幸(ピアノ)収録:2013年3月、モントリオール(ライヴ)ソニーミュージックSICC-1712 ¥2400+税カメラータ・トウキョウCMCD-99082 ¥2300+税収録:2013年12月、Hakuju Hall(ライヴ)アイエムシー音楽出版 IMCM-2015 ¥2593+税ソナーレ・アートオフィスSONARE-1024 ¥2400+税本シリーズも終盤に入ってきた。シリーズのスタート時には、ベートーヴェンの作品そのもののテキストを現代の時事問題に置換え、また、加えるなど、コンセプト面での新たな試みが目立ったが、新盤は“旅立ち-理想郷”というサブタイトルこそあるものの、楽曲のみの直球勝負。ピリオド奏法を応用し軽く歯切れよく進んでいくが、響きが固くなったりフレージングが鋭角的にならず、弾力のあるサウンドでふんわりとした爽やかさを醸している。本拠地ホールの特性や録音技術も関係しているのだろうが、フランス語圏オーケストラの美感の生きた音作りが印象的だ。(江藤光紀)2011年からウィーン・フィルの首席奏者を務めるシュッツのソロCD第2弾。ブラームスのクラリネット・ソナタ2曲のシュッツ自身による編曲版を軸にした意欲作だ。1曲目のソナタ第2番の冒頭から流麗で心地良い音楽が流れ出し、新鮮な感覚にとらわれる。2曲共に、晩年の渋い音楽が瑞々しく明朗なテイストに変わるとはいえ、違和感はまるでなく、むしろブラームスの新作フルート曲発見の趣。これは、芯のある音で周到かつ自然に音楽を構築したシュッツの名奏あってこそだろう。ゴベールの美しい小品等も含めて、充実の内容が光る1枚。(柴田克彦)安田は、桐朋学園の高等学校を経てパリのコンセルヴァトワールで学んだ25歳。昨年の12月にHakuju Hallで行ったライヴの記録だ。前半は、J.S.バッハ、ショパン、ブラームスなどの傑作を、快速のテンポと透明度の高い音色で巧みに弾き分け。後半のムソルグスキー「展覧会の絵」ではシャープな表現にますます磨きがかかり、原曲のロシア的な薫りを基調にしながら、ラヴェルが後に編曲した管弦楽版のフランス的な色彩感も効果的に織り込んでゆく。その後もさらにアンコールで、チャイコフスキー、自作曲、J.S.バッハの3曲が続く。充実の約77分。(渡辺謙太郎)内山は桐朋女子高校卒業後に渡英してギルドホール音楽院、さらに米国へ転じて、クリーヴランド音楽院修士課程やニューイングランド音楽院で学び、国際コンクールでの入賞も重ねた実力派ヴァイオリニスト。一昨年まで8年間、名門ピッツバーグ交響楽団の奏者を務めたが、今後は日本に拠点を移して、本格的にソロ活動をスタートする。その“名刺代わり”となる当盤は、ヴィエニャフスキやラヴェルの難曲、シューベルト初期のソナタを軸に据えた上で、クライスラーなどの小品を配した自在な選曲。艶やかな音色と抜群の安定感を誇る高い技巧により、歓びを込めて弾きこなしている。(笹田和人)

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