eぶらあぼ 2014.8月号
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44 新しい才能と出会うことができる、コンクールという場所。国内で開催されるものは、手軽に足を運んで自らの耳でその出会いを体験できる、貴重な機会だ。 国内の実力派が集結することでおなじみの東京音楽コンクールが、今年も開催される。7月後半に行われる第1次予選(非公開)、第2次予選(公開)から約1ヵ月を空けて開催される本選は、オーケストラとの共演。4部門、一般公開で審査が行われる。金管部門(8/22)は川瀬賢太郎指揮・東京フィルハーモニー交響楽団、弦楽部門(8/23)は梅田俊明指揮・新日本フィルハーモニー交響楽団、声楽部門(8/24)は飯森範親指揮・東京交響楽団、そしてピアノ部門(8/26)は大井剛史指揮・日本フィルハーモニー交響楽団と共演する。若い演奏家たちが、各部門ひとつの一流オーケストラとどのような協奏を繰り広げるのか、聴き比べるのもおもしろい。聴衆賞も用意されているので、真剣に聴いて、輝く才能に一票を投じる楽しみもある。 現在、東京文化会館が改修工事に伴い閉館中ということで、通常ここで開催されていた本選は、東京芸術劇場に会場を移す。来年1月に優勝者コンサートが行われるころには東京文化会館も再オープンしているというから、今回のコンクールでは、“芸術の殿堂”たる同ホールの舞台に立つことができるのは優勝者だけということになる。 今回も、すばらしい逸材が現れることに期待したい。神奈川フィルハーモニー管弦楽団 小泉和裕 特別客演指揮者就任披露公演名匠で聴くロシアの名作2編文:渡辺謙太郎第301回 定期演奏会 みなとみらいシリーズ8/29(金)19:00 横浜みなとみらいホール問 神奈川フィルチケットサービス045-226-5107 http://www.kanaphil.or.jp第12回 東京音楽コンクール未来の巨匠たちを探そう文:高坂はる香【第2次予選】 7/28~7/31 北とぴあつつじホール【本選】 金管部門 8/22(金)18:00 弦楽部門 8/23(土)17:30声楽部門 8/24(日)17:30 ピアノ部門 8/26(火)17:30 東京芸術劇場問 東京文化会館チケットサービス03-5685-0650  東京芸術劇場ボックスオフィス0570-010-296※コンクールの詳細は右記ウェブサイトでご確認ください。 http://www.t-bunka.jp 地元横浜を中心に積極的な演奏活動を展開している神奈川フィルにとり、新たな門出となる2014年。4月の常任指揮者就任披露公演で大成功を収めた川瀬賢太郎に続き、今回は同時期に特別客演指揮者に就任した小泉和裕が登場する。 1973年の第3回カラヤン国際指揮者コンクールで優勝した後、ベルリン・フィルを指揮してベルリン・デビューを飾るなど、20世紀を代表する巨匠から多大な薫陶を受けた小泉。今回の公演は、カラヤンの十八番のひとつだったチャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」をメインに据えたプログラム。第1楽章冒頭のレクイエム的な暗さから、最終楽章の切々とした哀愁まで、この傑作交響曲をくり返し演奏し続けたカラヤン。小泉はその伝統を最も正統的な形で継承した、雄大で緻密極まりない解釈で聴かせてくれることだろう。そして、この名作の序章のように前半で演奏されるのが、同じロシアの作曲家グラズノフの代表作として名高いバレエ音楽「四季」。季節ごとの象徴的な事柄(冬の雪、春の花、夏の舟歌、秋のバッカス礼賛など)を擬人化した作品で、冬から始まり、春、夏、秋へと進んでゆく、北国ロシアならではの独特な配列が特徴。凍てつく厳寒の冬、短くも生き生きとした春と夏を経て、実りの秋へ。中でも、金管の急速なリズムにのってヴァイオリンが収穫の喜びを歌い上げる「秋」は、聴き応え十分で特におすすめだ。昨年の本選入賞者(左より) ピアノ部門 第1位 黒岩航紀/弦楽部門 第1位 田原綾子(ヴィオラ)/木管部門 第1位 コハーン・イシュトヴァーン(クラリネット) Photo:青柳 聡 写真提供:東京文化会館 小泉和裕神奈川フィルハーモニー管弦楽団

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