eぶらあぼ 2014.8月号
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152CDSACDCDCDアダージョ~グラスハーモニカ作品集/ウィーン・グラスハーモニカ・デュオプロコフィエフ:フルート・ソナタ/カール=ハインツ・シュッツオイストラフ・ライヴ・インジャパン1955!/ダヴィッド・オイストラフ心に響くにほんのうた/佐藤淳一モーツァルト:そりすべり、グラスハーモニカのためのアダージョ/サティ:グノシェンヌ第1番/ランナー:シュタイヤー風舞曲/レイフス:アイスランド舞曲第2番・第4番/シェーンフェルディンガー:魂への門~クリスマス・メディテーション 他ウィーン・グラスハーモニカ・デュオ[クリスタ&ゲラルト・シェーンフェルディンガー]プロコフィエフ:フルート・ソナタ/ヒンデミット:フルート・ソナタ/ヨゼフ・ラウバー:グランド・ソナタ/マルタン:フルートとピアノのためのバラードカール=ハインツ・シュッツ(フルート)赤堀絵里子 (ピアノ)ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第1番/プロコフィエフ:ヴァイオリン・ソナタ第1番/イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番「バラード」/チャイコフスキー:瞑想曲、ワルツ・スケルツォ/クライスラー:コレルリの主題による変奏曲ダヴィッド・オイストラフ(ヴァイオリン)ウラディーミル・ヤンポリスキー(ピアノ)信時潔:組曲「沙羅」/滝廉太郎:荒城の月/山田耕筰:この道、鐘が鳴ります、待ちぼうけ、赤とんぼ/小林秀雄:落葉松 /三善晃:ほおずき 他佐藤淳一(テノール)花岡千春(ピアノ)マイスター・ミュージックMM-2190 ¥2816+税カメラータ・トウキョウCMCD-99081 ¥2300+税収録:1955年2月23日、東京、日比谷公会堂(ライヴ)オクタヴィア・レコードOVCL-00541 ¥3200+税ワインスタジオスJSCD-0001 ¥2407+税 18世紀アメリカを代表する政治家で、科学者でもあったベンジャミン・フランクリン。彼が発明したとされるグラスハーモニカの美しく神秘的な響きが、深海魚が悠々と回遊する水族館のような世界に誘ってくれる。収録曲は、この楽器のためのオリジナル(モーツァルトのアダージョなど)から、サティ、グリーグ、シューベルトといった名曲の編曲まで、バラエティ豊かな9曲。演奏者の2人はプライべートでも夫婦関係にあり、実に自然で親密な掛け合いを聴かせてくれる。この暑い季節、たまった疲れをクールダウンして癒すのに最適なディスクの一つと言えるだろう。(渡辺謙太郎) 2011年からウィーン・フィルの首席奏者を務め、各アンサンブルでも亡きシュルツの後を継いでいる注目のフルーティスト、初のソロ・アルバム。1936〜43年の作品を集めた選曲が、稀少かつ意義深い。中でもスイスの作曲家ラウバーのソナタは、最近蘇ったという珍品だが、後期ロマン派風で聴き応え充分だ。演奏は、豊麗ながらもストレートな音色が効果を発揮。丁寧かつ繊細なフレージング、自然な抑揚と相まって、曲の魅力が明解に表現されている。全体の構成も見事。最後のマルタンがとりわけ鮮烈ゆえに、通して聴くと一夜のリサイタルの如く楽しめる。(柴田克彦) 20世紀を代表するヴァイオリニストのひとり、ダヴィッド・オイストラフの1955年の初来日は社会的な大事件となり、東京体育館公演にはなんと1万人の聴衆が集まったという。このたび発見された初日公演のライヴ録音は、モノラルながら力強い美音が味わえる音質で、円熟期の大ヴァイオリニストの堂々たる風格と聴衆の熱気を伝える貴重な記録となった。妖気と力感を備えたプロコフィエフ、5分余りで壮大な世界を形成するイザイ、小品での切れ味抜群の超絶技巧など、60年前どころか現在でも最高レベルの名演ぞろい。古びることのないオイストラフの至芸を改めて堪能できる一枚だ。(林 昌英) 日本語の響き、寄り添う旋律の美しさが再認識できるだろう。東北を拠点に活躍する佐藤が、大学の先輩であるピアノの名手・花岡の共演を得てしたためた、温かさと滋味に満ちたアルバム。8年来の念願の録音だけに、瑞々しい喜びが全篇を通奏低音のように貫く。そして、佐藤は一つひとつの言葉とフレーズを、慈しみつつ丁寧に、素直に歌い込んでゆく。特に、「荒城の月」に描かれたのは鶴ヶ城での光景ともされるだけに、会津若松出身の佐藤にとっては、思い入れもひとしおのはず。ここに、鶴ヶ城の桜をモチーフにした、アートワークも巧みに共鳴。聴く者の胸を打つ。(笹田和人)

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