eぶらあぼ 2014.7月号
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3434波多野睦美 歌曲の変容シリーズ 第9回 “月の沙漠~にほんのうた” “日本の歌”を再発見文:宮本 明鈴木優人 ©Marco Borggreve西山まりえ ©Naoya Yamaguchi波多野睦美 ©Hideya AmemiyaHakujuギター・フェスタ2014 “フレンチ・ギターの魅力”8/22(金)19:00 フレンチ・ギターの源流8/23(土)15:00 旬のギタリストを聴く 小暮浩史8/23(土)18:30 パリのカフェ 8/24(日)15:00 ヌーヴェル・ヴァーグ~新しい波問 Hakuju Hall チケットセンター03-5478-8700 http://www.hakujuhall.jpInterviewギターが紡ぐフランスのエスプリ取材・文:オヤマダアツシ鈴木大介(ギター) Hakujuギター・フェスタ201411/6(木)19:00 王子ホール問 王子ホールチケットセンター03-3567-9990 http://www.ojihall.jp 6/28(土)発売 古楽を中心に、「うた」のジャンルを自在に横断する歌手・波多野睦美が、東西古今の歌曲を多様な切り口で集めて紹介する、王子ホールの『歌曲の変容シリーズ』。2005年の第1回以来、国や地域、時代などさまざまなテーマで、幅広い歌曲作品をひもづけしてきたが、第9回のテーマは「にほんのうた」。山田耕筰、梁田貞、越谷達之助、小林秀雄といった、新旧のいわゆる日本歌曲から、〈宵待草〉〈蘇州夜曲〉などの流行歌のジャンルに属する歌、〈月の沙漠〉などの童謡までを歌う。そして、毎回の多彩な共演者もこのシリーズの大きな特徴だ。今回はバロック・ハープの西山まりえと、ピアノにも、やはり主に古楽の分野で活躍する鈴木優人がフィーチャーされた。ごく一般的な「日本の歌」のイメージで考えれば結構意外な顔合わせ 「フランスのギター音楽を、しかもこれだけ幅広い時代にわたって取り上げることは珍しいですし、さまざまなタイプのギタリストがいる日本だからこそ実現したプログラムなんだと思います」 こう語るのは、自身も出演者に名を連ねる鈴木大介。9回目を迎える夏のギター音楽の祭典『Hakujuギター・フェスタ』は、フランスをテーマに行われる。多岐にわたるプログラムはバロック音楽に始まり、近現代作品、フレンチ・ジプシーのマヌーシュによるジャズなどジャンルを超えた内容だ。サティやラヴェル、ジャンゴ・ラインハルト、ローラン・ディアンスなどの作曲家が並ぶ音楽祭は、フランス本国を含め、欧米でも珍しいらしい。1日目のスタートは華麗なダンス付きのコンサートから。 「もともと庶民の踊りや歌を伴奏する楽器だったギターは、あるときから宮廷に入り、ルイ14世は毎晩のようにド・ヴィゼのギター演奏を聴いていたというエピソードがあるほど。1日目(8/22)はダンスも加わり、通奏低音楽器としても重用されていたギターの姿を見ることができるはずです。2日目(8/23)夜公演の前半は、ジャンゴ・ラインハルトというスターを生み出したマヌーシュの音楽がテーマ。ヨーロッパでもここ10年ほどギター・フェスで注目されていますから、まさにギター界の新しい流れでしょうね」 鈴木大介は2日目夜公演の後半に登場するが、意外なことにギター・フェスタでのソロ演奏は少なく、9回目にして初のリサイタルだという。 「バロックに始まり、ディアンスが編曲したシャンソンまで、主に20世紀を中心とした選曲ですが、特に近代のルーセルやフランセなどに注目を。彼らがギターの曲を書いた背景には、アンドレス・セゴビアという名手の存在があります。そのせいか演奏の難易度は高く、フランセなんてスピードが速い武満みたい。しかしフレンチ・ギターの流れにおいてここははずせませんし、一般のクラシック音楽リスナーとは貴重な接点になるでしょう」 このほかにも、日本とヨーロッパのトレンドを知ることができる2人のギタリストのリサイタル(8/23小暮浩史、8/24マルシン・ディラ)、荘村清志と福田進一を中心とした恒例のデュオやクァルテットも。さらには初の試みとして楽譜やグッズ販売などを行う「ギター・マルシェ」も、2日目と3日目に開催する。ギターが気になる人は、毎回の“ギター・フェスタ皆勤者”もビギナーも、迷わず会場へ。と言えるだろう。大げさに言えば異種格闘技。実に興味深い。さすが! どんな新しい世界が紡ぎ出されるのか、大注目。

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