eぶらあぼ 2014.8月号
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2510/10(金)15:00/19:30 Hakuju Hall問 Hakuju Hallチケットセンター  03-5478-8700   http://www.hakujuhall.jpモーツァルトの“秘曲”をフレッシュなメンバーで文:渡辺謙太郎第11回 Hakuju Hall ワンダフルoneアワーウェールズ弦楽四重奏団&金子平(クラリネット)金子 平 ©読響ウェールズ弦楽四重奏団 ©Satoshi Oono9/4(木)19:00 Hakuju Hall問 プロアルテムジケ03-3943-6677 http://www.proarte.co.jp他公演9/5(金) 武蔵野市民文化会館(完売)、9/6(土) 宗次ホール(052-265-1718)ジョン・リル(ピアノ)イギリスを代表する巨匠のピアニズム文:高坂はる香10/18(土)17:00 八ヶ岳高原音楽堂問 八ヶ岳高原ロッジ0267-98-2131 http://www.yatsugatake.co.jp八ヶ岳高原サロンコンサート ジョン・健・ヌッツォ(テノール) 美しい自然と共に味わうノーブルな歌声文:宮本 明 ©Katia Kolokoltseva ますます人気と評価を着実に高めている若きウェールズ弦楽四重奏団。そんな彼らがレジデント・アーティストを務めるHakuju Hallで、『ワンダフルoneアワー』シリーズ2度目の公演を行う。プログラムは前回同様、古典と現代を軽やかに往来する作品が選ばれた。しかも今回は、読売日本交響楽団の首席クラリネット奏者として活躍する金子平をゲストに迎え、2つのモーツァルト作品を対置。晩年の傑作、クラリネット五重奏曲と、未完のクラリネット五重奏曲の第1楽章と推測される秘曲「断章」、いずれも本当に楽しみだ。ウェールズも、金子も、ともに2008年のミュンヘン国際コンクールで第3位に輝いた実力派。緻密で洗練された掛け合いを期待しよう。そしてもう1曲、藤倉大の弦楽四重奏曲第2番「フレア」の再演にも注目。炎をイメージして書かれた超難曲で、彼らが同ホールで演奏するのは約2年半ぶりだ。その間に重ねた研鑽の成果に期待が募る。 1970年のチャイコフスキー国際音楽コンクールで優勝し、世界の注目を集めたジョン・リル。44年に第2次世界大戦只中のイギリスで貧しい環境に生まれた彼は、ピアニストになることなど無理だと言われながらも、夢を追い続けたという。9歳でのデビューリサイタル以来演奏活動を続け、2度にわたり大英帝国勲章を受章。今ではイギリスを代表する巨匠となった。 70歳を迎える節目の年、約2年半ぶりとなる来日公演を行う。リルは、ヴィルヘルム・ケンプの薫陶を受けたこともあって特にベートーヴェンの演奏で名高いが、得意とするのはもちろんそれだけではない。厳格かつダイナミックな音楽づくりが魅力のベートーヴェンのソナタ第8番「悲愴」。加えて、気品と歌に溢れるショパンのバラード第4番、力強く緻密に描かれるブラームスの「ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ」など、聴きどころが多い。Hakuju Hallという響きの良い空間で、リル円熟期のピア二ズムを多方面から堪能できそうだ。 美しい自然に溶け込むように豊かな気分で音楽を楽しめる八ヶ岳高原音楽堂。年間を通じてさまざまなコンサートが行なわれている。この10月には、ウィーン国立歌劇場やメトロポリタン歌劇場など世界の主要舞台で活躍するスター・テノール、ジョン・健・ヌッツォが登場。ベッリーニの〈美しい月よ〉や、ヴェルディの〈女心の歌〉(歌劇《リゴレット》より)などの名曲の数々を歌い、持ち味の甘い歌声で聴き手を魅了してくれるに違いない(ピアノ:赤星裕子)。八ヶ岳高原音楽堂は、やさしい木のぬくもりを感じる、やわらかな残響に加え、ステージ背面が全面ガラスになっており、四季折々の自然を味わえるのも特徴。10月は高原の秋が最も深まる季節。17時開演なので、紅葉に染まる樹々の美しい夕景から徐々に漆黒の闇に包まれてゆく大自然の演出も、コンサートとともに楽しめるに違いない。

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