eぶらあぼ 2014.9月号
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172SACDCDCDCDJ.S.バッハ:バスのためのソロ・カンタータ集/小松英典鮫島明子 プレイズ ショパンブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」/上岡敏之&ヴッパータール響アランフエス協奏曲/アルハンブラの想い出/ミロシュJ.S.バッハ:カンタータ第56番・第82番・第158番小松英典(バリトン)金昌国、フランク・レール(指揮)アンサンブル of トウキョウ 他ショパン:エチュードop.10、24のプレリュード鮫島明子(ピアノ)ブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」上岡敏之 (指揮)ヴッパータール交響楽団ロドリーゴ:アランフエス協奏曲、祈りと踊り、ある貴紳のための幻想曲/ファリャ:クロード・ドビュッシーの墓碑銘のための讃歌、粉屋の踊り/タレガ:アルハンブラの想い出ミロシュ・カラダグリッチ(ギター)ヤニック・ネゼ=セガン(指揮)ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団収録:2010年7月,2012年7月、紀尾井ホール、めぐろパーシモンホール(ライヴ)コジマ録音 ALCD-9141 ¥2800+税ナミ・レコードWWCC-7756 ¥2500+税オクタヴィア・レコードOVCL-00546 ¥3200+税ユニバーサルミュージックUCCG-1660 ¥2800+税第82番は女声で歌われることもあるものの、J.S.バッハがバス歌手のために遺したソロ・カンタータはこの3曲ですべて。同じ日のライヴである前半2曲では、第56番の〈アリア〉あたりでエンジンがかかりはじめ、重心の低いバリトンの声質と自在な動きが快調なコントラストを作っていく。ドイツリートのスペシャリストだけに、発音の美しさには安定感を感じる。現代楽器・モダンピッチによるアンサンブル of トウキョウも、バッハのツボを外さない丁寧な好サポート。特に第56番と第82番で独唱と対峙して大活躍するオーボエ・ソロの助奏は見事。(宮本 明)ショパンの「エチュード」op.10と、「24のプレリュード」をカップリングした、意欲的な録音。どちらも鮫島が長年温めてきたレパートリーというだけに、一音ごとに込められた強い想いが伝わる。エチュードは思い切ってテンポを揺らしながら、歌心たっぷりに奏でる。練習曲としての技巧性にとらわれず、豊かな詩情を大いに示そうとする演奏だ。一方のプレリュードは、ベーゼンドルファーのまろやかな低音を活かし、ショパンの心の内に迫りつつ、儚く幻想的な歌、苦悩のにじむ叫びをかわるがわる再現する。エチュードとプレリュード、それぞれの世界観が描き分けられた、聴きごたえのある録音。(高坂はる香)2007年収録の7番(日本コロムビア)に次ぐ、当コンビ2作目のブルックナーだ。前作では空前の“激遅”テンポでリスナーを仰天させたが、上岡にその理由をきくと「ブルックナーの“宗教への憧れ”を表わすには時間が必要。ゆえに適切だと思う」との由。7番ほど極端ではないものの、今回も大筋は同方向にある。特に第1楽章は遅めで、時に立ち止まりながら細部をくまなく表出し、中間楽章は穏当なテンポだが随時急変。第4楽章は再び遅めに運び、隅々まで血を通わせた濃密な演奏を展開する。弱音は繊細、強音は激烈の極み。この雄大な音楽は、やはり一聴の価値あり!(柴田克彦)ハリウッド俳優ばりのイケメンぶりも話題の、人気ギタリストによる第3弾アルバム。今回は、「アランフエス協奏曲」「ある貴紳のための幻想曲」、ロドリーゴによる2つのオーケストラ伴奏付きの名曲を核に。共演のネゼ=セガン指揮ロンドン・フィルとの丁々発止のやり取りがすばらしい。また、ギター・プレイの良し悪しを決定づける要素のひとつに響きの処理があるが、そこに生まれた“雑音”を音楽へと取り込む奏者もいる一方、ミロシュの場合は、どこまでも美しく明瞭。そこが、独特の持ち味へと繋がっている。なお国内盤のみ、ボーナストラックで「アルハンブラの想い出」を収録。(寺西 肇)

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