eぶらあぼ 2014.8月号
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36 多くの聴衆に向けて良質な音楽を届けようと活動するSony Music Foundationが、今年で設立30周年を迎えた。記念事業として、次世代の音楽ファンに向けたさまざまなコンサート・シリーズを展開中だ。『10代のためのプレミアム・コンサート』ではこの秋、充実の室内楽が用意されている。 10月5日(第一生命ホール)は、幅広いレパートリーで聴衆を楽しませるアルカント・カルテットが、子どもたちのためのスペシャル・プログラムで登場する。バッハからクルターグまで、ソロと四重奏を織り交ぜたユニークな曲目を披露し、弦楽器の魅力を伝える。 10月15日(紀尾井ホール)は木管アンサンブルの夕べだ。フランスの伝統とエスプリを伝えるレ・ヴァン・フランセが、ベートーヴェンやリムスキー=コルサコフのピアノと管楽のための五重奏曲のほか、サン=サーンスやプーランクなどのフランス音楽のエッセンスも届けてくれる。 そして11月4日(紀尾井ホール)は、世界を舞台に躍進中の若きピアニスト小菅優と河村尚子がデュオで共演するという、夢のようなリサイタルが開かれる。モーツァルトからラフマニノフまで、2台ピアノおよび連弾の作品を、絶妙なアンサンブルで聴かせてくれることだろう。大人もうらやむ公演が目白押しだが、小学1年から19歳の子ども1人につき大人の保護者は4名まで同伴可。ぜひご家族で秋の芸術シーズンを楽しんでいただきたい。古典四重奏団 ムズカシイはおもしろい!! モーツァルト全曲2014の1~3天才の作曲技法の奥義に迫る文:寺西 肇2014の1 9 /27(土)14:00レクチャー 14:45開演2014の2 10/10(金)19:00レクチャー 19:20開演2014の3 10/26(日)14:00レクチャー 14:45開演第一生命ホール問 トリトン・アーツ・ネットワーク・チケットデスク03-3532-5702 http://www.triton-arts.netSony Music Foundation 10代のためのプレミアム・コンサート次世代の音楽ファンに向けた豪華な企画文:飯田有抄アルカント・カルテット 10/5(日)14:00 第一生命ホールレ・ヴァン・フランセ 10/15(水)19:00 紀尾井ホール小菅優&河村尚子 11/4(火)19:00 紀尾井ホール問 Sony Music Foundation 03-5227-5233 http://www.smf.or.jp 名人集団・古典四重奏団による、人気のレクチャー付きコンサート『ムズカシイはおもしろい!!』。昨秋から続けている、モーツァルトの弦楽四重奏曲の全23曲を取り上げるシリーズ(全6回)も、この秋に行われる3回のステージで完結へ。夭折の天才の作曲技法の全貌が、いよいよ明らかとなる。 今年の第1回(9/27)は、「本当の意味の『パパ』はレオポルドか、ハイドンか」のパート2。第5、11、23、17番を中心に。また、第2回(10/10)は「ミューズへの恭順」と題して、第6、12、18番と永遠の名曲「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」を。そして第3回(10/26)は「ミューズへの反逆」と題し、第7、13、20、19番を聴く。 「私たちは演奏家なので、作曲家は何をもって美しいと感じていたか、ということが一番大事だと考えます。その美意識を見つける作業が最も難しい、最も楽しい。それを皆さんにお伝えしたい」と、レクチャーも担当するチェロの田崎瑞博。 「モーツァルトの信条は、“音楽の神”ミューズに近づくことだった。彼は『アイネ・クライネ~』の完璧な音楽でミューズに“恭順”したが、それでは物足りなくなった瞬間があった。それが“反逆”だった。第19番『不協和音』から、その片鱗を探ります」 時に無邪気に、時に深く人間の内面をえぐるなど、様々な表情を見せる佳品たち。ハイドンが完成させた弦楽四重奏というスタイルをさらに進展させ、深化をもたらしたモーツァルトの秘密に、肉迫する経験ができるだろう。©藤本史昭アルカント・カルテット ©Marco Borggreve小菅 優 ©Marco Borggreveレ・ヴァン・フランセ Photo:青柳 聡河村尚子 ©Hirofumi Isaka

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