eぶらあぼ 2014.8月号
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146SACDCDCDCDアビイ・ロード・ソナタ/1966カルテット近藤譲《線の音楽》バレエ、劇場、舞踏のための音楽 Vol.2/山田和樹&スイス・ロマンド管J.S.バッハ:フルート・ソナタ集/工藤重典アビイ・ロード・ソナタ/ビートルズ:イエスタデイ、ハード・デイズ・ナイト、ヘイ・ジュード、ロング・アンド・ワインディング・ロード 他1966カルテット近藤譲:CLICK CRACK     ORIENT ORIENTATION    STANDING     PASS     FALLING高橋悠治(ピアノ)高橋アキ(ピアノ)篠﨑史子(ハープ) 他R.シュトラウス:7つのヴェールの踊り/リスト:メフィスト・ワルツ第1番/コルンゴルト:シュトラウシアーナ/ブゾーニ:踊りのワルツ/シュレーカー:舞踏劇「ロココ」 他山田和樹(指揮)スイス・ロマンド管弦楽団J.S.バッハ:フルート・ソナタBWV1030~1035、同BWV1020、無伴奏フルート・ソナタ(パルティータ)BWV1013工藤重典(フルート)リチャード・シーゲル(チェンバロ)ジャン・バルト(チェロ)日本コロムビアCOCQ-85069 ¥3000+税コジマ録音ALCD-1 ¥2500+税東京エムプラスRPTC-5186518 ¥3238+税マイスター・ミュージックMM-2191-92(2枚組) ¥3790+税 ビートルズ×クラシックという挑戦のために選ばれし4人の乙女たちが更なる高みへ。オリジナル曲の完全コピーを目指すのでもバンドらしさの追究でもなく、室内楽のスタイルでビートルズの魂と大作曲家のマスター・ピースを融合させ、彼女たちにしか表現できない魅惑の作品集を作り上げた。LP『アビイ・ロード』の楽曲を王道“ソナタ形式”で再構築した全4楽章からなる大作を皮切りに、〈イエスタデイ〉にドビュッシーやフォーレが、〈ロング・アンド・ワインディング・ロード〉にチャイコフスキーやバーバーなどが溶け出していく。しかも聖地であるアビイ・ロード・スタジオでの録音盤!(東端哲也) 近藤譲は作曲家という立場にありつつ、音に対して客観的な距離を保とうとする。一方で音を作りながら、同時に観察者たらんとする矛盾。この悩ましい立ち位置が、音楽の持続を「線」にまで還元するという表現の極北を生み出した。近藤は一見単純な「線」から、実に多彩な表情を引き出していく。倍音やハーモニクスによってそこはかとない影を纏わせたり、アタックをずらすことで音色の差異や律動を際立たせたり、あるいは線の姿をグリッサンドで歪めてしまったりと、刺激的なアプローチが満載だ。創作のエッセンスを簡潔に示した初期作品集、1974年の発売以来、待望の復刻!(江藤光紀) 山田和樹&スイス・ロマンド管のPetatoneレーベル録音第2弾は『バレエ、劇場、舞踏のための音楽 Vol.2』。曲目がユニークで有名曲に混ざってコルンゴルト、ブゾーニ、シュレーカーが含まれる。ほとんどの方は聴いたことがない作品だろう。しかしこれらの曲が大変面白い。ヨハン・シュトラウスへのオマージュとも言うべきコルンゴルトの「シュトラウシアーナ」とブゾーニの「踊りのワルツ」、4つの性格的な小品から成るシュレーカーの舞踏劇「ロココ」。山田和樹の指揮は高テンションで生気に溢れつつもバランス造形が実に見事、音も全く荒くならない。(藤原 聡) 日本を代表する名手による、バッハのフルート作品の快演が装いも新たに蘇った(1992年録音)。工藤は、昨今の古楽ムーヴメントの隆盛がバッハ演奏へもたらした好影響に敬意を払いつつ、「音というエネルギーが存在する限り、我々演奏家は、この宇宙的魂のメッセージを音に変え、伝えてゆく義務がある」と決意表明。モダン・フルートならではの自在な表現力を最大限に生かし、しなやかで魅力的な音楽を聴かせている。それはまるで、バッハの“超時代性”を証明して見せるかのよう。チェンバロのシーゲルやチェロのバルトら共演陣も過不足のない名サポートで、好演に貢献している。(寺西 肇)

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