eぶらあぼ 2014.6月号
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45★6月18日(水)・東京芸術劇場コンサートホール ●発売中 問 藍インターナショナル03-6228-3732 http://www.ai-international.co.jp他公演 6/15(日)・豊田市コンサートホール(0565-35-8200)、6/21(土)・川西市みつなかホール(072-740-1117)下野竜也(指揮)大阪フィルハーモニー交響楽団との共演(曲/サン=サーンス:ピアノ協奏曲第5番) 6/26(木)、6/27(金)・大阪/フェスティバルホール(大阪フィル・チケットセンター06-6656-4890) 前回2012年12月の来日公演ですばらしい音楽世界を見せてくれた巨匠、アルド・チッコリーニ。ステージに登場するときこそ杖を使っていたが、演奏が始まれば実に細やかなコントロールで指先から豊かな音を紡ぎ出し、音楽家というのは奇跡的な存在だと思わずにいられなかった。 今回のプログラムは、ブラームスの「4つのバラード」op.10、グリーグのピアノ・ソナタop.7から始まる。両作曲家20代前半の頃に書かれた、若い情熱をたたえた作品だ。今、88歳を迎えたチッコリーニがこの作品を弾くことで、いかなる感情が表現されるのだろうか。続いてのボロディンの小組曲は、チッコリーニが若き日に録音をしている作品。これもまた、彼が現在の境地からどのように奏でるのか興味深い。最後に、20世紀前半のフィレンツェに生まれ、後半生はファシズムに抗してアメリカに渡った作曲家、カステルヌオーヴォ=テデスコの「ピエディ奇跡的で深遠な美学アルド・チッコリーニ(ピアノ)グロッタ1924 ナポリ狂詩曲」を演奏する。チッコリーニが生まれる前年に書かれた作品だ。イタリアに生まれ、人生の半ばでフランス国籍を取得し、音楽における世界市民として国境を越えて活躍するチッコリーニの原点を垣間見ることのできる曲目ともとれなくはない。長きにわたり培われた、深遠な表現のための“技巧”が存分に発揮される作品群。歳を重ねて演奏活動を続ける芸術家としての美学とセンスが感じられる。 研ぎ澄まされた美音、繊細なニュアンスの移ろい、その表現の隅々までをしっかりと聴き取りたい。文:高坂はる香ⒸK.Miura 二期会所属の名歌手たちが結集し1週間にわたって繰り広げる、恒例の《二期会WEEK》。今年のラインナップは、第1夜『The JADE★アコースティック』(完売)、第2夜『歌曲の世界R. シュトラウス生誕150年によせて』、第3夜『オペラ朗読劇〈ある晴れた日に...オペラ歌手 三浦環物語〉』、第4夜『スペイン音楽のダイヤモンド ビバ☆エスパーニャ!』、第5夜『オペレッタへの旅 〜ウィーンから新作へ〜』、第6日『Concert for KIDS 〜3才からのクラシックR〜』、第7日『二期会マイスタージンガー〈歌の花束コンサート〉』。 どれもそれぞれに聴きどころが盛り込スペイン音楽から三浦環たまきまで〜歌の魅力を存分に二期会WEEK@サントリーホール2014まれた7公演だが、中でも注目は、コンサートの枠を超えた仕掛けが施された第3夜〈三浦環物語〉(6/25)。三浦環(1884〜1946)は、日本のオペラ草創期に奇跡のように現れて、欧米で活躍した日本で最初の国際的オペラ歌手。特に、プッチーニ本人が激賞したという蝶々夫人は、生涯に2,000回以上歌ったというのだからすごい。その彼女の生涯を芝居仕立てで綴る。演じるのは大山亜紀子、嘉目真木子、岩田真奈、古橋郷平、多田羅迪夫ら、二期会を代表する豪華歌手陣。三浦環に扮した大山と嘉目が、朗読劇をまじえながら《オルフェオとエウリディーチェ》(日本人による初上演オペラ・森鷗外訳)や《蝶々夫人》の主役を歌うなど、芝居と音楽をいっぺんに楽しめる一夜だ。脚本を、作家・脚本家・演出家として多方面で活躍している桜田ゆみが担当しているのも注目!文:宮本 明★6月23日(月)〜29日(日)・サントリーホール ブルーローズ(小)●発売中 問 二期会チケットセンター03-3796-1831 詳細は以下のウェブサイトでご確認下さい。 http://ebravo.jp/nikikaiweek大山亜紀子嘉目真木子古橋郷平岩田真奈多田羅迪夫

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